定年後の読書ノート
帝国主義論・再読(1)、レーニン著、宇高基輔訳、岩波文庫
「グローバリゼーション」というキーワードで示される世界情勢の把握は、レーニン「帝国主義論」で提示された金融資本と金融寡頭制、資本の輸出、寄生性と資本主義の腐朽化、列強諸国による世界分割を別の言葉で言い直した現象追従に過ぎない。我々はレーニンの「帝国主義論」をきちんとマスターすることが重要と理解した。ここに「帝国主義論」を再読し、自分が大切と思った箇所をメモする。(ネグリは、私たちは、今帝国主義から「帝国」への移行、国民国家からグローバルな市場の調整への移行に立ち会っていると現状分析している。そうした意味では、帝国主義の次に「帝国」段階が到来するというネグリの定義付けは記憶しておくこと。)

序言

本書は1916年チューリッヒで書かれた。ホブソンの著作を参考にした。ツアーリズムを配慮して経済分析に限定した。従って本書は帝国主義の経済的本質に関する問題を解明することにある。(ネグリはレーニンの帝国主義論は政治的概念の確立を急ぎ過ぎたと書いているー303P。しかしレーニンが力を入れたのは経済的概念の把握だった)1914年〜1918年の戦争は帝国主義戦争であった。この戦争の性格を証明するには、全世界の経済生活の基礎の総体をとりださねばならない。経済的不均等は帝国主義戦争が不可避であることを示している。資本主義は、地上人口の圧倒的多数に対する、ひとにぎりの「先進」諸国による植民地的抑圧と金融的絞殺とのための、世界体制に成長転化した。バーゼル宣言は第2インターナショナルの変節を暴露する。帝国主義はプロレタリアートの社会革命の前夜である。

資本主義の最高の段階としての帝国主義―平易な概説―序章

ボブソンの帝国主義論は、帝国主義の基本的な経済的および政治的諸特質を叙述している。ヒルファーディングは日和見主義者であるが、2人共、帝国主義を総括している(ネグリはレーニンはホブソンとヒルファーディングの「超帝国主義」実現により資本の権力が増大し、闘争の可能性が遠のくことを憂慮したと書いている。ネグリの定義付けでは「超帝国主義」=「帝国」ということになる。)。ここでは、帝国主義の基本的な経済的諸特質の関連と相互関係とを、平易に叙述する。(レーニンは帝国主義を、近代国家の進化のプロセスにおけるひとつの構造的な段階とみなした。資本の機能の拡大により競争が必然的に独占の増大に比例して、衰退するという事実を強調した)

第1章 生産の集積と独占

生産の集中は資本主義の特質である。貨幣資本と銀行は、巨大企業の優越を圧倒的なものにする。集積は独占に進む。種々の工業部門を1個の企業に統合は利潤率の安定性をもたらす。超過利潤の獲得を可能にする。集積はますます発展する。多くの経営が巨大企業に結集する。生産の集積による独占の生誕は、資本主義の根本法則である。資本主義は帝国主義に転化した。カルテルとトラストの手には、全生産の8割が集中される。競争は独占に転化する。生産は社会的になるが、取得は依然として私的である。社会的生産手段は依然として少数の人間の私有である。社会化した人類の巨大な進歩が、なんと投機者を利するようになっている。独占は全資本主義的生産に固有は混沌性を強め、激化させる。恐慌もまた、集積と独占への傾向をつよめる。独占―これは資本主義の発展における最新の曲面である。近代的独占の力と意義に関して、銀行の役割を考慮に入れなければならない。(ネグリの指摘は、レーニンの著作に暗に含まれている2者択一とは、世界共産主義革命か、それとも「帝国」かというものにほかならない。そして、これらの2つの選択のあいだには深い類似性が存在すると書く。)

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