定年後に読む資本論
16アダムスミスとのふれあいー経済学・哲学草稿1、福島大畑孝一、有斐閣
マルクスは経済が政治の土台であると考え、1844年本格的に経済学の研究に取り組みます。その研究は、スミルをはじめ、古典派経済学です。ここではエンゲルスの 「経済学批判大綱」の強い影響を受けて、スミスをはじめ、古典派経済学の批判を通して、現実の社会、つまり市民社会=資本主義を批判していくのです。ここでは古典派経済学は国民経済学とよばれています。事実を隠してしまう俗流経済学と違って、事実をありのままにとらえる国民経済学を批判することは、現実の市民社会を批判することになるのです。

国民経済学は、現実をありのままにとらえ、批判することなしに、肯定していきます。マルクスの市民社会の批判は、ヘーゲル法哲学批判で国家と法の学問を批判する作業の一環です。人間生活を規定する現実の国家を、法哲学が実現されたものとして考え、法哲学批判は現実の国家批判になるわけです。

しかし現実には、国家は市民社会によって動かされているとなると、国家批判のためには、その土台である市民社会を分析し、批判しなければなりません。市民社会批判を全面的に取り組むことによって、マルクスの思想の発展があったのです。

経済学・哲学草稿は全体が3つの草稿からなっています。第1草稿は、スミスの国冨論批判を主とし、利潤と地代、労賃からなり、後半が疎外された労働です。マルクスは、利潤の源泉である資本は、私的に所有された他人の労働の生産物、蓄積された労働であり、土地所有と同じく、私有財産であるととらえ、その資本が労働と生産物を支配しているとみなします。

労賃は労働者と資本家との敵対的な闘争によって決定され、したがって労働者にとって、資本と土地と労働の分離は致命的であり、つねにみじめな生活をまぬがれないととらえます。マルクスは、私有財産を、生産物と労働を疎外し、したがって人間を疎外するものとしてとらえ批判していきます

マルクスは第1草稿で、人間関係の疎外でゆきづまり、リカードやミルの研究に戻り、第2草稿を書きました。しかし、第2草稿は大半が失われています。第3草稿では、第2草稿への付論のようです。

マルクスは[経済学・哲学草稿]で市民社会は、私有財産に基く階級社会であり、その私有財産が人間を支配し、疎外する社会だと批判していくのです。

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