NHKスペシャル 急増 働く貧困層  ワーキングプアー   (2006年 7月 23日 NHK 総合TV 放映)

 

今、急速な速度で格差社会の棲み分けが進んでいる。弱者を追い詰める公的保険費用の増額、病弱者の公的保護削減、中高年の雇用機会減少。何よりも生活保護基準以下の人々が日本全国で10%以上になろうとしている。マルクスが説くように、産業予備軍が増えれば増えるほど、労働者階級の足元は地盤沈下していく。NHKは具体的に職を求めても職が見つからない34歳の高卒ホームレスの話、深夜業を含め3つのアルバイトを重ねながら年収200万円に至らない大卒中年労働者の話、さびれた商店街にひとり淋しく頑張る仕立て屋のおじさん、年金は妻の入院費に消え、洋服仕立ての仕事は全然ない、1食100円の食費にひとり食卓にむかう後ろ姿。一家全員で働けど将来の見通しがまったく立たない山村農家一家の暮らし、親に捨てられた児童がたどる希望が見えない大人の世界の話 等々。

しかし、官僚上がりの大学教授は血色の良い横顔に笑みを浮かべて曰く、「貧しいからといって政府に困窮者を丸が抱えで助けろと主張するのは間違っている。民間活力を高めて、社会が豊かになれば、富者は貧者を助けてくれる」と。

 

以上がNHKスペシャルの1時間ドキュメンタリーの概要。自分がいつも根本問題として考えてきた貧しさの問題を久しぶりにNHKが取り上げてくれた。貧しさが再びひたひたと庶民の生活に襲い掛かってきていると実感。しかし、そこには、米ソ冷戦対決時のような、階級意識に基づいた基本的社会視点は全然出てこない。マルクスはもう古いと断じた資本主義勝利宣言の波及効果なのだろうか、あたかも社会の表面を撫で回している感じ。

 

共産党は、今や日に日に弱くなりつつあり、労組勢力の復活も期待出来ない。いわんやこうした格差問題への階級史観に基づく将来像など、今のNHKには期待できない。ますます格差社会は深刻化していくのだろう。にもかかわらず、ニートの青年達は選挙では自民党に投票し、「ムード」に乗って「民主だ、自民だ、公明だ」と下馬評を楽しむのだろう。企業はますます正規従業員の比率を減らし、ニート青年は、労働者は団結せねば勝てないという鉄則さえも気がつかず ふらふらと年老いていくのだろう。

 

基本的には、社会における貧富格差の問題は、科学的社会主義の理論できちんと体系だって学び、労働者階級が主体を占める社会改革がなくては、底辺の人々はいつまでも救われないという事実に気がつかねばならない。しかし、そのためには、革新勢力が今よりもっと強くならないと、人々の覚醒は望めない。労組幹部もそれは判っているはずだ。しかし今は手も足も出ない。自民か民主かと言っている間は、こうした基本的社会問題に解決の光は見えてこない。残念であるが、今はじっと現実社会を見つめ、格差社会がどんどん進行していくのをじっと見つめているほか、取りうる選択の道はなさそうだ。

 

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