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花組日生劇場公演

Ernest in Love

観劇日時 2005年9月10日
 15時30分の部
2005年9月18日
 11時の部


Ernest in Love

オスカー・ワイルド 原作
木村 信司 日本語脚本・演出


 梅田芸術劇場の月組公演を観劇したときは、月組らしい海外ミュージカルだと思ったものだった。ところが、日生劇場の花組公演を見たら、その印象がガラリと変わった。花組の雰囲気に合ったミュージカルになっている。脚本に手直しはないのに。なかなか奥の深いミュージカルだ。

 主演コンビは新専科の樹里咲穂に、花組娘役二番手の遠野あすか。二人が宙組に在籍していた頃から、何度となく組んできたコンビだ。今でも青年館で見た「FREEDOM」は印象に残っている。あれから5年もたって、このコンビをまた見られるというのは、なんと幸運なことか。現役生で、遠野あすかが最も好きだという立場の僕にとって、ものすごく嬉しいことだった。

 しかし、同時に樹里咲穂の退団が改めて惜しくなってきた。今まで、エンターテイナーとして魅力的な男役だったが、それは、今回の舞台でも変わらなかった。最後の舞台でも、生き生きとしたアーネスト。時には大胆に、時には小技を効かせた動きで、観客を楽しませてくれたと思う。
 あと2〜3作は主演で見たかった。

 遠野あすかについては贔屓目が入ってしまうが、とても可愛らしいグウェンドレンだった。黄緑色の衣装が似合っていて、見とれてしまう。見た目だけでなく、演技や歌も上出来だ。樹里咲穂とのデュエットなど特に美しい。

 アルジャノンの蘭寿とむも印象的。花組生らしい演技で、花組版「Ernest in Love」を作った立役者の一人だと思う。最近同期生がどんどん退団して行っている82期生だが、これからも花組での活躍を祈らずにはいられない。

 セシリィの桜一花。さすがは花組若手娘役のホープだ。相変わらずのサービス精神にあふれた演技で、見る者を楽しませてくれる。まだ新公学年だが、もうすぐ新公卒業まで届きそうなレベルの演技で心強かった。



 月組と花組、両方比べると、どちらがいいかというのは野暮な質問だ。月組版、花組版、同じ作品でありながら、それぞれの組の持ち味が出ていて、それぞれの組にあった楽しさがある。月組も最高だし、花組も最高だ。
 この作品はDVD化されることになっているから、両組とも買って、それぞれの組の「Ernest in Love」の楽しさを味わいたいと思っている。

 しかし……、月は大阪、花は東京と、組によって上演都市が別れてしまったのは惜しい。大阪でも東京でも、両方のバージョンを観劇する機会をもらえたら、と思った。
 今回はたまたま大阪へ行く機会があって、両方の組の観劇ができたが、そういう幸運な巡り合わせは滅多にない。1組だけの上演になってもいいから、同じ組が両方の都市で見られるようにしてほしいものだ。


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