いきなりファン的視点が入ってしまうが……、紺野まひるのダンス能力の高さを、改めて実感した。
宝塚退団からも2年以上たっている。しかも去年まで、テレビ中心の活動が続いていたから、宝塚時代のビデオ以外で、紺野まひるのダンスは見ていない。
そんな中の久々のミュージカル。舞台の仕事なら、退団後に一度経験している。だが、このときはストレートプレイだった。ミュージカル系の作品は、実に宝塚退団後初めてのことだ。それだけに、どれだけ踊れるかが、観劇前の関心事だった。
ダンスは久々だから、かなりのレッスンをこなしたらしい。実際、テレビの出演は、昨秋の「結婚のカタチ」(NHK)以降は軽めで、今回のミュージカルに備えていたことが、スケジュールを思い返してみると想像できる。実際、本人もラジオ番組の中で、レッスンの大変さを何度か語っていた。
その甲斐あって、今回は宝塚時代以上のダンスが見られたような気がする。
こんなに踊れるのだ。やっぱり、もう少し宝塚で見ていたかった。せめて、あとトップ1作……。
往生際が悪いと言われようとも、これは僕の宝塚歌劇団に対する譲れない思いだ。
今回は、ジャニーズ中心の舞台とはいえ、宝塚OGファンとしても結構楽しめるものがあった。
宝塚OGはもう1人。大浦みずきさんも出演していた。紺野まひる演ずるペニーの、後見的存在の役で、思わぬところでOG同士が一緒に演技をしている場面を見せてくれた。二人は在団期間は全く重なっていないし、配属されていた組も違う。だが、不思議と違和感のない組み合わせだった。
大浦みずきさんの見所はもう一つ。三田村邦彦さんとの場面だ。このコンビでの演技やダンスがまた、非常に見応えのあるものだったし、面白さもあった。
大浦みずきさんを舞台で見るのは初めてだったが、確かにかつて花組トップスターになっただけの実力を感じた。
宝塚関係でもう一人。演出が植田景子氏だった。今回の場合は、昔の映画や、ブロードウェイでのミュージカルがあるから、あまり自分の感性を入れることはできない。だが、植田景子氏ならではの感性は薄くても、演出はしっかりしていたと思う。ブロードウェイのミュージカルらしい雰囲気がよく出ていた。
主演はV6の坂本昌幸行さん。ジャニーズで鍛えているから、舞台はよくこなしている。結構安心して見られた。そしてさらに、紺野まひるとの相性が想像以上によかった。プロの舞台人同士だから、きちんと合わせることも仕事だが、その仕事以上の相性のよさを感じた。
今回の舞台はなかなかメンバーが豪華だ。
ジャニーズがいて、宝塚OGがいて、ミュージカルの大御所の三田村邦彦さんもいる。そして、演出は宝塚の現役演出家。外部の舞台はあまり見ないが、今回は出演者やスタッフを見て、そのメンバーの豪華さに目を見張ったものだ。
チケット代が高すぎて、1回だけの観劇だが、あともう1回見たいというのが、偽らざる本音だ。
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