観劇記録のページ
宙組東京宝塚劇場公演
維新回天・竜馬伝!
ザ・クラシック
新トップスター・貴城けい、新トップ娘役・紫城るいのお披露目にしてサヨナラ公演。 過去、1作トップのファンだった僕としては、5年前の雪組を思い出しているようで、悲しい思いを感じた。あれほど、「もう二度と1作トップが出ませんように」と祈ってきたのに……。 だが、貴城けいのトップスターは嬉しかった。初日では、開演アナウンスに拍手をしていたほど。 過去、僕が雪組ファンをしていた頃、たっぷりと活躍を見てきたためであろうか。過去の観劇を通して、様々な思い入れを持つようになっていて……。 僕が宝塚に対して停滞していた頃は、雪組離れして、貴城けいの舞台を見ていなかった。だが、その間でも貴城けいは気にかかる存在だった。一度、星組に特別出演したときは、貴重な機会だからと観劇したことがあるのを覚えている。 そんな人だったから、トップスターになった嬉しさがあった。 そして、それが今回の宙組公演に、僕の足を運ばせる原動力になった。 過去、あまり宙組を観劇することのなかった僕が、3回も観劇したほどだ。 もう一人、紫城るいのトップ娘役もよかった。相手役への寄り添い方に愛らしさがある。その姿がとても魅力的だった。 だが、くどいようだがもう1作トップは金輪際出してほしくない。 今までの5人(男役3人と娘役2人)で終わりにしてほしい。
薩長同盟の仲介と、大政奉還の進言を中心とした、坂本竜馬の活躍を描いた物語。 幕末という時代が舞台で、坂本竜馬が登場する石田氏の作品。6年前に雪組で上演された、「猛き黄金の国」とかなりかぶっているものを感じた。 同じ石田氏が描くだけに、坂本竜馬のキャラクターも独特なものがある。型にはまらぬ自由人。これが石田氏の竜馬観なのであろう。 だが個人的に、石田氏の描く坂本竜馬はかなり好きだ。 貴城けいが坂本竜馬。しかも石田作品のもの。 貴城けいには、「雪組の貴公子」という印象があっただけに、かなり意外性を感じた。 だが舞台で見ると、とても似合っている。貴城けいのもつ、実力の幅広さのおかげであろうか。 薩長同盟、大政奉還と、激動する歴史ドラマの中に、竜馬とお竜の物語が入ってくる。 紫城るいのお竜もとてもいい。何かと殺伐としたものになりがちな、幕末物の作品に、ちょうどいい具合の潤いが入ってよかった。 たとえ今回の公演だけでも、2人が見せてくれたものは、とても濃かった。 次期トップスターの大和悠河。 月組時代に比べると、かなり変わってきたと思う。元々華やかさは持っていたが、プラスアルファのものを感じるようになっていた。 以前はあまりいい評判ではなかった歌も、それなりに身についてきていると感じた。 徳川慶喜の蘭寿とむ。 ポスターの青天に軍服が強烈なインパクトだった。 だが、実際の舞台では軍服の場面は1か所だけ。あとは普通の将軍の服装。しかも、軍服でもポスターほど違和感を感じなかった。 大政奉還を決断する姿がいい。そして、そのあとの銀橋ソロが聞き応えあった。
変化球の多い草野氏にしては、いつになくオーソドックスな作品だった。 だが、今回のような公演では、やはりオーソドックスなショーの方がいい。 かつて、1作トップのお披露目・サヨナラでは、雪組の「ON THE 5th」も手がけている。個人的にはそれなりに受け入れられた作品だが、今考えてみると、もう少し変化球を抑えてほしかったという思いが出てくる。 変化球は通常の公演で見せればいいと思う。 オーソドックスながらも、草野氏らしく、テーマははっきりしていて、ややストーリー性が織り込まれている。 はっきりしたテーマあるのはいいが、「ザ・クラシック」というタイトルをつけておきながら、「I LOVE SHOPIN」は少々絞りすぎのような気がする。 貴城けいは当然ながらショパン。こちらの方は、高貴な雰囲気があってよく似合っていた。役の幅が広いとはいえ、やはりこういった高貴な人物が似合う。 こんな公演だからこそ、フィナーレは見逃せない。 貴城けい、紫城るいの背負う大きい羽根は輝いていた。この大きい羽根がやはり嬉しかった。 ちょっと引っかかる場所もあったけど、十分に楽しめる2本立てだった。3回観劇も結構楽しく通えた。 だが、千秋楽を迎えたとき、やっぱり思いは残った。せめてあと1作、このコンビで見せてほしかったと……。 |