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5回全日本男声合唱フェスティバル in 高知

ヴィヴ・ラ・コンパニー … バッカス賞受賞!










 加 藤 良 一
2016年8月2日



今年で5回目を迎える男声合唱の祭典<全日本男声合唱フェスティバル>が、高知市文化プラザかるぽーとで79日、10日の二日間にわたって開催されました。


■全国から21団体が参加

 関東支部からは、男声合唱団Vive la Compagnieヴィヴ・ラ・コンパニー(ヴィヴコン)、第3回岡山大会、第4回京都大会に引き続き参加しました。個人的には、第1回宮崎大会にはフルトン男声合唱団(宮崎県)のメンバーとして潜り込んで参加し、第2回福島大会には個人参加しましたので、今回も含めて全5回すべてに参加しました。

 ヴィヴコンは、埼玉県下の男声合唱5団体の集まりである男声合唱プロジェクトYAROの有志によるイベント合唱団です。団長は持ち回り、今回は男声あんさんぶる「ポパイ」の伊藤博行さんにお願いし、指揮者は毎度お馴染みとなった埼玉県合唱連盟理事・南めぐみさんに依頼しました。

 全日本合唱連盟は、北海道、東北、関東、東京、中部、関西、中国、四国、九州の9支部に分かれています。

 今回の参加団体は、14地域から21団体でした。
 北海道11)、福島11)、埼玉11)、東京11)、京都14)、大阪23)、滋賀10)、兵庫22)、岡山22)、島根11)、香川20)、山口11)、徳島10)、高知30)、愛媛10)、福岡11)、その他に個人で合同合唱に参加された方が29名おられました。カッコ内の数字は前回の京都大会における参加数です。

 今回は、地元四国支部から香川、愛媛、徳島、高知のすべてから参加がありましたが、残念ながら中部支部からは参加されませんでした。やはり開催地に近いところからは多くの合唱団が参加してきますし、遠距離では足が遠のくのはやむを得ないことでしょう。

 過去5回の大会に連続参加している唯一の合唱団は、大阪メールクワイアー(大阪)です。これは表彰ものですね。次いで4回参加が合唱団京都エコー(京都)、いわきメンネルコール(福島)、FREIE KUNST(島根)、3回参加が北海道男声合唱団(北海道)、ヴィヴ・ラ・コンパニー(埼玉)、京都男声合唱団(京都)、メンネルコール“Iコール・ロチェアーノ(岡山)、メールソレイネ(山口)、九州フレッシュメンコア(福岡)と並んでいます。みなさんいろいろ事情を抱えながらよく参加していると思います。

 出演団体(出演順)

1. 高知県  声流 漢唄い人
2. 福島県  いわきメンネルコール
3. 大阪府  大阪府立淀川工科高等学校グリークラブ&メンズ・ウィード
4. 香川県  丸亀男声合唱団コール・メル
5. 大阪府  大阪メールクワィアー
6. 北海道  男声合唱団ススキーノ

 

7. 高知県  いのコーラスマスターズ
8. 岡山県  コール・ロチェアーノ
9. 山口県  男声合唱団メールソレイネ
10. 愛媛県  えひめグリークラブ
11. 高知県  TURKEY'S CLUB
12. 徳島県  徳島男声合唱団「響」
13. 島根県  男声合唱団FREIE KUNST
14. 岡山県  男声合唱団メンネルコール”I”

 

15. 京都府  京都男声合唱団
16. 埼玉県  男声合唱団Vive La Compagnie
17. 兵庫県  男声合唱団コール・セコインデ
18. 福岡県  九州フレッシュメンコア
19. 兵庫県  STARGAZER
20. 香川県  グリークラブ香川
21. 東京都  Goldbächer Männerchor


