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花組 博多座公演

マラケシュ・紅の墓標/エンター・ザ・レビュー

観劇日時 2005年8月19日
 16時30分の部
2005年8月20日
 12時の部


マラケシュ・紅の墓標

作・演出 荻田 浩一


 新作? 宝塚大劇場で2回、東京宝塚劇場でさらに2回観劇して、博多座まで来たのに、芝居の冒頭からいきなり驚いてしまった。これは宝塚や東京で見たものとは少々違う、「マラケシュ・紅の墓標 博多座バージョン」だった。

 まず冒頭に、ギュンターが出てきて、薔薇の花を手に歌い、物語の世界へと見るものを誘っていく。ギュンターが最初に出てくるというのが面白い。これによって、物語の「核」となるものが薔薇だということがよくわかる。
 次に登場人物たちが次々と登場。それぞれの人物が、マラケシュに行くことになった経緯が語られる。これが、登場人物たちの人物像をつかむのにかなり役立った。
 そして、物語のキーになっている、「金の薔薇」の動きが、大劇場や東宝よりもわかりやすくなっていた。
 新バージョンになったおかげで、博多座に来てようやく理解できた部分もかなりある。大劇場からこの脚本で上演できればよかったのにと思った。

 役替わりで目を引いたのが、クリフォードのキャラクターの違い。大劇場・東宝で演じた彩吹真央からは、芯の強さを感じた。これに対して、博多座の未涼亜希の場合、真面目さを感じることが多かった。ただし、寛容的で、優しさのあるキャラクターという根本的な部分はどちらも一緒だった。この寛容的なところが、クリフォードの魅力と僕は考えているので、未涼亜希がそれが出せているのは嬉しかった。
 次に目を引いたのが、ギュンターの愛音羽麗。想像以上に怖さが出ていた。狂気に満ちた目つきがよく出ている。
 そして、イヴェットの華城季帆。表情は高慢さと弱さを持ち合わせているイヴェットだった。かなりよく雰囲気作りができていたと思う。



エンター・ザ・レビュー

作・演出 酒井 澄夫


 こちらも、博多座向けに多少脚本を替えてきた。
 大きい変更点は、中詰めで客席降りが加わったこと。これで1階席が盛り上がっていた。僕は3階席と、1階席でそれぞれ観劇している。この部分は、1階で盛り上がりの中にいる方が当然楽しい。だが、3階にいて、下から伝わってくる熱気を感じるのも不思議と楽しかった。
 そのほか、人数が減ったことに合わせた変更がいくつか見られた。
 だが、大切な部分は替えていない。フィナーレのグランエスカリエなど、大劇場に負けない迫力で残っていた。

 こちらの方でも、芝居とは違った役替わりが見られて面白かった。
 強烈だったのが、猛獣使いの場面での、桐生園加・鈴懸三由岐の組み合わせ。若くて勢いのあるダンサー、桐生園加。娘役のダンス職人、鈴懸三由岐。大劇場では考えられない組み合わせなのだが、これがかなり当たっていた。かなり濃厚な雰囲気で見応えのある場面だった。
 冒頭のピエロが樹里咲穂から彩吹真央に変わっても、楽しかった。福岡弁を交えたアドリブで、会場を駆け回っていた。
 エトワールが、大劇場・東宝では変則的だったが、博多座では普通に娘役に戻った。エトワールは華城季帆。今回は役替わりエトワールだが、今度は是非大劇場での本役で見てみたいものだ。


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