今年は、千年に一度といわれる東日本大震災の影響で自動車業界の休日が土日から木金にずれたこともあり、どの男声合唱団も週末の活動に四苦八苦しています。そんな逆境を跳ね除けるかのように、今年の埼玉は近年になく男声合唱陣の活躍が目につきます。

●男声の元気のあるところを少し紹介しますと、8月の全日本合唱コンクール埼玉県大会に全部で32校出場しましたが、金賞8校の中に男声合唱が4校も入っていたのです。これはすごいことです。第1位となった県立浦和高校グリークラブ3県立熊谷高校音楽部4県立川越高校音楽部6慶應義塾志木高校ワグネル・ソサィエティー男声合唱団が埼玉代表となって関東大会に出場しました。9小松原高校音楽部は惜しくも銀賞トップでしたので、これが代表権を獲得していれば男声合唱の出場校すべてが関東大会へ行けるところでした。いずれもBグループ(33人以上)の団体です。
 そして、9月に行われた関東大会(群馬音楽センター)では、Bグループ参加24校中、2位となった川越高校5位の慶應志木高校金賞を受賞して全国大会への切符を勝ち取りました。金賞は8校、そのうち6個を埼玉が獲得しています。関東代表枠は5校でしたのでいわゆる“ダメ金”は3個でした。いっぽうでAグループ(32人以下)には埼玉から2校しか出場せず、県立松伏高校音楽部(女声)が2位金賞で全国大会へ行くことになりました。埼玉の高校は大型の合唱団が中心です。

●つぎに目を一般の部の男声合唱に向けてみると、高校ほどではないものの、埼玉県大会出場20団体中、所沢メンネルコール44人)、男声合唱団Vive la Compagnie43人)、小松原OB合唱団「ピエロ」12人)の3団体が男声合唱でした。
 埼玉代表枠はAB合せて5団体、第1クール・ヴァン・ヴェール(女声)は金賞の常連、2 Wings(混声)と4合唱団amore(混声)はそれぞれ若手の実力派、3 La Mer(女声)は埼玉の老舗、そこへVive la Compagnieが並居る強豪を押しのけて5位に食い込んでしまったのです。これら5団体が102日(日)の関東大会へ出場した結果、Aグループでは、クール・ヴァン・ヴェール:11位銀賞合唱団amore16位銅賞Bグループは、La Mer3位金賞Vive la Compagnie5位銀賞Wings6位銀賞でした。





関東大会の前日に当たる101日(土)、男の祭典「彩の国男声コーラスフェスティバル」が秩父ミューズパークで開かれました。個人的には、担当理事として朝いちで会場入りしなければならなかったので、やむなく前日の金曜は秩父のホテルに泊まりました。その金曜の夜というのがまた、川越で夜7時から9時過ぎまでVive la Compagnieのコンクール直前の練習があったんです。練習後、慌てて電車に乗り秩父へ向かいましたが、けっきょくホテルのチェックインは11時半近くなってしまいました。

 さて、この彩の国男フェスは、今年で3回目を迎えました。参加団体はいつもよりやや少なめの18団体。賛助出演の女声合唱団コーラル・デイジーが男ばかりの祭りに花を添えてくれたのはありがたかったです。

男声合唱版「旅立ちの日に」を歌うハゲマス会

 第一部演奏会(音楽ホール)は、午後1245分から開始しました。もともとは夏休みのビアパーティのつもりでスタートした催しですので、演奏時間は短いです。むしろ早く終わらせてビアパーティに突入し、そっちで飲みながら歌おうという魂胆なのです。男声合唱の定番もあれば、オリジナル曲もあり、あまり気取らない演奏が多いですね。
 連盟理事のハゲマス会は、昨年(2010年)、作曲家の井川丹(あかし)さんに編曲をお願いした、男声合唱版「旅立ちの日に」を演奏しました。この曲は、
元埼玉県連理事で秩父市立影森中学校の先生であった坂本浩美さんによるものです。


 演奏会のプログラムは以下のとおりです。

 

団名

人数

指揮者

曲目

1

渡良瀬ブラザーズ

12

奥山巨樹

雨・柳河

2

海のもずくたち

6

佐藤 遼

いつからか野に立って・他

3

メンネルA.E.C.

21

須田信男

Sangerhilsen・雨後

4

ていおん!

4

な し

宇宙戦艦ヤマト

5

グリーナインス

30

田尻 桂

月光とピエロ

6

Chichibu Mikado Singers

6

な し

拙者秩父のジェントルマン・他

7

男声合唱団コール・グランツ

10

笠井利昭

祝福

8

男声合唱団ハゲマス会

13

北川 裕

旅立ちの日に

9

コーラル・デイジー(女声)