150人の大合唱

 合同合唱は、1日目の土曜午後、参加団体が下記の3講座に分かれて講習を受け、その後大ホールに集まってお互いにその成果を聴き合う方式で行われました。翌日の本番でも、もちろん合同演奏を披露しますが、リハーサルなどで会場外にいる団体はその間他の合同演奏を聴けないのは残念でしょうということで、前日の練習後に聴き合い男声の大合唱を満喫してもらおうという狙いなのです。聴き合いは講習の直後ですから(たぶん…)出来立ての良い演奏となったのではないでしょうか。ヴィヴコンは、タダタケ作品の広瀬康夫講座に参加しました。


広瀬康夫講座の演奏ステージ


山脇卓也講座のリハーサル

 講 座    演奏団体    人 数          演奏曲
須賀敬一  No.16    153人  髙田三郎作曲「水のいのち」より

       水たまり、海、海よ

山脇卓也  No.713    141人  信長貴富作曲「時代」より

       サボテンの花、生まれ来る子供たちのために、時代

広瀬康夫  No.1421  156人  多田武彦作曲「尾崎喜八の詩から」より

       冬野、春愁、天上沢、かけす


須賀敬一講座は当初高嶋昌二先生を予定していましたが、大会直前に病気入院されたため急きょ須賀先生が代理として引き受けられたものです。



■ジョッキ片手に大合唱<交流会>



 合同合唱の<聴き合わせ>のあと、場所を高知城そばのザクラウンパレス新阪急高知の屋上ビアガーデンに移して<交流会>が開かれました。この大会の一番の楽しみは、ふだんなかなか会えない全国の合唱仲間と旧交を温められることや、facebookで旧知の仲ではあるもののまだ見ぬ友人とリアルに会えることです。リアルに出会うのは初めてでもお互いに写真で知っているので話が早いです。あたかも旧知の友のように会話が始まってしまいます。その仲を取りもつのはやはりお酒と歌でしょうね。

板さんが張り切ってカツオのたたきをワラで焼きます。さすが本場高知ですね。


■多彩な男声合唱で聴衆を魅了

演奏会トップは地元高知の声流漢唄い人(せいりゅう おとこ うたいびと)。混声合唱団Pangeのメンバーを中心に県内の男声陣が集結した合唱団でした。高知出身の漫画家やなせたかしさん作詩の「さびしいカシの木」(木下牧子作曲)と「津軽じょんがら節」(松下耕作曲)を演奏しました。この団は、その都度集まるという点ではヴィヴコンに似ていますね。

やや異色なのは、大阪府立淀川工科高等学校グリークラブ&メンズ・ウィードでしょうか。かつて勇名をはせた淀工グリーは今や風前のともし火状態にあるらしい‥。20164月現在で3年生1名、2年生1名…、厳しいですね。そのままではとても合唱になりません。そこで、OBのメンズ・ウィードと合同で出演しました。その熱意には敬服します。
 淀工グリーの苦境は、たまたま私の身近にある法政大学アリオンコールの危機と重なって感じられます。アリオンコールといえば、かつては田中信昭先生の指導のもと、多くの委嘱作品を初演するという見事な時代がありました。しかし、残念ながら現在は団員数が激減してしまい存続の危機に瀕しています。OBがあの手この手でバックアップしているものの、ことはそう簡単ではありません。最近になって、埼玉県合唱連盟の蓮沼喜文常務理事が顧問となって再建に取り組みはじめました。ぜひ復活されんことをお祈り致します。
 世の中、中年のおじさん達の男声合唱は一見それなりに盛んになっているようにみえますが、高校や大学では人気がいま一つ盛り上がりが足りない気がします。

・近ごろ聴く機会が増えてきたバーバーショップ・ハーモニーを見事に演奏したのがSTARGAZERです。広瀬康夫先生を中心に4人のヴォーカリストが奏でる完成されたハーモニーは、最初の一声で瞬く間に聴衆を引き込んでしまいました。四人のアンサンブルの良さは特筆すべきものです。魅了されました。
 厳密にいうと4人で4声部では「合唱」ではなく「四重唱」ですが、まあ細かいことは抜きにして楽しい演奏であることは間違いありませんでした。


