<コンサートのご紹介>

 

創作オペラ 『小山物語』


2004年5月22日(土)・23日(日)

 



 栃木県小山市は市制50周年を記念して、創作オペラ『小山物語』を演奏する。このオペラは3幕6場で構成されており、1、2幕が武将 「小山氏」 が活躍した鎌倉時代が舞台となっている。ちらしによれば、源頼朝が平家打倒に立ち上がったときの、小山家の苦悩と決断が描かれているという。3幕では江戸時代の間々田宿(小山のちょっと東京より)の賑わいや庶民生活が背景に創作されているとのこと。副題が 「思い川のほとりで」 となっている。思い川は小山市を流れる川である。

 小山から筆者が住む栗橋までは日光街道で結ばれている。日光街道は、江戸時代の主要五街道のひとつで、日本橋から日光東照宮まで140kmにおよぶ道中である。徳川家康霊廟を久能山から日光東照宮に移したことから、将軍家の参詣道としてつくられたもの。21か所の宿が設けられていた。栗橋宿は、埼玉と茨城をわける利根川のほとり、唯一関所がある7番目の宿場町 として交通の要衝であった。
 源義経の後を追って奥州平泉に向おうとした静御前が、この地で義経の死の報せにあい、光了寺で菩提を弔いながら亡くなったといわれる終焉の地でもある。近所に炮烙地蔵(ほうろくじぞう)があるが、関所破りの重罪人を火あぶりの刑に処した場所とのことで、処刑者の霊を供養するため祀った地蔵である。JR栗橋駅前には探し出すのもたいへんなほど小さなお墓があるが、それが静御前の墓である。もっとも静御前の墓というものは、ほかにもあるそうだ。男声合唱団コール・グランツの練習場は、墓のそばにあるクラッセという小規模なホールである。ちなみに間々田宿は11番目、小山宿は12番目の宿場である。

 わがコール・グランツ指揮者の笠井利昭氏(バリトン)は、源頼朝役で5月22日・23日の両日とも出演予定である。また、芸術監督でみずから七郎兵衛役も歌う荒井 弘高氏は、以前コール・グランツに指導に来られたこともあり、無縁ではない。コンサートのご成功をお祈りしたい。

 キャストの大半は小山市に活動する音楽家が中心である。また、合唱は、小山市民オペラ合唱団、小山児童合唱団、それと一般有志が参加している。わたしの仲間も何人か出ているかもしれない。くわしくは、小山市民オペラをつくる会のホームページをご覧いただきたい。

加藤良一  (2004年 5月11日)