定年後の読書ノート
現代帝国主義研究(1)再読。工藤 晃著、新日本出版
キーワード「グローバリゼーション」に関する幾つかの本を概観してみて、レーニンの「帝国主義論」をきちんと学習せずして、「グローバリゼーション」というキーワードを駆使したとしても、現代世界情勢の本質は掴めないと気がついた。確かに「グローバリゼーション」からの視点は、現代社会をビビッドに把握しているが、所詮現代を解釈しているに過ぎない。大切なのは、我々はいかなる世界を目指すべきかが最大のテーマであり、現代世界情勢解釈だけを遊んでいるわけにはいかないと思う。この際、「急がばまわれ」の格言通り、少し大きな本だが、工藤氏の「現代帝国主義論」をきちんと再学習し、その上で改めてキーワード「グローバリセージョン」に挑戦していこうと思う。「現代帝国主義論」はすでに2000年に一度読み終り書棚に眠っていたが、この本の余白に書き込んだメモ書きをたどりながら、改めて帝国主義のポイントを整理していきたい。

工藤氏はレーニンの「帝国主義論」から学ぶという方針を一貫して貫いている。レーニンが「帝国主義論」を執筆した1914年の世界情勢と今日の世界情勢とを比較して何が変ったか、何が変わらないかを先ず整理している。

資本主義の独占段階は変わらない。変ったもの。民族解放戦争によって、列強の領土分割は打ち砕かれた。しかし金融資本と独占体の民族的抑圧は変わらない(第1章)。帝国主義戦争を引き起こす経済的分割と政治的分割のための列強の闘争に替って、アメリカを盟主とする帝国主義陣営、西側同盟が長期間継続するという特徴があらわれた(第2章)。世界経済に対する多国籍企業の支配、国際金融資本の支配という特徴(第3章)があらわれた。

(第1章)帝国主義の政治的特徴は民族的抑圧と政治的併合である。アメリカの介入の特徴的なことは、世界のどこで起きた紛争や政治的不安定も、アメリカの国家安全をおびやかすから、アメリカが直接的に政治的、軍事的介入をおこなうのは当然だとする驚くべき理屈をもって実行にうつされることである。金融資本→金融的従属→国家的従属。「ビッグバン」でのアメリカのおどし。すべての金融の流れを止めるアクションのちらつかせ。

(第2章)アメリカを盟主とする軍事ブロック編成。OECD諸国にアメリカ軍事基地配置。アメリカの同盟結集と世界的な帝国主義体制の構築

(第3章)レーニンが明らかにした帝国主義の5つの特徴―@独占体A金融資本と金融寡頭制B資本輸出C国際独占体による世界の経済的分割D列強による地球の領土的分割完了Dを除けば、これらが現在の世界展開を押し進めている。。

独占体について「生産と資本の集積」こそが高度の発展段階に達し、経済生活で決定的な役割を演じている。世界を一つの市場とし、巨大な国際的生産をおしすすめるようになった多国籍企業の支配と、グローバル化した金融・資本市場でのカジノ経済―投機的取引き、カネころがし―とは表裏一体である。金融資本の支配がかってなく強くなった。

本書には、かって工藤氏が発表した、第2論文もあるが、ここでは第1論文に焦点を絞りたい。

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