<コンサート・レヴュー>



結 城 市 民 音 楽 祭

第13回 手づくりコンサート


 加 藤 良 一  (2003年11月16日)
 


 茨城県結城市で小さな音楽祭が行われました。このイベントは「手づくりコンサート」というだけあって規模的には小さいですが、今年で13回目を迎え年々盛んになってきています。まだアクロスホールが出来る前は公民館の2階などを使ってスタートしましたが、いまではそれなりの音楽ホールで開催できるようになり、近隣の合唱団の参加もみられるようになりました。
 この音楽祭の「手づくり」の手作りたるゆえんは、会場の案内看板にもよく表れています。ここに紹介した2枚の可愛らしい動物たちは、本物の花びらと葉っぱで作られています。これはたいへんな力作です。




      結城市民音楽祭 第13回手づくりコンサート
      2003年11月15日(土)
      結城市民文化センター・アクロス小ホール
(茨城県)
      主催:手づくりコンサート実行委員会
      後援:結城市教育委員会、結城市文化協会、ゆうきエコー女声合唱団


 
花びらを貼り絵の材料に使うのは、花が生きているだけにかなり時間的制約があるようです。花は茎から切り離された瞬間から変色が始まります。だからあまり早めに貼り付けるわけにもいかないし、かといって 本番直前に貼るのはこれまた大忙しでたいへんです。けっこう気苦労の多いことと思いますが、まだ生きている花びらや葉っぱが直接語りかけてくる本物の手触りは捨てがたいものがありました。


 今回はじめて女声と混声に混じって、今年産声をあげたばかりの「つむぎの里ゆうき男声合唱団」(指揮:笠井利昭)が出演しました。演奏曲目は“I've Been Working on the Railroad”(アメリカ民謡:「線路は続くよ」)と“Old Black Joe”(フォスター作詞作曲)の2曲。2曲目では、ちょっとしたハプニングもあって聴衆を喜ばせました──いや、びっくりさせたというほうが正しいかもしれませんが、とりあえず男声合唱の醍醐味は堪能していただいたようです。


 出演団体の中ではなんといっても「ゆうきエコー女声合唱団」( 写真、指揮:笠井利昭)がよいアンサンブルを披露していたと感じました。 女声合唱組曲『水のいのち』より「水たまり」と「」を演奏しましたが、この曲は思いのほかの難曲です。ゆうきエコーは、適切な表現で高田三郎の世界を描き出していました。メンバーそれぞれの発声もよかったですし、指揮者の笠井氏が的確かつかなり気合の入った指揮で、それらの持てるものを存分に引き出していました。

               


 終演後、かんたんな打上げパーティが催され、今年初めて参加した男声合唱団に異口同音のエールが贈られました。