観劇記録のページ

TCAスペシャル2000
白井鐵造生誕100年記念
「KING OF REVUE」

酒井 澄夫  監修
横澤 英雄  構成
谷  正純  演出(第一部)
石田 昌也  演出(第二部)
観劇日時  2000年9月2日 19時の部
観劇場所  TAKARAZUKA 1000days劇場
(実況中継画像)


 観劇していて、「ザッツ・レビュー」(1997年花組)を思い出さずにいられなかった。どことなく、「ザッツ・レビュー」のショー部分とつながるものが感じられるのだ。「花詩集」や「モン・パリ」など、「ザッツ・レビュー」と共通した、白井レビュー音楽の多さが理由であろうか。
 しかし、悪い印象ではない。もともと「ザッツ・レビュー」もショー部分だけ抜き出せばあまり悪い作品ではないと僕は思っている。そのショーがさらに豪華になったということで、結構楽しめるものがあった。また、「ザッツ・レビュー」のころの懐かしい思い出(たった3年前のものではあるが(^^;)がよみがえってきたりもした。だから僕にはそれなりに嬉しい舞台になっていた。

 ただ気になるところもあった。
 新専科生の場面。これは少し異様になっていた。新制度が始まってから初めてのTCAスペシャルということもあるのか、新専科生たちの出番がかなり多かった。専科生といえども、各組の2・3番手に相当する生徒だから、出番が多いことに異論はない。ただ、与えられた場面がいずれも、組子たちの場面とは違った雰囲気のものばかりということが気になって仕方がなかった。組子と新専科生のあいだに、明らかに一線が引かれていることがわかってくるのだ。これはいかがなものか。ただでさえ納得のできないものを感じている新専科制度なのに、TCAスペシャルでまでここまで組子と一線を引いた扱いをしてしまうと、ますますこの制度への抵抗感を感じずにはいられなくなってくる。お祭り公演のTCAスペシャルなのだから、そこまで組子と切り離さなくてもいいのではないかと思ったのだが。

 実況中継とはいえ初めてTCAスペシャルを見たが、お買い得感の強さが印象に残った。
 各組の生徒が揃い(今年は星組だけは出られなかったが)、特別なショーが見られる。これだけでもかなりの価値を感じる。さらに、トップスターが普段では考えられないようなものを見せてくれれば、お買い得感はさらに強くなる。
 今回面白かったのが、第二部の「算術の歌」の場面。愛華みれ・真琴つばさ・轟悠のコギャルと和央ようかの金八先生の扮装が楽しい。そして、この4人が揃って、自分を捨てて笑わせてくれるものだからおかしくてたまらない。この舞台への、さらなるお買い得感が感じられた。
 さらに今回は、レビュー記念日の特別ショーも兼ねていたおかげで、「レビュー記念日賛歌」まで聞くことができ(歌詞はクサいが(^^;)、またお買い得感を感じさせてくれた。
 TCAスペシャルが毎年チケット不足に陥るのが理解できるというものだ。

 今回は生観劇ではないので、実況中継の企画にも触れておきたい。
 画質については、少々難あり。画質が粗く、少し離れたアングルだと、誰がどんな振りで動いているのか、わからなくなることがたまにあった。これは技術的問題も絡むので仕方ないのかもしれないが……。ただし、誰か一人がアップで映るときだけは、非常に鮮明な画像が見られてよかった。
 それから、生徒の映し方にも一言。トップと専科生が映っている時間が多いのは仕方ない。しかし、もう少し下級生を映せなかったものかと思う。
 しかし、これらは苦言でなく、贅沢なお願いということにしておきたい。このあたりを差し引いても、この実況中継の企画そのものが、非常によかったからである。
 何しろチケット不足の激しいTCAスペシャルである。生の舞台でなくても、これがリアルタイムで見られるのはありがたい。しかも、関西だけでなく、一昨年までTCAと無縁だった東京や、常打ちの劇場のない福岡でも行うことにより、より多くのファンに見てもらおうという姿勢が感じられて嬉しかった。
 おかげで僕も、気軽にこのイベントを楽しむことができた。TCA社には感謝の限りである。来年以降も、開催都市を増やして、同様の企画をぜひ実施してほしいと思っている。



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