定年後に読む資本論
資本主義経済の分析―経済学批判要綱2、滋賀大山田鋭夫著、有斐閣
経済学批判要綱でマルクス経済学の体系は成立する。近代市民社会の動的論理を相対的に理論化したからです。市民社会を支配する資本は、貨幣からどのように生成し、自己を完成していくか。貨幣は流通の中で、価値尺度、流通手段、蓄蔵貨幣として発展していきます。貨幣はあくまで流通の中にあり、流通を介して自己自身に関係する価値を生み出します。それが資本の最初の規定です。資本は労働との関係で、賃金労働者の剰余労働を領有し、その他人労働で再びあらたに他人の剰余労働を領有する。この過程が反復されると資本が流通を介して、価値を生み資本となっていくのです。資本の完成とともに、資本の物神化も完成する。資本の生成と完成という形態展開を明確にしつつ、資本が生み出す生産諸力と社会的交通の姿態を理論的にとらえます。

世界市場と機械制大工業の経済的分析です。無限の価値増殖を追求する資本は、価値を生産しない流通時間を否定しなければならない。全地球は空間的にも時間的にも結合して世界市場が形成される。他方、必要労働時間を否定し、剰余労働時間を拡大するためには、機械制大工業の出現が必要となる。こうしてマルクスは資本によって世界市場と機械制大工業が創出される過程が導きだされます。しかし普遍性を獲得した生産諸力と交通は、さらに発展するために資本という狭い枠を否定する。機械制大工業では社会的活動および科学こそが生産の主要因となり、その結果富の創造は、労働時間と無関係なものになってしまう。従って剰余労働の領有という資本の根底的基盤が、まさに資本発展の内部から崩壊してしまう。

経済学批判要綱はこのようにして市民社会を、そして資本主義経済を相対的に分析・批判して資本論への跳躍点となるのです。

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