尾道東高校の詳しい情報について

 尾道東高校(以下「東高」)については、「自由だが堕落する生徒が多い」というイメージで語られることが少なくありません。 このイメージは本当なのでしょうか。また、指導の中身は尾道北などとどう違うのでしょう。
 このページではこの点に踏み込んでみたいと思います。

勉強編

合格実績
 総合選抜時代から進学実績では尾道北にやや押されぎみでした。これは、一部に遊びふける生徒がいたことと、出願先に学校があまり 干渉しなかったため不合格率が高かったためであろうと思われます。
 単独選抜以降後は徐々に差が開き、今では国公立大学合格のためには概ね上位1/4以上にいる必要があります。広大以上となると、 5位以内が目安となるでしょう。
 これは、学校の指導の結果ではなく、中堅以上の大学に進学できる程度の素養を持った生徒が以前より少なくなったためです。 入学後の進研模試で偏差値55以上(国公立大合格可能の目安)の層が以前よりも薄くなっているのです。
 大学ではなく専門学校に進学する生徒もかなりいます。

課題・補習
 「東高は課題が少ない」と地元では思われていますが、今はそんなことはありません。科目によっては尾道北の半分以上の量が あります(これでも十分多く、総合選抜時代の尾道北の2倍以上あります)。
 補習は強制ではありませんが、すべてとると3年生の夏休みは尾道北と変わらないほどになります。1、2年生は3週間少々の 夏休みが残ります。適度な設定と言えるでしょう。

普通科と国際コース
 国際コースは東高の「目玉」として、文系の優秀な生徒を集めるはずの位置づけでした。しかし、ここ数年人気が上がらず、 むしろ普通科に合格できそうにない場合に国際コースを受験するという傾向すら見られるようになりました。英語の得意な中学生は 最近では多くが尾道北に行ってしまうのが現状です。
 普通科は安定して1.3倍前後の競争率を維持しているので、学力が低い生徒はかなりの確率で不合格になります。公立中学の3年生が 学校で受験する実力テストで、300/500を切っているとそろそろ危険です。250点以下の生徒が合格することはほとんどありません。
 とはいえ、普通科でも学力上位層が薄くなっており、中堅以上の国公立大学や有名私大を目指すならば、入学後に校内順位を見て 油断しないことが大事です。

生活編

身だしなみ・態度
 「東高の子はだらけとる」という声を以前から尾道市内でよく耳にします。これも総合選抜時代からそのままイメージが定着している ような気がします。
 確かに、女子のミニスカ、まゆ剃り、男子の腰パンは時々目にします。この点で尾道北と比べると違いはあります。しかし、 生活指導は以前よりは厳しくなっており、大半の生徒は着崩したりしていません。学校の指導が甘いというよりは、入学してくる 生徒の中に、そういう志向の者が割合的に多く含まれているというのが正しいと思います。
 尾道北に進学して後悔している生徒に、なぜ東高に行かなかったのかきくと、大抵「あのチャラい雰囲気が嫌だったから」と答えます。 一部の生徒のためにイメージ的に損をしている学校だと思います。
 とはいえ、まじめに勉強するのを忌み嫌う風潮が集団的に蔓延することが時々あったり、スマホ中毒気味の生徒が一定数いたり、 という現状を見るに、人格面での教育が必要なのかもしれません(難しい課題ですが)。

クラブ活動
 クラブによっては熱心に活動しているものもあります。尾道北同様に、強いわけではないが特に弱くはないというクラブが多い 印象です。勉強との両立はクラブの方針にもよるようです。完全下校時間が有名無実化していたり、土日がほぼ全て練習に費やされる クラブもありますが、のんびりしたクラブも多いです。
 一時期、選抜Tで体育会系の生徒を多数推薦入学させていた時期がありました。これらの生徒の中には学力的な裏づけがない者も 含まれていました。出願前から合格を確約され、私立高校の併願を止められた生徒までいました。進学校を標榜する学校としてやっては ならないことをやってしまったような気がします。しかもこの体育会系の生徒たちは目立つ活動実績をほとんど残していません。
 今では入学要件が厳格になり、この問題は改善されたようです。


東高向きの生徒

 これまで述べてきた勉強面、生活面の特色から、東高に合うタイプの生徒像をピックアップしてみます。
1.学力
 競争率は高めですが、その次元は高くありません。公立中学の上位1/3以内の生徒なら合格できると思います。一般入試組ならば ぎりぎりの学力で入学しても、まじめにやっている限りついていけないことはないでしょう。全く勉強しない生徒が一定数出てくるからです。 結果的に大半の生徒が満足した高校生活を送れます。
 優秀な生徒が入学した場合、学習内容に不足はないのでしょうか。その点は全く問題ありません。授業のレベルとしては、広大以上の 大学を受験するのに十分な内容です。ただ、まわりに優秀な生徒が少ないという点で油断するおそれがあります。
2.性格
 「まじめに勉強だけするのは嫌い」というタイプの人が比較的集まりやすい学校です。しかし本当に遊んでしまうだけだともったいない 高校生活になります。勉強と他の何かを両立したい人にむしろ向いていると思います。
 一方で、まじめではあるけれども物事に消極的な生徒が最近目に付くのも気がかりです。基本的に東高は元気な子の方が周囲となじみ、 勉強も含めてうまく行っている気がします。
 まとめると、積極的な性格で、勉強と両立したい他の何かを持っている人に向いた学校と言えるでしょう。周囲に流されやすい人は 再考したほうがよいでしょう。
3.志望校
 地元私大から難関国立まで幅広く対応できる学校だと思います。ただし、広大以上に進学する学力を持った生徒は少ないので、慢心しない という条件付きになります。

より地域に信頼された学校になるためには

生活指導
 すでに述べたように、東高の生活指導は以前よりも厳しくなっています。しかし、過去にも生活指導が厳しい時期と緩やかになる時期が 繰り返された経緯があり、今後に注意する必要があります。
 生徒は厳しい生活指導を嫌がりますが、中学生や保護者は緩んだ生活態度には厳しい目を持っています。尾道北並の厳しい生活指導を 今後も徹底するべきだと私は思います。
 また、生活指導とは少し違うのですが、社会に貢献することの大切さを理解させ、そのためにはどんな心構え、態度であらねばならないか を生徒に考えさせることができれば、自然と雰囲気が良くなると思います。これは私自身も取り組んで行きたい課題です。

課題のあり方
 上で書いたように、課題は増えています。しかし、科目、先生によってずいぶん差があります。ほとんど課題がない科目もあれば、既に 多すぎる量に達している科目もあります。全体として課題の量をコントロールできるチームワークがあればベターだと思われます。
 ただし、尾道北のように、課題を出すことが競争のように行われると生徒はたまったものではありません。適度な量を責任者の先生が コントロールしていくことが必要になります。

国際コースのあり方
 国際コースは東高の目玉であったはずが、学力が伴わないという状況は改善が必要だと考えます。合格最低ラインを普通科以上にして、 たとえ定員割れしても、学力不足の生徒は入学できないようにするべきです。定員内不合格を出すと相当な説明資料が要求されるのでしょうが、 ここで困難を避けるべきではないと思います。
 国際コースが底上げされれば、学校全体としても優秀な生徒が入学するようになってくるのではないでしょうか。