定年後の読書ノート
43、世界の全面的な認識と変革を求めてー同時代の科学・技術とマルクスー

桃山学院大後藤邦夫著、有斐閣ブックス

マルクスの学問的関心は、広範に及ぶ。その意図は何か。マルクスはアリストテレスの如き、新しい学問の体系確立を目指していたわけではない。彼は知的好奇心だけで仕事をするディレッタントでもなかった。では何故、マルクスは、貧乏と病苦の中で、「資本論」の仕事すら思うようにまかせない中で、広範な学問的関心を持ち続けたのか。

マルクスの強い情熱を支えた一つは、マルクスの実生活と一体となった内的な問題意識であり、マルクスがヘーゲルの問題意識を、すなわち近代思想の全体的な批判という課題を常に持ち続けていたこと、特に人間の問題と格闘してきたマルクスは、ヘーゲルの自然科学観に常に注目し、科学における諸概念や体系の根拠を明確に掴もうとしていたことで学問の全領域の基礎的なテーマに関心を持ち続けていた。

特に社会科学や経済と結びつく、産業革命期の技術やその背景ないし基盤をなす当時の自然科学に目を向けていた。1830年当時盛んであった紡績・織布工場のシステムについての関心だけに留まらず、近代的機械工場には強い関心を持っていた。マルクスはユーアの「工場の哲学」とバベイジの「機械と工場の経済」を、資本論の13章にて引用し、具体的な考察を重ねている。特に人間と機械について、マルクスは「生きた労働」と「対象化された労働」としてとらえている。

マルクスはダーウインにも触れ、自然選択にもとづく適者生存を、動物界が市民社会として捉えられていると表現している。

マルクスは強烈な問題意識を常に持ち続けていたということが、大切なところです。

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