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ジョイントコンサートを終えて

歌声よ届け〜魚水愛子とヤングハートな仲間たち

2014年初秋    魚 水 愛 子



 2014727日(日)、「歌声よ届け〜魚水愛子とヤングハートな仲間たち〜 コンサートを市民会館おおみやにて開催し、おかげさまでほぼ満席と盛況のうちに無事に終了いたしました。

 このコンサートは、私が指導していますシニア世代の女声合唱団、コール・エーデルワイスリピート愛唱歌を歌う会カトレアの4団体、それに混声合唱団レッツ・スイングの計5団体によるジョイントコンサートで、ゲストテノールの川上洋司氏とヴァイオリンの魚水ゆりの二人、そして賛助出演の男声合唱団コール・グランツさんの協力を得た、総勢100名ほどの舞台でした。



 本番に向け長い山道を団員の方々と共に歩み続けて、やっと迎えた当日は、山頂で皆で笑顔の万歳ができた、みたいな、手前味噌ですが大成功だったと感じています。

 このコンサートには、タイトルにありますように二つの趣旨がありました。まず一つは 歌声よ届け です。1年余り前の第1回目の実行委員会での話し合いの中で、20113月の大震災の被災者に向け、復興の祈りとエールを送りたい、そんな意見が出されました。一方、私どもの歌声がそんな力を持つことが出来るのだろうか、そんな意見も上がりました。それでも、多くの方の無事や幸せを祈る想いが届くよう、我々なりに一生懸命歌おう、と決まったのが 「歌声よ届け」 でした。
 そして二つめは ヤングハート です。このネーミングは、2008年公開の平均年齢80歳というアメリカのロックコーラスグループを描いたドキュメンタリー映画 「ヤング@ハート」 から取っています。今回のこのジョイントコンサートに出演した団員の平均年齢は映画よりは少し若いとは言え、それでも70歳は軽く超えています。シニア世代が、仲間とともに楽しんで歌うだけではなく、音楽的な目標を持つことで、日々の健康と若々しさと、より深みのある楽しさを得て欲しいと思いますし、コンサートでは客席にその活力を届けたいと思いました。それが 「ヤングハート」 の趣旨です。
 嬉しいことに出演者全員からこの趣旨への賛同、共感、応援をいただきました。

 団員の方々は、ほとんどが、中高年を迎えてからコーラスの喜びや苦しみ?を初体験された歌好きの普通のシニア市民の方々です。中には、入団して初めて音符の読み方を知ったという方も少なくありません。
 というわけで、準備期間は、このようなシニア世代と共に舞台をどう作り上げるか、コンサートの趣旨の何をどう伝えるか、はたして伝わるのか、どうしたら最善の響きと流れが生まれるかなど、時には眠れないほど頭を悩ませていました。平均年齢70歳プラスアルファのコーラスで、この世代のプラスの面を生かし、曲想を作り上げ、客席に伝え、聴いていただき、見ていただくということが私に課せられた仕事です。それは大きな意義のあることだと思う一方、内心どんな出来になるのか大変不安であったことは否めません。

 シニア世代の良い点は人間的な温もりと優しさかと思います。かたや悪い点は全ての身体パーツの硬さと特に女性の筋力不足、そしてそれらからくる鈍さと重さと響きの硬さです。発声においても、表現においても、寄る年波に逆らってもらわなくてはどうにもなりません。そこで呼吸をするときは身体パーツすべてを緩めて緊張をほぐしてもらう、若々しいエネルギーを体の芯から感じて全身に放ってもらう、私の意図する点を根気よく繰り返す、そして私自身が団員を信頼する、これが私が常に心がけねばいけないことでしたし、このコンサートのおかげで今まで以上にさらに踏み込んで学んだことでもありました。

 最後のステージは、ゲストも交え出演者全員で 「上を向いて歩こう」 「翼をください」 「花は咲く」 「スタンド・アロン」 というおなじみの曲をラフな服装で歌いましたが、指揮をしていて幸せに感じられるステージでした。団員皆が楽しそうであり、響きが一つになって歌声がメッセージとして会場に流れていくのがわかりましたし、我ながらゲスト参加のアレンジも効果的と思いました。


 コンサート終了後、多くの方から賛辞をいただきました。存じ上げない方からも感動したと声をかけていただき、嬉しいかぎりでした。「家族から、お義理で行ってみたら予想に反して、とても素晴らしいコンサートでびっくりしたと言われ、鼻高々ですよ。」 などと団員からも報告があり、私もしばらくは鼻高々気分でした。

 会場の市民会館おおみやは最新のホールとは違いますので、コンサートには不向きではないかと心配しましたが、実際、空調が連日の酷暑でうまく作動せず、出演者皆汗だくの熱演となりましたが、今考えればこれもたいした問題では無かったと思えるほど、皆で成功を喜びあうことが出来ました。このコンサートの趣旨通り、アマチュアシニア世代の祈りを込めた歌声を届けられたと思いますし、我々の 「ヤングハート」 もお届け出来たと確信します。

 さて、得意げに総括を書いてまいりましたが、最後に、実はこの成功の裏には、団員とスタッフの方々一人一人の努力もさることながら、ゲストのプロの力と、快く賛助してくださった男声合唱団コール・グランツさんの心地良い響きの手助けがあったおかげが大きいことをここに告白しておきましょう。皆様に感謝!




      

       
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