定年後の読書ノート
グローバリゼーション、伊豫谷登士翁編・知の攻略・思想読本8、作品社
グローバリゼーションとは、今や時代を切り取るキーワードである。資本主義の基本は多面性にあり、@越境的活動、統合化と差異化 A巨大グローバル資本による「帝国」化その政治的企図が重要である。グローバリゼーションはアメリカナイゼーションとしても使用される。グローバル化は一般に白人男性主体文化であり、大量殺戮や環境破壊が近代の帰結として、把握されねばならない。近代の帰結ここにファッシズムがあり、ジェノサイドがある。

欧米的権威の揺らぎこそ、欧米的権威の浸透であり、西洋権威の浸透でもある。これを社会科学はどう受け止めるかが重要である。ここで理論の尺度に合わない地域をオリエンタリズムと差異化し、社会科学から文化人類学のテーマに押しやる。

近代資本主義の出発点はグローバルであった。地理的な広がりとしての世界性、社会科学が論じてきた普遍性をもって。

レーニンの帝国主義論は、何故世界戦争が不可避であるかという視点から論じた論文であって、そこにはグローバリゼーションへの配慮は十分とは言えない。近代がどうして総力戦体制を生み出したか、レーニンはこれをドイツに学び、共産主義革命に適応しながら、十分に考察する時間的余裕を持たなかった。総力戦体制とは自由と平等、監視と差別で表現出来る。戦時体制下、日本国民はある種の明るさを持っていた。従って戦時下をマイナスのイメージのレッテルを貼るのは違和感がある。

ウヲーラースティンは、世界システム論の中で、イギリス封建制の解体エネルギーを中小のマナーに置いている。マックスウエバーは、労働する民衆の能動性自覚の源泉を宗教改革に置いている。グローバリゼーションの起点は近代的国民国家の形成に求められる。これは宗教改革でもある。

福祉国家体制の行き詰まりこそ、グローバリゼーションである。ウオーラースティンの世界システム論、ネグり&ハートの「帝国」は、労作である。

第1次世界大戦による徹底的自己破壊の哲学的表明ではハイデッカーが一番優れている。ネオ・リベラリズムには懐疑と苦悩がない。ポスト・モダンは結局知の廃虚であった。

アメリカ民主主義は消えた。如何なる幻想を持ってもならない。アメリカとは神権国家であり、国民国家である。アメリカは右も左も国民主義的だ。日本はまだアジアに対して犯したテロ行為をしっかりと受け止めていない。

ここをクリックすると読書目次に戻ります