観劇記録のページ

花組全国ツアー公演

あさきゆめみし / ザ・ビューティーズ!

会場 市川市文化会館
観劇日時 5月19日
18時の部
5月20日
16時30分の部
観劇場所 2階7列上手
(A席)
2階4列上手
(S席)


源氏物語 あさきゆめみし

大和 和紀 原作
草野 旦 脚本・演出


 今回の企画は嬉しいものだった。
 「あさきゆめみし」は大劇場でも1000daysでも観劇している。大劇場と1000daysで合計4回。しかし、それだけ観劇しても、まだ見足りないという思いが残ったものだった。1000daysが終わってからも、せめてもう1回見ておけば……と思ったほど。
 それがもう一度、地方公演で見られることになったのだから、嬉しいことこの上ない。

 久々にみる愛華みれの光源氏、やはり当たり役だと思った。光源氏の持つ耽美で儚げな美しさが、愛華みれ自身の持ち味と合致して、非常に魅力的に見えることを改めて実感。こんな光源氏が、もう見られなくなることには、淋しさを禁じ得ない。
 当たり役といえばもう一人。春野寿美礼の刻の霊。役そのものが持つインパクトと、自身の存在感が相まって、単なる狂言回しを越えた、見る者を圧倒させるパワーを感じさせてくれる。これに触れることができたのも、今回の公演で嬉しかった点の一つだ。

 ところで、この作品は元々大劇場と1000daysでの上演を前提に作られた作品。そこで地方向けの脚本や演出の変更がかなり見受けられた。
 大きなポイントは、刻の霊を中心とした幕前芝居が増えたことだろう。盆を使用した場面転換ができないことで、割愛せざるを得ない場面が増えた。そこで、狂言回しとしての刻の霊の役割が増えた。カットによって足りなくなったところを、刻の霊による説明で補う。制限を克服する手法としては、適切であると思う。また、刻の霊による説明が増えたことで、話がより分かりやすくなった。
 ただ、説明を増やしすぎて、余計な語りも入っている点は気になった。特に最後の「雲隠」の直前。「光源氏の人生は、まさに夢のようなものだった」は行きすぎ。そこまで総括しなくてもと思ったものだが。
 とはいえ、地方上演が困難に見える作品を、よく持ち出せたと思う。舞台が小さくなり、生徒の数も減ったが、それでも宝塚の日本物らしい美しさや華やかさは変わらなかった。

 明石の上の舞風りらが好印象。ちょっとオペラグラスで追ってみたくなるような美しさがあったし、紫の上との掛け合いでは歌えるところを見せてくれた。ダンサーのイメージが強いが、芝居でも安心して見られる娘役だと思った。


ザ・ビューティーズ!

中村 一徳 作・演出


 中村一徳氏の作品というのは、あまり連続して見ない方がいいのかもしれない。
 1000daysの前楽で観劇してから約9か月。これくらいの間をおいてから観劇したら、「いかにも中村B」と言いたくなるような作品でも、楽しめるものがあった。
 こちらの方でも、春野寿美礼の活躍ぶりが印象的だった。「ワイン・バー」の場面など、持ち前の存在感と、抜群の歌唱力で見る者を引きつけてくれる。実は少し前から、男役の中では春野寿美礼に最も好感を持っていたりするのだが、この好感がますます強くなったような気がする(「気がする」というのも妙な言い方だが……(^^;)。これからがますます楽しみになっていく男役である。


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