定年後の読書ノート
カール・マルクスー人と思想へのプロローグ、大阪市大佐藤金三郎著、有斐閣
1967年、資本論刊行100年。内外でマルクス・ルネッサンス。研究分野では、MEGA等文献遺産の出版と普及が盛ん。今日的状況は、高度成長、繁栄を謳歌した資本主義は、世界恐慌、大不況の影におびえ、不況、インフレ、危機からの脱出に苦悩する時代、一方名ばかりの社会主義諸国は次々と崩壊し、かって夢見た未来への夢は厳しい現実に直面させられている。このような現状を考える時、マルクス主義は、いぜん今日の思想であることをやめていない。サルトル曰く「マルクス主義をのりこえることは不可能である。何故なら、それを生んだ諸々の状況が、未だ乗越えられていないから。」

マルクス主義とは、ヘーゲルを頂点とするドイツ古典哲学、スミス・リカードのイギリス古典派経済学、サンシモン・フーリエのフランス社会主義の3つの遺産を批判的に継承したものである。しかし、この3つの部分はどのようなつながりがあるのか。

科学的社会主義は、社会主義を空想から科学へ転化させた。そこには社会発展の法則としての唯物史観の発見と資本主義的生産の秘密を暴露する剰余価値の発見があった。しかし、唯物史観と経済学とはどのような関係にあるのか。

1844年「経済学・哲学草稿」の労働疎外論に代表される初期マルクスと、1867年資本論の資本主義分析に代表される後期マルクス。その中間にある1857年「経済学批判要綱」の結節環の意義。

唯物史観生誕の書、「ドイツ・イデオロギー」と資本論2・3巻編集者のエンゲルスとマルクスの関係はどうとらえるべきか。

資本論に示された社会的諸関係の物化と神秘化の進展過程は、他面では同時にそれの止揚への道であり、そのための主体的ならびに客観的条件を必然的に準備する過程でもある。

資本論は、すなわちマルクス経済学の根底にあるものは、人間すなわち社会的人間の立場であり、その意味では、資本論は、人間解放の書であるといえる。

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