NHKハイビジョン特集  小田実 遺す言葉 

                     NHK デジタル BS-2 2008年 1月 7日放映

小田実は2007730日 東京聖路加病院で 75歳の人生を閉じた。告別式に集まった2000名の人々は、霊柩車の後に続いて長いデモ行進を起こし、故人の市民運動に捧げた生涯を偲んだ。


小田実は大阪天王寺高校から東大に進み、ハーバード大学に留学する。留学体験を書いた「何でも見てやろう」は自分の学生時代にはベストセラーになった。留学中に、大阪大空襲とは、敗戦直前、国体護持を理由にポツダム宣言受託をきちんと表明しなかった日本政府のカラクリをはじめて知って、戦争での無意味な死の意味を実感した小田実は、この大阪空襲を思想の原点にして、一貫して反戦思想を貫いていく。その後、小田実はべ平連代表として激しい市民運動を展開していく。良心的徴兵拒否、反戦脱走兵擁護、鶴見俊輔、吉川勇一、小田実の活動はベトナム戦争に反対する民主勢力の先頭に際立った。


そして、2007年 がん宣告を受けて、余命わずかな病床の中で、小田実の語った言葉。

「日本は今改憲、改憲とワイマール憲法下のナチスドイツ登場と同じ状況にある。少数独裁国家の道を歩こうとしている。民主主義を大切にしないと改憲は進む。


日本は価値のある国だ。戦後日本は民主主義と自由をアメリカに貰ったけれども、ひとつ非常に大事なことをつけ加えた。平和主義を付け加えた。平和主義に基づいて、我々の産業構造も出来上がった。この国の中心部分には軍需産業はない。平和産業だけでこれほど繁栄を築いた見事な国は日本しかない。全世界の歴史始まって以来、日本しかない。繁栄の一番大切なところは中流をつくったことだ。中流の生活基盤を、経済基盤としての「中流」の生活をつくった。えんえんとつくった。えんえんと科学技術の基をつくってやった。これはすごいことだ。

しかし、その行く道を間違えた。それは何かというと富国強兵の道。(ここで小田実胸を詰まらせて、泣き声になる)結局侵略していって・・・。侵略していってメチャクチャしてそれで終わった。そう考えると、胸がつまってくるよね・・・。日本はメチャクチャになってしまって。それを反省した平和憲法をつくった。それは平和主義。民主主義と自由に平和主義をくっつけて、そこに科学技術をくっつけて、つくっていった。それが今までの中流の暮らしの拠り所をつくった。それを今残念なことに破壊しようとしている。格差を創ってこれこそ世界の資本主義といっている。これでは一体なにをしてきたかわからない。折角、戦前の反省に基づいて、平和憲法の下に、繁栄を築いてきたのに、元の木阿弥ではないか・・・・」


「日本は今何故モンスターアメリカと結びつく必要があるのか・・・・」


小田実はどことなく宮本顕治の雰囲気と似ている。きつい目の底には、広く人々を愛する優しさが光っている。小田実の霊柩車を見送りながら、人々から、一斉に、そして自然に沸き起こった拍手。そういう送りかたをされるのは、彼しかいない。NHKは素晴らしい番組を創ってくれた。


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