■ヴィヴ・ラ・コンパニー、バッカス賞受賞

ヴィヴコンの出番は第三部16番目でした。バリトン伊藤博行さんのソロで黒人霊歌「Ev’ry Time I Feel The Spirit」、続いて相澤直人作曲「ぜんぶ」、最後に我が団のテーマソングである「Vive L’Amour」(ヴィヴ・ラムール)を高知名物を盛り込んだご当地ソングにアレンジして披露しました。

土佐弁を織り込むに当たり、いい加減なことはできないので、地元のジャズギタリストにしてエッセイストでもある清岡隆二さんのチェックを仰ぎました。清岡さんには、本番翌日に市内のライブスポットで「ジャズライブ」をセットして頂きました。ギターの弾き語りによるスタンダードナンバーで高知の夜を堪能させて頂きました。

Vive L'Amour
  いざや上げよ杯  Vive la compagnie!
  花のごとき乙女に  Vive la compagnie!
  (chorus
     Vive la, vive la,Vive l'amour.
     Vive la, vive la,Vive l'amour.
     Vive l'amour, vive l'amour,Vive la compagnie!!

  楽し仲間集えよ  Vive la compagnie!
  声を上げて歌おう  Vive la compagnie!
  (chorus
  なにもかも忘れて  Vive la compagnie!
  とわに続くこの日よ  Vive la compagnie!
  (chorus
  こじゃんとハチキン、いごっそう  Vive la,vive la compagnie!
  カツオのたたき、酒がありゃ、ご~き~げん

  <very slow
  龍馬と飲み明かそう  Vive la compagnie!
  これぞ高知の男フェス  Vive la compagnie!
  (chorus



 この大会はフェスティバルの名のとおりお祭りですから、それらしい雰囲気を出そうと「
Vive L’Amour」の後半、聴かせどころを土佐弁で聴衆へアピール、「♪これぞ高知の男フェス~」で指揮者が恐る恐る客席に振り向き、「まだかなー(^_-)」とにこやかに拍手を強要するという荒業に出ました。
 お客さんは、当然というか仕方ないというか、とにかく狙いどおり笑いとともに拍手喝采、これで(企みどおり…)みごとバッカス賞を射止めてしまいました。バッカス賞とは三人の講師それぞれがこれぞという団を選び出して、三団体を表彰します。賞品は、土佐の銘酒一升瓶3本、ビール1ケース。もちろん地元の企業が協賛してくれました。この賞を頂くと、やっぱり夏の男の祭典だと実感します。


 次回、第6回全日本男声合唱フェスティバルは201778日~9日北海道小樽市で開催されます。夏の北海道はいいですね。小樽といえば、昨年まで全日本合唱連盟副理事長を務められていた中村浩さんのお膝元、きっと楽しい大会にしてくれることでしょう。
 参加メンバーを集めるのはけっこうたいへんですが、全国の合唱仲間にお逢いするのが今から楽しみです。

【ヴィヴ・ラ・コンパニー出演メンバー】
・指揮:              南めぐみ(埼玉県合唱連盟理事)
トップテナー:    宇佐美平和(イ)   鳥海勝利(イ)       星野英明(グ)
・セカンドテナー:  福島  洋(メ)     加藤良一(グ)      横山  努(イ)      平野桂介(イ)
・バリトン:           伊藤博行(ポ)      石川  正(グ)      須田信男(メ)       中村壽宏(メ)
・ベース:             百崎直也(メ)       武藤  勝(イ)      佐野幸雄(ポ)

(イ:イル・カンパニーレ、 メ:メンネルA.E.C.、 グ:コール・グランツ、 ポ:あんさんぶる「ポパイ」)



打上げは魚介の旨い店で…
左:立川談らく師匠こと横山努さん(セカンドテナー)、中:大岩誓子さん、右:指揮者南めぐみさん

大岩誓子さん(声楽家)は、島根県の出雲観光大使



       
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