定年後の読書ノート
<歴史認識>論争、知の攻略、思想読本7、高橋哲哉編、作品社
歴史認識論争のきっかけ:1990年代に入って、日本帝国の侵略戦争責任追及。何故かくも長い時間がかかったか。1990年代前半は日本政府の態度批判、後半は自国中心的な歴史観の回復。国際人道法の規範に基く、地球市民社会の歴史認識の共有化。研究をいかに実践に結びつけるか。現在の関心に発した過去の反省と未来の構想が問われている。

歴史認識=日本近代史総体を対象にしたい。45年以後も含めたい。現在思想は転換している。国民国家の中で、自由に自分の歴史を語れる空間をどう創るか。グローバリゼーションの流れの中で、国民国家の枠組みは揺らいでいる。社会的構造、個人と国家の間に存在しているいろいろな組織とその力学を捉えなくてはならない

戦後平和への希望は、平和憲法という制度への依存となった。その後主体的に平和に取り組まねばならないという動きが出てきた。日本経済相対的地位向上で、日本型発展の礼賛。

「国粋化」と「国際化」が同時併行進行。軍事とイデオロギーを中心として国家復権。長引く不況の中で、メディアを使った大衆的排外主義を操作する人間・小泉、石原が出てきた。他方ではNGOの役割増大。グローバリゼーション→リストラ→失業・不況という不安感。価値ニヒリズム=モデルがないというおどし。その裏に、実力がすべてを決める強者の論理。憲法とは権力者を縛るもの、しかるに「国民の生命と自由を守る」とは、権力者が仕える旗印。自虐とは自分が犠牲者であるという認識が前提にあり、お前も犠牲者なのに、自分で自分を加害者にして喜んでいるというニュアンス。心理的な言葉を使って議論すること自体を対象化して、そのメカニズムを検証する必要がある、論争が言葉の遊びに終らない為には、政治状況とのすり合わせが必要。

日本はヨーロッパ列強に追いつけ追い越せを目標に、アジアでは侵略とという切り捨てをする「脱亜入欧」路線、この路線軍事的には成功し、列強の1員となり、成功してしまったために、この路線を変えることが出来ず、中国を侵略し、アメリカと戦争になって破綻した。戦後日本は、脱亜入欧路線の第2ラウウドだった。

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