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花組 宝塚バウホール公演

くらわんか(主演:愛音羽麗)

観劇日時 2005年1月29日
11時の部


くらわんか

作・演出 谷 正純


 これは今回の公演だけでなく、5組すべてに言えることだが……。主演を中堅男役と若手男役の2人にして、続演させるという企画は面白いと思った。だが、役替わり5パターンというのはかなり凝りすぎだと思う。あまりたくさんのパターンを用意されてもついていけない。しかも、日によって出ている生徒と出ていない生徒がいるからますますややこしい。
 基本的に全員出演で、主演者に連動して役替わりをするくらい(1作品2パターン)がわかりやすくてよかったと思う。

 今回の場合、東京公演がなく、バウホールに遠征しての観劇だったから、パターンを選ぶのにかなり考え込んだ。そもそも、5パターンあっても、旅費は1回分しかないから、役替わり以前に、どちらが主演の公演を選ぶかという点で、ものすごく考え込んだものだ。本当は、蘭寿とむ主演も見たいところだったが、2度も遠征する予算はない。2度遠征したら、4月の大劇場公演は控えなければいけなくなってしまう。

 さて、今回、愛音羽麗主演を選んだのは、新人公演主演を見ていないという理由が大きかった。蘭寿とむは「エリザベート」の新人公演主演を見ている。そして、下の学年の未涼亜希の、「La Esperanza」の新人公演主演を見ている。その間の愛音羽麗主演での新人公演は見ていない。それならここで、愛音羽麗パターンを見ようということになった。
 ちなみに、愛音羽麗でも2パターンの役替わりがあったが、後半の方は、すでに別の観劇予定が入っていたので、自動的に前半のパターンを観劇することになった。


 脚本は、僕がかなり苦手としている谷氏だが(笑)、今回は素直に評価したいと思った。上方落語の数々を集めて、面白い芝居にうまくまとめていた。正月に上演されるといことで、いつものパターンではなく、笑いを中心にして楽しませてくれたというのも評価したい。
 さらに、かつて自身が演出した「心中・恋の大和路」の結末をわざと崩すようなこともしていて、脚本・演出の面白い技を見せてくれたと思う。
 個人的に気に入った登場人物は、貧乏神と延陽伯。貧乏神は貧乏神らしからぬ気の弱さが面白かったし、延陽伯は作品の中のキャラクターの変化が面白かった。


 愛音羽麗はすでに新人公演を卒業しているが、他のメンバーは専科生をのぞき、すべて新公学年。それだけに、新人公演に似た雰囲気があった。実際、僕もかなり若手娘役ウォッチングに励んでいた(笑)。これは最近のバウ・青年館公演ではあまりないこと。それだけに、新鮮な気分での観劇が楽しめた。

 主演の愛音羽麗は、去年新人公演を卒業した研8生だが、若手としては十分な演技力を感じた。今回の八五郎など、出ずっぱりで喋りっぱなしという大変な役なのに、堂々とこなしている。これは心強い。

 貧乏神の華形ひかるがまた面白い演技を見せてくれた。貧乏神らしからぬ気の弱さの出し方がよくできていたし、酒に酔って感情をコロコロ変えなければいけないような場面でも、喜怒哀楽をそれぞれうまく見せていた。

 ヒロイン延陽伯の桜一花は、若手娘役のエースだと思う。見た目も可愛いし、いつもいい演技を見せてくれる。今回の延陽伯にしても、「やたら丁寧すぎる欠点」を出すところで技を見せてくれて、オチで乱暴な言葉遣いになるまでの変化の見せ方がまた面白かった。中でも楽しかったのが、名前を聞かれてやたら回りくどい説明をするときの台詞回しだった。

 個人的に今回気特にに入ったのが、小糸の姿央みやび。なかなかの美人で、思わずオペラグラスで注目してしまった。ちょっと注目したい若手娘役だ。

 花組は、若手娘役も結構揃っていると思う。「男役の組」のイメージが強いが、娘役もかなり見せてくれると僕は思っている。あれだけ落ち込んでいた僕が、花組中心のファンとして復活できたのも、実はこの若手娘役の活躍が大きかったりする。
 例えば今回の出演者なら、お初の初姫さあやが可愛いいし、なかなかいい演技を見せてくれる。それから、今回は出演していなかったが、華城季帆も可愛らしくていい。歌なら、七星きらという強力な歌い手がいて、今回も出語りでいい声を聞かせてくれた。


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