観劇記録のページ

花組 宝塚大劇場公演

飛翔無限/天使の季節
/アプローズ・タカラヅカ!

観劇日時 2004年1月25日
11時の部 15時の部


飛翔無限

作・演出 植田 紳爾


 「個人的には」結構楽しめた。というのも、気に入っている生徒が「出語りA」の中に入っていて、かなり長いソロを歌っていたから。その分だけは楽しむことができた。
 だが、この作品に関しての評価は辛い。

 問題となるのが、そもそも今の宝塚に90周年を祝う資格があるのかどうかということだが……。まずこの段階で僕としては納得しがたいものがある。
 ここ数年、宝塚は何をしてきたであろうか。ファンの思いを無視した改革路線の強行だ。この改革路線で、どれだけのファンが傷ついてきたであろうか。僕のように、贔屓が1作トップとなったことで傷ついたままのファンもいる。
 そんな残忍なことをしてきて、何が「90周年」だと思う。そして、その「90周年」を、この作品を通して、宝塚が自ら祝っていることに嫌悪感を覚えた。

 本当に、好きな生徒を楽しむためだけの作品だった。その背景にある、宝塚歌劇団の思いは、僕は徹底して無視した。



天使の季節

作・演出 植田 紳爾
演出 中村 一徳


 何だよこれ……。そんな溜息が最後に出る作品だった。
 最初はまだ笑って見ていられたのだが、時がたつにつれて僕はついていけなくなっていた。客席から笑いが起きても、何がおかしいのかわからずに、戸惑うことも二度三度では済まなかった。
 とにかく作りがドタバタしすぎている。そのドタバタについていけずに、一度目の観劇でもう疲れてしまった。
 これは喜劇ではない。売れないお笑い芝居以下の、しょうもないドタバタ劇だ。
 どこか「吉本新喜劇」も混じっているが、別に宝塚がそんなものを見せなくたっていい。吉本新喜劇のような芝居が関西で見たいのなら、最初から宝塚大劇場でなく、なんばグランド花月に行く。

 喜劇を作りたいなら、宝塚にふさわしい喜劇は何か、それを考えてほしかった。

 それともう一つ、1階席での客席降り芝居は考えてほしい。
 ショーならばまだしも、芝居で客席降りをやられたら、いったい何が起こっているのかが、2階席の客にはわからない。実際、2回観劇中、1回は2階席での観劇だったが、この客席降りの場面は大変だった。2階席の客全員が、下で進行している芝居がわからずに戸惑っていた。



アプローズ・タカラヅカ!

作・演出
三木 章雄
藤井 大介
齋藤 吉正


 今回の3作中、唯一評価できるのがこのショーだ。
 90周年企画の一つの作品ではあるけれども、そんなことは抜きで楽しむことができる。

 宝塚らしい華やかさがある。そして、花組のショーらしく、迫力のあるダンスシーンがいくつも織り込まれている。主題歌には、帰り道に口ずさみたくなるような親しみやすい曲が作られている。
 オーソドックスなのだが、マンネリは決してなく、新しい感覚で楽しむことができた。そして何とも言えない心地よさを最後は感じさせてくれた。
 そして、大劇場を出て、花の道を宝塚駅まで歩いている間も、その心地よさが続いていた。

 こういうショーを見ると、僕でも思う。「やっぱり宝塚っていいな」と。こんな気持ちを感じたのは、久しぶりのことだ。
 もちろん、遠野あすかがいるからという理由も、多少はあるのかもしれないが(^-^;)、でも、やはり作品の持つ魅力があるからこそ、「宝塚っていいな」という気持ちになれたような気がする。そういったいみで、僕はこの作品にはかなり高い評価をしたいと思っている。
 「宝塚っていいな」。そんな気持ちにさせてくれる作品を、これからも、もっと見せてほしいものだ。


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