定年後に読む資本論
11政治的疎外論の確立―ヘーゲル国法論批判、中央大山中隆次著、有斐閣
ヘーゲル哲学=神学の思弁性を克服する道は、主語=理念、述語=本来の現実的主体、目的語=規定するものを規定されたものする、この関係を転倒させることであり、目的語に相当する規定されたものを規定することにあり、マルクスは、国家と市民社会の関係を、市民社会こそ国家の前提であり、基礎であると主張する。

すなわち、マルクスはフォイエルバッハの転倒の方法をヘーゲルの「法の哲学」に適用し、国家の基礎は市民社会にあると洞察しました。さらにここに留まらず、市民社会に基礎をおき、そこから出発しながら、近代国家にみられる抽象的な人間共同体をいかに具体化するか、「真の民主主義」の実現にマルクスは努めます。

マルクスは、この観点から、近代の特徴を、国家から市民社会の分離、自立化、そして市民社会と国家の対立に求めます。私と公、ホンネとタテマエの分離です。

そうなると、市民社会は特殊、私的なことがらを中心に動いている社会ですから、私人としての人間が、その本質である普遍性、共同体性を対象化する政治的疎外が生じます。近代国家の特徴は、その公共性が抽象的、幻想的であるとマルクスは指摘します。

近代の特徴は市民社会と国家の分離、対立を真に解消せず、それを温存したままで国家の公共性を押しだそうとすれば、どうしても形式的にならざるを得ないとマルクスは指摘します。官僚の冷淡さ、えせ普遍性は、近代特有の政治的疎外からくることを、理論的明確にしたのです。

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