定年後に読む資本論
8まことの愛―マルクスとイェニー、一橋大宮野悦義著、有斐閣
マルクスは、冷徹な哲学者というイメージを持ちがちだが、どうしてどうして本人はものすごいロマンティストでもあった。彼が、トリアの町の大富豪の娘、4才年上のイェニーと結婚したことは有名な話であるが、氏は生涯妻イェニーを愛し、自慢していたようだ。

マルクスは、若き頃、抒情詩に熱中し、自らも多くの抒情詩を創作している。しかし、それらの詩は、およそあのマルクスが創作したとは思えない、現実離れした、空想的世界を漂う詩である。

2人の結婚は、多くの人が前途を心配した。大学卒業後も不安定な生活を余儀なくせざるを得ないマルクスと、大富豪、深窓の令嬢イェニー、1842年他界したマルクスの父も、少年時代よりシェックスピアを導いてくれたイェニーの父ルートビッヒすらも2人の結婚には必ずしも賛同的ではなかった。一途だったのは、マルクスとイェニーの当人同士だけだったようだ。1843年6月結婚後、マルクスの悪筆を清書し、感情的になるマルクスを常にいさめたのは妻イェニーだった。さまざまな試練に立ち向っていけたのも、2人の強い意志があったならばこその話は、誰もが称賛するところである。

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