ビザンチン帝国      NHK HV特集          2006年8月13日放映

夏の1日、TVの前に6時間もくぎ付けになって、美しいHV画面を見つめ続けた。

330年、ローマ皇帝コンスタンティヌス帝は黒海とエーゲ海を結ぶ海峡にあるビザンチンをキリスト教を新国教とする新首都とした。一方伝統宗教が残る西ローマ帝国はゴート族などゲルマン民族大移動により、脅かされ476年ついに崩壊した。しかし残された東ローマ ビザンチン帝国は、その後も千年の長きにわたり歴史に輝き、今も人々に歴史の奥深さを想起させている。

 

画面は先ず、イタリア ベネチアのガラス細工工房から始まる。イタリア ベネチア サンマルコ大聖堂にある秘宝の数々は、ビザンチン帝国の宝であったと紹介され、それは何故と疑問がおきる。実はイタリア ベネチア国が宗教戦争の際、ビザンチンから略奪してきたものが、今もサンマルコ聖堂に飾られているのだ。イタリア商人の船乗り達は 実はベネチア海軍の水兵であり、バチカン帝国の秘宝を強奪するのは、ベネチアにとって、当時決して困難なことではなかったと歴史の真実を教えてくれる。

 

トルコとギリシャは歴史的に敵対の宿命を今も持っている。ビザンチン帝国最後の皇帝、コンスタンティヌス2世は、ギリシャ出身のキリスト正教徒であり、オスマン帝国とビザンチン帝国の対決で自らの敗北は目に見えていたが即位した歴史を持つ。オスマン帝国メフメット2世は、終生アレキサンダー大王に憧れた大人物で、1453年イスタンブールの山越えして金角湾に船を浮かべ奇抜な大作戦でビザンチン帝国を破ったことは、今も人々に語られている。

 

ビザンチン帝国征服後のメフメット2世は、敵対するキリスト正教教会聖ソフィア大聖堂を破壊させることもなく、そのままイスラム教モスクに改造し、現在に至っている。彼のグローバルな性格が異教の歴史を尊んだ歴史である。

 

トルコ人とギリシャ人の男女大学院生による 両帝国の歴史を史料に基づいてひも解かせ、歴史に記された皇帝達の姿を明確にすると共に、現代史のキプロス島に集中されるキリスト教ギリシャ人と イスラム教トルコ人の歴史的対決を考察させていくストーリは見ていても興味深い。

現代史にもつながる宗教対立の問題を見つめながら「歴史の複雑さは美しい」とつぶやく最後の女子学生のひとことは、このスペシャルの主題ともなっていて、大変見応えのあるHV特集であった。

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