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NHKドラマスペシャル 白洲次郎    全3巻 6時間    NHK BS

白洲次郎(19021985)は、日本の支配層を代表する大物経済人。父親も、ハーバード大を卒業、三井銀行・カネボウを経て、芦屋の大綿花商を営む。次郎は神戸一中を経てケンブリッジ大に学ぶ。正子夫人は樺山伯爵令嬢。


白洲次郎は、戦中近衛文麿ブレーン、戦後は吉田茂ブレーンとして、GHQと内閣をつなぐパイプ役として活躍、その後も大物経済人として、東北電力社長。次郎の強い個性は、今も数多くのエピソードを残す。


ケンブリッジ大卒業者には、オックスブリッジアクセントという一種独特の英語表現法が身についており、戦後アメリカ進駐軍GHQ将軍達との間で白洲次郎の活躍は、アメリカ人にも、強い印象を与えたという。憲法草案にも関わり、サンフランシスコ講和条約では、吉田茂に請われて国連総会に列席、数々の独立日本の姿勢を示すエピソードを残す。


この6時間という長時間ドラマを見て、自分も初めて知った白洲次郎の人間像に強烈な印象を受けた。印象のひとつに、戦時中の徴兵拒否。ロンドン武官時代からの友人辰巳を訪ね、赤紙を見せて、徴兵免除を依頼する。その際の言葉。

「この無謀な戦争には、自分は何ひとつ国家に差し出したくない」と堂々と述べて、辰巳の激しい怒りを誘うが、彼は最後まで堂々とこれに抗す。とても、当時の日本人でこんな言葉を述べられる立場の人は居なかった。モチロン、こうした行動に出れるのも、近衛文麿の側近という強い立場があったことが、背景にある。

白洲次郎には、日本の支配者側の一人として、徴兵拒否が可能な、強い立場に位置出来たのだ。

多くの資本家階級の息子達が密かに徴兵拒否に走ったと聞くが、何時の世にも支配者達には、こうした逃げ道が残されている。白洲次郎は、日本の支配階級の超エリートの一人であったのだ。


白洲正子夫人とは、心の微妙な表現さえも日本語ではなく、お互い英語を使って語り合うことが出来た。こんなことが、当時の日本で出来た人はそんなに居なかった。しかも、次郎も正子も日本の支配階級の超エリート子女として、時の総理をオヤジと呼べる立場にいた貴族でもある。


このドラマは、終始、日本の超エリートの強い精神力が語られている。しかも、支配階級としての、自尊心と使命感を維持し続けて。


支配者としての白洲次郎の生涯、ここには、日本資本主義の太い柱が見える。白洲次郎の個性強い男の生き様の中に、英国貴族の良き伝統を受け継いだ、日本の超エリートが生き抜いた痛快さを、このだラマは6時間たっぷりと楽しませてくれた。

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