産業遺産産業革命の旅

「資本論と産業革命の時代」著者 玉川寛治さんの英国産業革命発祥の地を巡る旅に参加した。

印象に残るのは、ロンドン「V&A博物館」で見た、今ではこの博物館だけにしか残らない、インドダッカモスリン手紡ぎ300番の超極細綿糸ドレスの美しさ。ローマ人は絹の美しさに魅了されたが、この綿製品も実に素晴らしい。インド人が、指先でせっせと300番もの細い糸を早朝の湿気の中で手で紡いだ人類最高の芸術品。
ロンドン・テームス川に面する英国国会議事堂
マルクスは資本論で書いている。英国帝国主義者たちは、インド手紡ぎ職人の白骨で大地を白く染めたと。アフリカ奴隷貿易に使用されていたインドダッカモスリンに替わって、英国産業革命は機械製綿製品を奴隷買収商品として活用、リバプール港に歴史的繁栄をもたらした。

ロンドン郊外にあるマルクスの墓。「万国の労働者よ、団結せよ!」「哲学者達は世界を様々に解釈した。しかし大切なことは、世界を変革していくことだ」と墓石に刻まれている。
ロンドン郊外にあるマルクスの墓
リバプール港博物館には、「奴隷貿易」展示室がある。この展示がすごい。アフリカ黒人はかって素晴らしい文明を築いていた。しかし根こそぎ黒人を綿製品で買占め、アメリカへ強制的に送りこみ、アメリカから原綿を輸入し繁栄した英国綿繊維産業。

英国産業革命の実態はこの三角貿易にあり、この歴史的恥部を素直に博物館展示している英国市民の良心・理性に、日本人はもっと学ぶべきではないかと思った。
かって奴隷貿易で繁栄したリバプールの港をクルージング
産業革命の中心地、マンチェスター科学博物館には、数々の発明品が展示されている。

その中に、エンゲルスの「イギリス労働者階級の状態」記述内容のジオラマがある。産業革命は労働者階級を悲惨な状態からスタートさせた。見学者に産業革命の問題点をじっくりと考えさせる。
産業革命で巨大な富を得たマンチェスター市役所建物
スコットランド、ロバート・オーエン綿紡績工場を訪問。ともすれば「空想的社会主義者」として嘲笑されがちなロバート・オーエンの紡績工場、実は労働者の福祉を重視した、当時としては実に進歩的な紡績工場だ。充実した社宅、完備した生協システム、教育を重視した幼稚園、企業内学校。

我々はあらためて知る、ヨーロッパの民主主義はこうした歴史的段階を経て発達してきたのだと。
 水力を動力源とするロバート・オーエンの紡績工場
エジンバラにて、国立歴史資料保存館を訪問。ここには玉川さんの友人が沢山いる。この国立歴史資料保存館を案内してくれたのは、日本の女性、この女性がすごく上品で綺麗な方でびっくりした。

英国は産業遺産を、多大な国費を投入してきちんと保存している。そこには常に歴史から学ぼうとする英国人の姿勢がある。
ホテルから観たエジンバラの建ち並ぶアパート。
団員の一人 長老曰く。「もし、スターリンや毛沢東が、若き時代、ヨーロッパの民主主義を肌身で見学する機会に恵まれていたら、あの大衆を無視した独裁政治は絶対に生まれなかったに違いない」と。

ヨーロッパ民主主義は幾つかの歴史的試練を経て、今日に至っている。民主主義は民衆の理性を歴史的に積み重ねる結果、民衆の中に自然と育っていくものなのだ。



産業革命の歴史を現地現物を通じて学ぼうとする今回の英国旅行は、同時に民主主義とは何かを考察する機会でもあった。
080363065999kxhxjya09041505037cinu4faf09093154511hwm

大英博物館の正面玄関


ここをクリックして頂くと 表紙に戻れます