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花組 日本青年館公演

MIND TRAVELLER

観劇日時 2006年12月3日
14時30分の部


MIND TRAVELLER
−記憶の旅人−


小池 修一郎 作・演出


 複数回観劇すると飽きがきそうだが、1回だけ観劇するなら結構面白い。
 記憶喪失の治療には裏があり、そこには……。1幕目に様々な伏線が織り込まれ、それが2幕で明らかになっていく。SF的要素と、サスペンス的要素が入り混じった構成で、楽しむことができた。
 ありがちなストーリーかもしれないけど、人の記憶の奥深さに、宝塚の舞台で迫れたというのが面白い。

 主演の真飛聖。
 今回観劇するまで、ずっと「星組育ち」のイメージが強かった。若手の頃から、星組で活躍していただけに、どうしても星組時代のイメージを引きずっていた。
 しかし今回の観劇で、だいぶイメージが変わってきた。
 すっかり花組になじんでいる。舞台での動きや、衣装の着こなしなど、花組らしさが身に付いてきたように見えた。

 未涼亜希が強烈な印象を残してくれた。
 冷静で、無表情に近く、よからぬことに平気で手を染める医師。欲望のためには手段を選ばない医師。そんな怖いキャラクターを、今までにない個性で見せてくれた。この個性が、この舞台の見所の一つだったかもしれない。
 思わずオペラグラスで注目して見てしまっていた。
 今回の役を演じたことで、未涼亜希のもつ引き出しがさらに増えたように思う。
 花組の中堅として、これからも注目していきたい存在だ。

 ヒロインの華城季帆。
 歌の多い役なのが嬉しかった。聴き応えのあるソロが多い。持ち前の透明感のある歌声で、存分に聴かせてくれた。
 歌う場面では、オペラグラスで追いかけるのを忘れてしまう。歌を聞き逃すまいと、耳の方に神経を集中させてしまうからだ。
 演技にもだんだんと個性が出てくるようになった。バウホール「スカウト」のヒロイン、「ファントム」新人公演のヒロインと、大事な経験を重ねて成長してきている。
 これからも楽しみな娘役……のはずだったが……。
 12月26日、退団という残念な発表があった。今回の舞台が、まさか宝塚最後の舞台になろうとは、思いもよらなかった。


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