70才で読み直す資本論

第2章、第3章、1月17日ゼミナール 予習  不破哲三講義録より

第2章交換過程

ここでは、商品から貨幣への発展をたどる。ここでは商品経済の歴史の研究も始まる。経済学での人間の登場は、個人ではなく、その行動はこういう性格を持たざるをえないのだという視点で人間を見つめる。これを経済的諸関係の人格化という。

商品所有者は、自分の商品を一般的等価物として、商品交換する。一般的等価物ということは、社会的過程を経て、商品は貨幣となる。歴史的に交換関係の第3の商品は、一般的等価形態の役割を果たし、特殊な商品に固着し、貨幣形態に結晶する。貨幣形態は、商品交換の広がり、深化と共に、金および銀という貴金属に固着する。

マルクスは、商品交換の歴史を資本論で簡潔に述べているが、エンゲルスは、「家族、私有財産および国家の起源」でこの交換過程論を活用している。エンゲルスの「家族、私有財産および国家の起源」とし本論を対比させると面白い。

マルクスの史的唯物論は、経済の諸関係が社会の土台をなしており、政治や法律などの制度的な仕組みや、宗教や哲学、芸術などいろいろな思想形態は、その上に立つ上部構造だと捉える。経済の仕組み、奴隷制であるか、封建制であるか、資本主義であるかを「経済的社会構成体」とマルクスは呼ぶ。

マルクスが、人類社会の最初の段階は、原始共産主義の社会だったと認識を公表したのは、「経済学批判」であった。マルクスにとって、「古アジア的」とは、原始共同体を指す用語であった。また「「宗教」の問題に関して、マルクスは批判的というより、冷やかすような調子があちこちに目立つ。これは当時の時代的背景を頭において読むことが必要でしょう。

マルクスもエンゲルスも、宗教を一律に時代逆行的な存在として扱ったわけではない。




第3章 貨幣または商品流通

ここでは貨幣が活躍するようになった商品世界全体の運動論を研究する。貨幣が仲立ちをする商品交換を商品流通という。マルクスの貨幣論の組み立て。

第1、商品の価値のモノサシとしての貨幣の機能。

第2、貨幣は商品交換の仲立ちという役目を果たす

第3、貨幣築造、支払手段、世界貨幣としての機能。GWGの発展、定住。


価値の尺度

価値目盛りの単位は、最初、貨幣に使われる貴金属の重量で決められた。価格形態は、価値に固定されない弾力性をもっているからこそ、「無規律性の平均法則」が貫徹する。


流通手段

「商品の変態」「貨幣の流通」「鋳貨。価値章評」

形而上学的な考え方。矛盾するものは存在しない。対立するものは、矛盾のためにこわれてしまって存続できないという考え方。

弁証法的な考え方。物事の運動形態の中に矛盾がどのように発展してゆくかを研究し、矛盾は運動を生み出し、発展させる原動力だという考え方。

商品の価値形態が貨幣形態へと発展するなかで、価値と使用価値との矛盾をみる。

マルクスはリンネルと聖書の交換過程で、「信仰欲望」という言葉をつかって、宗教を少し皮肉っている箇所がある。

生産物交換では、購買と販売は確実に一致するが、商品流通では、貨幣を媒介として、購買と販売は分離・分裂している。

恐慌の話が出てくるが、規定・概念のなかには、恐慌の可能性がどうして恐慌になるかは、説明にふくまれていない。

購買と販売が相互に分離し、矛盾することがなければ、恐慌は存在しえない。

マルクスは、恐慌の可能性を恐慌の原因と取り違えることも警告している。


貨幣の流通

商品世界の流通過程が順調に進行して行くためには、諸商品の価格総額/貨幣の平均流通回数が必要である。


鋳貨・価値章標。

金貨幣の象徴を利用した、紙幣による金貨幣の置き換え。紙幣の置き換えにより、流通手段の必要量の法則にも変化がおきる。紙幣を発行する国家は、内在的諸法則によって規定された金量以上を発行したら、インフレーションを起こす。


蓄蔵貨幣の形成

人間社会で「貯めこみ主義」は貨幣とともに始まった。

支払い手段としての機能

信用売りの登場により、貨幣は、支払い手段という新しい機能を与えた。商品交換の後にも残る、債権・債務。貨幣恐慌の可能性という新しい問題を生む。これは恐慌の第2の可能性になる。日本の現物地代の貨幣地代への転化が述べられている。


市場経済と社会主義の問題

社会主義を目指す道筋における市場経済の意義と役割。

市場経済の否定面

恐慌という大破局を生み出す可能性をもっている。弱肉強食の傾向が強まり、貧富の格差が広がる。市場経済が日々資本主義を生み出す。

市場経済の効用

需要と供給のバランスを物価に反映し、調整作用が行われる。熟練労働と非熟練労働の差異を評価する。市場競争によって生産性を向上する。コスト削減への刺激を促進する。マルクスは経済理論の中で恐慌を大きく考えていた。そして、社会主義では市場経済は両立しえないと考えていた。レーニンもそう考えていた。資本主義に勝つために、市場経済が必要と考えるようになった。スターリンは市場経済を追放したが、それに変わるものを見出し得なかった。市場経済では、活動の成果が価値で計られる。しかし市場経済を放棄したソ連では、モノサシがなかった。市場経済の、不況や雇用問題、利潤第一主義や拝金主義、弱肉強食による経済格差や環境問題を社会主義ではどう扱うか、市場経済では体制側からも体制存続の為に市場経済暴走を抑える動きがある。市場経済を通じて社会主義に至るには、民主主義の拡大が必要だ。

市場経済の道を通じての社会主義達成の為には、更なる市場経済の研究が必要である。