定年後の読書ノート
44、南北戦争・リンカーンージャーナリスト=マルクス、大阪市大本多健吉著、有斐閣
1850年マルクスは、アメリカの金鉱発見を大きく評価している。世界貿易におけるアメリカの地位向上とアジアへの資本投下を資本主義の全世界への普及と捉えている。

メキシコから割譲されたカリホニアに関し、これを奴隷州にするか、自由州にするか、奴隷制反対論者と奴隷所有者の対立が激しさを増していた。1860年共和党大統領候補リンカーンの当選に対し、南部奴隷州はアメリカ連合結成で答え、4年間に及ぶ内戦が始る。

マルクスの基本的な考え方は、これは奴隷制と自由労働制という相容れない2つの社会制度の間の闘争であり、いずれか一方が勝利するまでは終らない、何故ならば、これはこの戦争を北部の保護貿易制度と南部の自由貿易制度の間の闘争であるとみて、イギリスが自由貿易制度の側に立つべきことを主張したり、北部の頑迷さを主張したりする、当時のイギリスの論調に対し、マルクスは対立するものであった。

2つの社会制度の一方は「いままでに実現された人民自治の最高の形態」であるのに対し、他方は「歴史の年代記に記録された人間の奴隷化の最もいやらしく恥しらずな形態」だとみるマルクスは、遅れた社会制度に対する進んだ社会制度の経済的・政治的優位性からして、その最終的な勝利は疑うべくもないと断言していた。

マルクスは終始労働者階級の立場から事態の本質的な側面に注意を払い続けてきた。後にマルクスが執筆した国際労働者協会総評議会からリンカーンにあてた手紙の中で、白人労働者が自分の主人を選ぶ権利を持つことを黒人に比べて特権であると得意になっているあいだは、真の労働の自由を獲得し得ないと指摘している。

南北戦争は1865年南部軍の降伏をもって終結したが、マルクスは手紙の中でリンカーンを労働者階級の誠実な息子と呼んでその功績を称えている。

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