16

小島嘉子

桜の栞

10

男声あんさんぶる「ポパイ」

12

大岩篤郎

箱根馬子歌

11

志木グリークラブ

12

矢澤千宣

Gaudeamus

12

コーロ・メタボックス

10

園田圭一

メタボリックス讃歌

13

行田フロイデ

11

浅井一郎

自由の歌・雨

14

R・コール

20

勝 敏洋

ステンカ・ラージン・他

15

所沢メンネルコール

33

小高秀一

父が庭にいる歌

16

メンネルコールありの実

13

大島 豪

からたちの花

17

ベーレンタール男声合唱団

14

古澤利人

砂山・団歌

18

イル・カンパニーレ

6

小高秀一

箱根八里・秋のかなしみ

19

ドン・キホーテ男声合唱団

16

河田修朗

大漁祝い・斉太郎節


男声合唱団コール・グランツ

演奏については、女性陣による「人気投票」で1位となると、第二部懇親会で表彰され、再演できるという栄誉が与えられます。採点の基準はすべて評価者にお任せです。見た目でもよいし、音楽性でももちろんOK、パフォーマンスの面白さでもなんでも好みで評価してもらいます。どの団もそれぞれ個性があり、甲乙つけがたい面もありますが、合唱の巧さについてはやはり正規分布するもので、これはなんら世の常識と矛盾するものではありません。アンケートに中に、「今年は例年以上にレベルが高く、たいへん聴きごたえがありました! 若い人たちの参加が多かったのも、これからの埼玉の男声合唱の未来に期待が持てますね」というのがありましたが、このように受け取っていただけるのはとても嬉しいことです。


女声合唱団コーラル・デイジー




Chichibu Mikado Singers

 そして、人気ナンバーワンとなったのは、Chichibu Mikado Singersで、オペレッタのような「拙者秩父のジェントルマン」を紋付羽織袴でコミカルに演奏し、大喝采を受けました。高い歌唱力に加え、コミカルな演技もこなすエンターテイメント性が好評だったのです。投票用紙のコメントを紹介しますと、お声が素晴らしい、演出が楽しかった、衣装がよかった、動きがあり目と耳で楽しめた、地元秩父から唯一の団体として頑張ってくれた、などなど賛辞が寄せられました。

中でもプロ集団のていおん!は、さすがの歌唱力を披露しました。彼らは4人のバリトン・バス歌手で、クラシック、ポップス、アニソンなんでもありのグループ、テノールなんていらないをコンセプトにやりたい放題!です。アンケートには、プロっぽい(ってプロですから)、インターネットでよく見ています、ハーモニーが美しい、うまい!、圧倒的な声量、一人一人が個性的、もう一度聴きたい、エンターテイナーだった、右から二番目の彼タイプです、などうきうきと書かれていました。

彩の国男フェスは、ある面ではお楽しみ会ですので、撮影や録音は禁止していません。ただ、邪魔になるフラッシュだけは禁止です。そうやって楽しく遊べばいいのではないでしょうか。ところが、8月に日立市で開かれた関東おとうさんコーラス大会では途中で撮影も録音も禁止されましたが、このあたりはどうも規定が明確ではありません。以前の横浜の時も、最初は撮影も録音も禁止していましたが、参加者のクレームを受けて途中で解除されました。ようは大きなシャッター音など鳴らさないようにし、フラッシュも焚かなければいいだけなんです。業者に撮影や録音を頼んでいるわけでもないんですから、参加者の目線に立つ必要があると思います。


さて、彩の国男フェスに話を戻します。演奏終了予定は3時ごろだったのですが、みなさん制限時間を守って時間より早く進行してしまいました。第二部の懇親会は、音楽ホール隣りの野外ステージで行います。もちろん20分ほど繰り上げて開始しました。私は今年も司会を任されましたが、男声合唱プロジェクトYARO会の仲間、男声あんさんぶる「ポパイ」の行木友一さんにもお手伝いを頼み、二人で交互に進行する形でやりました。

 マナビーと開会の挨拶 (大舘直美常務理事)


乾杯で第二部懇親会スタート (北川理事長


 
司会も指揮も担当した 行木友一さん

 まずは演奏順に数団体ずつグループになってステージに上がり、定番曲を歌い合います。合唱曲のレパートリーが少ない人でも一緒に楽しめるようにと作成した<おとうさんコーラス愛唱曲集>と<いろどりのうた>(埼玉県合唱連盟発行)に収載されている曲を中心に歌いますので、会場が一体となって歌える仕組みです。もちろん男声合唱ばかりではなく、女声や混声曲もやりました。

今回は、全国生涯学習フェスティバルのマスコット「マナビィ」の着ぐるみを埼玉県から借り、若手の理事に着てもらいましたがかなりの重労働だったようです。涼しいくらいの陽気でしたが、汗びっしょりになって奮闘してくれました。着ぐるみの着方は意外とむずかしくて、マニュアル通りにやらないとうまく着られないのです。「マナビィ」は、故石ノ森章太郎さんがデザインしたもので、生涯学習の「学び」とミツバチの「Bee」から合成して名付けられています。「学」という字の頭に角が3本あるように、学ぶことの好きな「マナビィ」には触覚が3本あるということになっています。

この靴履くとガニ股になるんだよね 抽選で賞品を射とめた
メンネルA.E.C.工藤さん



小高元理事長の指揮で歌う



抽選で5名に差し上げた「年間入場パスポート」 県連主催事業すべてに無料で入場できます






最後を締め括る「遥かな友に」を指揮する須田信男理事

埼玉県連では早速来年以降の方針について検討を始めています。「関東おとうさんコーラス大会」や「全日本男声合唱フェスティバル」との関係なども踏まえて、より多くの男声合唱愛好家に喜んでもらえるものにしたいと願っています。104日には、おとうさんコーラス大会担当理事による小委員会があり、反省と今後の方向性について話し合いました。いろいろなご意見を聞かせて頂けるとありがたいです。





      


埼玉
男声合唱元気です



彩の国男声コーラスフェスティバル
2011


加 藤 良 一    2011年10月5日

M-104