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東京宝塚劇場 花組新人公演

落陽のパレルモ



落陽のパレルモ

作・演出 植田 景子
新人公演担当 稲葉 太地


 今回の注目ポイントは桜乃彩音だった。次期トップ娘役が決まった後の、新人公演ヒロイン。それだけにどんなヒロインになるのか、かなり興味を持ちながらの観劇になった。
 桜乃彩音に注目しながら、他の生徒も見ていく。なかなか忙しい観劇だった。

 ヴィットリオ・ロッシ
  (本役:春野寿美礼)華形ひかる

 演技や歌に、固さが目立った。冒頭の、銀橋で歌うところでは、声が上ずってしまうなど、肩に力が入りすぎていた様子が伺える。もう少し力を抜いて舞台に立つといいかもしれない。
 衣装の着こなしがとてもいい。軍服姿がとても決まっていた。

 アンリエッタ・クラウディア・カヴァーレ(アンリエッタ)
  (本役:ふづき美世)桜乃彩音

 次期トップ娘役が間近に迫っているだけに、少し緊張していた様子だった。それでも芝居は、この学年なら悪くない出来だった。
 課題は歌唱力。かなり不安の残る歌だった。大劇場お披露目は、「ファントム」のクリスティーヌ。これから、かなりの練習が必要だろう。

 ヴィットリオ・ファヴリッツィオ・ロッシ・ディ・カヴァーレ(ヴィットリオ・F)
  (本役:彩吹真央)朝夏まなと

 一度新人公演主演を経験しているおかげだろうか。余裕のある演技でよかった。経験を積めば、かなり力のある男役になれそうだ。

 ジュディッタ・フェリ
  (本役:遠野あすか)華城季帆

 最近の成長には目を見張るものがある。今回の本公演では、東京に来てからの成長ぶりに驚いた。そして、新人公演でも、以前の新人公演と比べて、大きく成長しているところを見せてくれた。
 以前は本役をなぞるような面もあったが、今回は変わってきた。本役のいい部分を取り入れつつ、自分なりの味付けをしている。しかも、その味付けがまたよくできている。本役とは違う魅力のジュディッタを見せてくれた。
 演技力・歌唱力もあり、これからも期待したい存在だ。

 エルヴィラ・フェリーチタ・マリア・ディ・カヴァーレ(エルヴィラ)
  (本役:梨花ますみ)桜一花

 今回で新人公演卒業。新人公演の長を立派につとめ、しっかりとした挨拶を聞かせてくれた。
 演技の出来もよい。今までの新人公演の成果が十分に出ている。新人公演でも貫禄のある演技で、ヴィットリオ・Fの祖母という複雑な役を見せてくれた。
 娘役としてのレベルはかなり高い。それは新人公演以外の様々な場所でも見せてくれている。今後の活躍が楽しみだ。

 マリオ・フランチェスコ・ドンブイユ公爵(ドンブイユ公爵)
  (本役:萬あきら)紫峰七海

 公爵役らしく、どっしりとした存在感が出せていた。それでいて、ヴィットリオに気づいた場面、そしてドンブイユ家に迎え入れる場面では、なかなか細やかな演技ができていた。

 ニコラ・ジロッティ
  (本役:蘭寿とむ)扇めぐむ

 迫力のある演技でよかった。ニコラの熱い思いが伝わってきて、非常にいい出来だった。今後に期待が持てる。

 ロドリーゴ・サルヴァトーレ・フォンティーニ伯爵(ロドリーゴ)
  (本役:真飛聖)望月理世

 もう少し演技に抑揚がほしい。ただ、最後近くの舞踏会の場面で潔く身を引くロドリーゴ、ここはとてもいい出来だった。

 フェリーチタ
  (本役:華城季帆)七星きら

 透明感のある歌声が魅力。今回も「愛の運命」の場面での歌がすばらしかった。この公演で退団となるのが本当に惜しい。「歌の職人」として宝塚に残ってほしかった。

 ヴィットリオ(少年時代)
  (本役:野々すみ花)瞳ゆゆ

 大劇場公演で代役を務めただけに、役をうまくものにしている。フェリーチタが身を投げる場面の演技は迫力ものだった。


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