観劇記録のページ
雪組 宝塚大劇場公演
デパートメント・ストア / 凱旋門
観劇日 | 2000年7月8日 | |
観劇時刻 | 午前11時の部 | 午後3時の部 |
観劇場所 | 1階10列上手(S席) | 1階16列上手(S席) |
デパートメント・ストア | |
正塚 晴彦 | 作・演出 |
凱旋門 | |
エリッヒ・マリア・レマルク | 原作 |
柴田 侑宏 | 脚本 |
謝 珠栄 | 演出 |
このショーの企画を聞いたとき、はたして正塚氏に書けるのか、書けたとしても、どんな雰囲気のものになるのか、かなり気になったりしたものだ。楽しみもあったが、どちらかといえば、少々不安混じり。何しろ正塚氏は、芝居なら実績が多いが、ショーは今回が初めてのこと。しかもあの作風では、どう考えてもショー向きではない。
しかし、実際に「デパートメント・ストア」を見て、その心配は杞憂だったと実感させられた。
ショーにストーリー性を持たせ、その中にメッセージを織り込むという作戦。この手があったかと思った。しかも、ショーの持つ夢や楽しさと、正塚作品の持つ味わいが見事に両立。
特に後半の、リッチーがフレックスとジャネットに、「なんでそんなに楽しいのか」と聞く場面から、デパートがリニューアルオープンするまでの展開。ここは正塚作品ならではの好場面と言ってよかろう。この場面にはかなり懐かしい気分になりながら見ていた。そういえば、子供の頃は両親にデパートに連れていってもらえるのが楽しかったっけなどと思い出したり。そこへ「大切なのは……」と訴えてくる。やや説教臭いが
(^^; 、それでも正塚テイストに溢れているのが嬉しかった。
やっぱり正塚作品は芝居で見たいけれども、たまにはこういう作品も悪くはないと思わされた。
「凱旋門」は「芝居の雪組」を実感できる好作品。
さすが柴田氏だけあって、脚本がしっかりしている。原作を的確に捉えて脚本化しているし、出演者の持ち味を活かしたあて書きがきちんと出来ている。原作がそもそも雪組向けなので、原作をそのまま脚本化するだけでも十分に雪組の持ち味が活かされるたと思うが、そこに出演者に合わせた的確なあて書きが加わり、より深みのある脚本になっていてよかった。
そして雪組生たちの演技。これは今更言うまでもないことであろう。しかし、今回のこの脚本での雪組生の演技には、いつも以上のものを感じさせられた。暗い時代を生きる人々の不安、悲しみが強く表現されている。
気がつくと、すっかり雪組の世界に引き込まれている。そして、この世界に何とも言えぬ居心地のよさを感じていた。雪組って、これほどまでに魅力のある組だったのかとの思いを持たずにはいられなかった。
ここまで雪組の魅力を感じさせてくれただけに、この舞台へは高い評価をしたいと思っている。
もっとも、多くのファンの間で言われている「作品の重さ」はさすがに否定できない。観劇するとかなり疲れるのだ。今回は1日で2回観劇しているが、2回目でかなり疲労感を感じていた。1回目の観劇の直後は雪組の魅力に浸っていたので気がつかなかったのだが、これが落ち着いたところで疲れが一気に噴出、2回目の観劇の途中で少々バテかけていた。大劇場でこれなのだから、椅子の堅い1000daysでは、1日2回観劇だけは避けた方がよさそうだ。
メールはこちらからどうぞ
公演感想(バックナンバー)の目次へ戻る
「隠れ宝塚のひとりごと」目次へ戻る (画像なしの目次)