スケッチブックを持って「街道を行く」   その11:小樽

雨の中、小樽運河

JR小樽駅に着いて驚いた。どちらをみても中高年の夫婦連ればかり。「ああ、孝子、君を函館に連れて来てあげる機会がなかって御免ね」。その日は冷たい雨が朝から降っていた。小樽運河はどうしても描きたい。しかし雨をしのぐ場所は見つからない。傘をさして、スケッチした。雨がスケッチブックの上に落ちてくる。絵の具がにじむ。雨の日のスケッチは辛いが、この冷え込みはもっとこたえた。

 

お城かと見間違える旧日本銀行小樽支店

雨がザーザー降ってきた。日銀真向かいワインレストランに飛び込んで小さな窓から大きな日銀を見つめてスケッチした。小さな窓からは全景がつかめない。一生懸命あちこちの窓から覗いて、スケッチを終えた。最後に白ワインの甘辛3種飲み比べ、温かい海鮮スパゲティをゆっくり頂いた。僕は白ワインはいつも甘口が好みです。

雨の中でスケッチした旧日本郵船小樽支店

雨が本降りで足元の流れがどんどん早くなる。小さな折畳み傘で雨をしのぐのは辛い。身体はどんどん冷えてくる。かって小樽は北の経済中心都市だった。この地より小林多喜二が育ち、資本主義経済の深層が見えてきた。今やソ連は崩壊し資本主義はますます弱肉強食の世界に化している。資本主義を象徴するように威圧的な石の建物が小樽の町にはあちこちに建ち並ぶ。

山頂より小樽の港を見下ろす

1週間の北海道旅行も明日で終わる。札幌、函館、江差、小樽、このコースは司馬遼太郎氏がかって「街道を行く」で歩いた道順でもある。司馬さんは旅のあちこちで含蓄ある言葉を残している。司馬さんの旅はものすごい事前読書の背景があり、とても司馬さんの旅にはかなわない。自分は一生懸命スケッチし、いつの日か、このスケッチブックを見開いて、北海道の旅を思い出せればそれだけで幸せです。今回もまた良い旅だった。



小樽運河レンガ造り倉庫

お城を想像させる旧日銀小樽支店

JR函館本線と石狩湾との狭い幅の海岸

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