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前川國男と東京文化会館









 東京文化会館は今年開館50周年を迎えました。いろいろな記念事業が展開されていますが、その一つとして設計者である建築家・前川國男を紹介する展覧会が小ホールのホワイエで開かれています。併せて、写真家・木之下晃の「20世紀のマエストロ100人」という写真展も開かれています。(開催期間は112日から22日まで。無料です。

 小ホールに至るスロープの壁を利用して木之下晃の写真が展示されています。ホワイエのガラス窓や壁に、小沢征爾やカラヤンなどの大きな写真が貼られています。木之下晃の作品は「写真から音楽が聴こえてくる」と称されるように、音楽ファンのみならず被写体の音楽家からも高い評価を受けています。


 東京文化会館は前川國男の代表作といわれています。展示規模はさほど大きなものではありませんが、落成記念式典のパンフレットに掲載された「設計者のことば」の自筆原稿が展示されていました。


「この会館はもともとその構想をミュジックセンター、即ち純粋に音楽専門のホールとして出発したものでありますが日本的社会の現実的な要求から最終的にはご覧の通りのオペラバレー、音楽そして国際会議場をも兼ねるといった所謂多目的ホールに変貌していったわけで、もともと多目的ホールの技術的な困難性をあえて承知の上で設計を進めることになりました。」


 けっきょく、国際会議場としては一度も使われることはないまま、その場所が現在の小ホールとなっています。小ホールについては、以前このコーナーに書いたことがありますので、参考までにご覧ください。M-84)『東京文化会館小ホール』



 開館当時の全景です。右下が上野駅、まだ駅の東西をつなぐ大連絡橋はありませんでした。文化会館の右手に見えるのが国立西洋美術館。この美術館は前川國男の師匠にあたるル・コルビュジエの設計です。



開館当時の緞帳です。その後何度か作りかえられています。




 ポスターやパンフレットに使われているらせん階段です。四階の音楽資料室から撮影しました。




らせん階段の途中の窓から見た西洋美術館です。


2011年11月9日




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