山の郵便配達    BS衛星洋画劇場     6/6放映
1955年、中国映画。正式の題名は、「那山、那人、那狗」という平凡なタイトル。映画も極めて平穏なストーリ。中国湖南省僻地山村に、月に数回山奥へ郵便配達する男がいた。彼は41歳。まだ壮年だが、配達の苦労が重なって足の関節炎を患い、息子に山の郵便配達を譲ろうとしている。3日間で220キロの山道を徒歩走行、思い荷物を背負って、息子と、「次男坊」と呼ぶ愛犬と、最後の配達業務を引き継ぐ3つの人影が山奥に向けて出発する。母親は息子の配達第1日を心配そうに見送る。父と息子と愛犬は、黙って歩き続ける。息子はいつも山に出ていて、留守がちな生活を重ねる父を尊敬しながらも何となくさけてきて「あんた」と呼んでいる。しかし、こうして自分が父の仕事を受け継ぎ、父の後ろすがたを見つめるにつけて、何も語らない父の人生には、仕事に耐えた他人には言えない苦労と孤独があったのだと次第に判ってくる。村人達の信頼を一杯受けている父、僻地に置き去りにされた年寄りを、郵便業務を通じて一生懸命に誠意を尽くしている父、母との若き日の出会いもそんなところにあったと知る。父はある村の娘を嫁にどうかと紹介してくれたが、母を見ていて、山を離れる娘の不幸を思い、自分は山の娘とは結婚しないという。次第に父とのわだかまりも解け、やがて「あんた」ではなく「お父さん」と呼びかける。そんな息子を見て、そっと涙を隠す父。3つの影が、広い中国の大自然の緑の中をテクテクと歩いていく。男は黙って人生を歩く。そんな静かなしかし重々しいストーリである。

 

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