隠れ宝塚のひとりごと
さよなら東京宝塚劇場
97/12/26
東京宝塚劇場の閉鎖が近づいた。今日を含めて残すところあと4日。今日、最後の本公演、花組「ザッツ・レビュー」が千秋楽を迎え、そして3日間のサヨナライベント「アデュー東京宝塚劇場〜宝塚 我が心のふるさと〜」をもって、東京宝塚劇場は60年を越えるその歴史に幕を閉じる(正確にはその後1月まで使われることはわかっているが、もともと宝塚の劇場であるこの劇場を宝塚の公演が全て終わったあとに他の目的で使うことは、単なる遊休施設の利用にしかすぎないという観点に立ち、サヨナライベント以降は劇場の歴史から除外した)。
それに先立つ23日、僕は最後の観劇に行って来た。本当なら、「アデュー東京宝塚劇場」も見たかったところだが、チケット入手難で断念せざるを得なかった。
僕はそれほど宝塚ファン歴が長いわけではないので、東京宝塚劇場とのつきあいも短い。初めてこの劇場に足を踏み入れたのは、純名里沙のサヨナラ公演となった去年11月の花組「ハウ・トゥー・サクシード」の東京公演のときである。
しかし、それ以降は各組最低1回は足を運んでいる。チケットが入手できなくても、立ち見で観劇した。これがやっと定着した頃に、この劇場の最後の公演の時が訪れた。
23日は、最後の記念に劇場の写真を撮る人が多く見受けられたが、僕も使い捨てカメラを買って、劇場内のあちこちを写真に残した(現在Photo
CDを発注しており、それが手元に来る1月中頃にも、ここで公開する予定にしている)。劇場の外観、客席、緞帳、銀橋、さらには外壁の落書き……。ありとあらゆるものに、惜別の思いを込めながらシャッターを押した。
その日の帰り道、どうしようもない淋しさにおそわれた。
考えてみると、短いつきあいの中にも、いろいろな思い出が作られていた。純名里沙の宝塚最後の歌声に酔いしれた花組「ハウ・トゥー・サクシード」、全身の震えを止めることができなかった星組「エリザベート」、序章の音楽が始まると同時に、まだ客席が明るいうちから手拍子を叩き続けた花組「サザンクロス・レビュー」……。数え上げていけばきりがないが、どの公演も、なにがしかの夢と思い出を与えてくれた。
東京で宝塚の公演がなくなるわけではない。来年5月には、仮設劇場「Takarazuka
1000days劇場」ができるし、2001年には、跡地に新東京宝塚劇場がオープンする。しかし、それらは全て今の劇場の面影のないものとなる。思い出の証となるものが消えるのは淋しいものだ。
しかし、この劇場は僕の記憶にはいつまでも残ることであろう。手元の写真とともに。宝塚ファンをはじめた頃の思い出の劇場として。この記憶を、いつまでも大事にしていきたい。
お疲れさま、東京宝塚劇場。
ありがとう、東京宝塚劇場。
そして、
さよなら、東京宝塚劇場。