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宙組博多座公演

コパカバーナ

観劇日時 2006年8月5日
12時の部、16時30分の部


コパカバーナ


 宙組に、新しい風が吹き始めているのを感じた。まだ、フルメンバーは揃っていないけれども、それでも顔ぶれには新鮮さを感じさせるものがある。新トップスターが、他組出身のおかげであろうか。
 フルメンバーが揃っていない時点で言うのも何だが、宙組の魅力はやはり新鮮な空気。そんな宙組の魅力をもう一度取り戻そうと、動き始めていることが感じられた。

 新トップスターの貴城けい。僕にとっては、雪組時代の「春麗の淡き光に」以来だ。心の傷が深くて、ずっと雪組から離れていたために、ご無沙汰になってしまっていた。
 だが、以前の雪組でもとりわけ実力派だったことは知っている。それだけに、雪組は見られないけど活躍ぶりは気になるという状態が長いこと続いていた。
 そして、宙への組替えによって、3年半ぶりにようやく舞台で目にすることができた。個人的にはちょっと嬉しい再会だった。
 雪組時代から変わらない。相変わらずの実力派だった。その実力で、トップスターにまで登ってきてくれたことが嬉しい。

 未沙のえるから、蘭寿とむに役替わりとなったサム。専科生の役を、路線の組子が演じるということで、少しキャラクターが替わっていた。
 未沙のえるの場合は、どこか一本抜けた感じの頼りない人。蘭寿とむの場合は、先代に甘く育てられたお坊ちゃま。これが僕の感じた違い。
 蘭寿とむの演じるお坊ちゃまがなかなか面白かった。実力はすでに花組で証明済みだけに、新しい宙組でどう活躍していくかが楽しみになってきた。

 元男役の、トップ娘役紫城るい。
 体格を見ると、男役っぽさが少し残っている。仕方のないところだが。とはいえ、新しく動き出そうとしている宙組だけに、新感覚の娘役で、いいのかもしれない。
 娘役としての演技力はしっかりと身に付いている。ハバナへ連れ去られて、目覚める場面。不安感を一杯に漂わせたローラで、いい演技を見せてくれた。

 大和悠河が演じるリコ。安蘭けいの黒さとは違い、男の節操のなさや下心が表に出ている。大和悠河なりのリコ像だが、これがまたいい。違った角度でリコを見せてくれる姿に、ちょっとたくましさを感じた。

 ただ一人、専科生として星組から続投で来た遠野あすか。
 星組公演の時よりも、パワーアップしたコンチータだった。専科の娘役の実力を、遺憾なく発揮している。もしかして、専科に異動した理由の一つは、コンチータを演ずるためだったのだろうか。
 自分が年をとったことに対する悩みの表現が、より深くなっていた。また、相手役の違いにも上手く対応した演技ができていた。星組の時は、リコのあまりの悪だくみに困った雰囲気、宙組の時は、リコの男としての節操のなさにあきれた雰囲気。それぞれ違ったコンチータ像を見せてくれた。
 これからどうなるかが、楽しみだ。専科のままで、娘役の奥深さを見せてくれるのもいい。雪組のトップ娘役になって、華やかなところを見せてくれるのもいい。


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