WATARIDORI    BS衛星洋画劇場   2001年    フランス映画    6/8放映
以前に一度見た映画。何度見ても感動。鳥の目になって、空を飛ぶことが出来る。一緒に飛んでいる渡り鳥の仲間を自分の隣にはっきりと見ることが出来る。

最初はどうやって撮影したのだろうかと、いろいろと想像する。ヘリコプターを使っては、あんなに水面すれすれに飛び立つ鳥たちを写せるわけがない。鳥たちと一緒に二ューヨークの橋の下をくぐれるはずがない。次第に、模型飛行機をつかったのだろうかと考える。模型飛行機も大きな爆音を発する。鳥たちは驚いて群棲を崩してしまう。

グライダーか、パラグライダーだろうか。それとも、鳥の首にカメラをつけたのだろうか。それにしても画面が安定している。兎に角、高度な撮影技術に驚異する。

しかし次第に、撮影技術よりも、画面に吸い付けられ、世界中の美しいポイントを、空から堪能して行くうちに、自分も鳥になった気分になる。ハドソン川から見た自由の女神。雲の上に輝くヒマラヤの山々。霧の中から浮かぶ中国万里の長城。モンサンミッシェルの遠景も素晴らしい。いつのまにかストーリーに引き込まれていく。

群をなして飛んでいると突然銃声、仲間の鳥がまっさかさまに湖面に落ちていく。次々と仲間がやられる。工場廃墟の近くに下りた。何だろうこの匂いは。次第に排水の方に近寄っていく。次第に、羽根が廃油でベトベトになる。仲間が一斉に飛び立つ。しかし自分は、廃油でもう飛び立つことも出来ない。苦しく沈んでいく。アフリカ砂漠での海岸。長旅で羽根を患い、砂浜で羽ばたく。傷ついた鳥に気づいた蟹たちが寄ってくる。怖い。鳥は逃げようと必死に羽ばたく。しかし、飛べない。蟹はわっと襲いかかり、鳥は瞬時に食べられてしまう。しかし、何といっても、広々とした湖面の上を、群れをなして飛んでいるときは最高。

タイトルはWATARIDORI.。フランスの正式なタイトルは、「LE PEUPLE MIGRATEUR  」。「 LE OISEUX  MIGRATEUR 」でないところが面白い。後者は、生物学的な意味での「渡り鳥」だが、前者は「移住する連中」とでも訳すべきだろうか。フランスもドイツも中東移民を大きな社会問題として抱えている。しかし、移民たちも、必死で生きている。移民たちの生活過程にはどんなに苦しみがあるのか。監督ジャック・ペランの人間的なまなざしがこの映画の奥に流れている。
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