M-108
伊藤整の直筆手紙 関学グリーから小樽文学館へ
|
小樽を代表する作家・伊藤整の直筆の手紙が、関西学院グリークラブOB「369会」から小樽文学館へ寄贈されることとなり、5月23日、同館で寄贈式が行われ、手紙を保管していた「369会」代表から、中松義治小樽市長へ手渡されました。
詩と音楽に関する所見、「もし私のあのやうな詩が音楽と協力できるならば、私は詩といふものを、それまでと違ったものとして考えることができるのではないか、と思ひます。」
などと、中央公論社原稿用紙4枚に書き綴られていました。
「369会」の杉本正和さんは 「昨年10月、伊藤氏の手紙を小樽文学館へ寄贈した方が良いかと、現役の責任者やOB会に相談し、このような結果となりました。1960年の東京リサイタルでは、伊藤氏と多田氏の前で 『雪明りの路』 を披露しました。伊藤氏は楽屋まで来て 『西洋音楽になり、うれしいことはない。詩の活動で新しい取り組みができるか』
と話していた」 と述べています。
中松小樽市長は 「心より歓迎し、お礼を申し上げます。書簡は、市民や観光客にも広く、大事に見てもらいたい。伊藤整は、小樽を代表する作家で、来年、15年目となる小樽雪あかりの路のイベントも、是非、ご覧いただきたい」 と話されました。
会場では、寄贈式に合わせて来樽した「369会」当時のメンバー30名が、 『雪明りの路』 から 「春を待つ」、「月夜を歩く」 を含めた7曲を歌い、参列の50名が聞き入りました。
関西学院グリークラブは、1899年に誕生した日本最古の男声合唱団で、伝統と歴史を誇ります。「369会」とは、昭和36年・37年・38年・39年に同大学を卒業した者を意味し、現在、一番若い会員でも70歳だといいます。当時のメンバー約30名の歌声が館内に響きました。
歌い終えたメンバーは 「当時、本邦初公演で、100名のメンバーで歌った。50年ぶりに会い、みんなで歌い感動した」 と当時を懐かしんでいました。
同館の玉川副館長は 「 『雪明りの路』 は、伊藤整にとって特別な思い出深い作品で、案内状が来て、便箋4枚も書いたということは、大変喜んだのだと思う。ゆかり深い手紙だということで、経緯としても珍しく、大勢の方に見てもらいたい。宝のようにして下さったと思い、大変ありがたく思う」
と話されました。
また、昭和38 年卒の横山泰雄氏のコメントも、ここに引用させて頂きます。
私は演奏後、来場者の40歳位の男性から話し掛けられました。彼は小樽商大GleeのOBとのこと。彼は、涙目で 「素晴らしかった。直ぐ帰宅する気持ちにならない。暫く、館内で余韻を楽しんでいます。ところで、先程のステージには相当の練習を積んで来られたのでしょう。団員のどなたかに会い、敬意を表したかった次第です。」 とのコメントでした。
音楽・合唱コーナーTOPへ
HOME PAGEへ