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花組 宙組
宝塚大劇場・TAKARAZUKA 1000days劇場公演

ザ・レビュー '99

構成・演出 岡田 敬二


諸事情により、本作に限り、花組版・宙組版とも
同一ページにての公開とさせていただきます。

花組 宙組
観劇日   9月4日 10月11日
劇場 宝塚大劇場 TAKARAZUKA 1000days劇場
観劇時間  午前11時の部
(OMC貸切公演)
午後3時の部 午後3時30分の部
観劇場所  1階22列中央
(A席)
1階24列上手寄
(A席)
31列上手
(C席)


−続演の必要性はあるのか−


 花組版、宙組版の両方とも悪いショーではなかった。しかし、これを2組続演する必要性が全く感じられなかった。「ノバ・ボサ・ノバ」は2組続けて上演するだけの価値のある面白いショーだったが、こちらはファンの間でまことしやかに囁かれている「衣装と舞台セットに必要な費用の節約目的」での続演としか思えないものだった。
 一応、作品そのものも全編にわたって評価はできる。しかし、そのほとんどは、悪い場面ではないけれども、優等生的な真面目さが目につき、積極的に評価できるものではなかった。それでも一部の場面が結構いいものだったので、とりあえずは傑作の範疇に入るのだが、それでも2組続けて見たくなるようなものには感じられなかった。


−60人ロケットと「夢人」−


 最初のよかった場面が「ザ・ロケット」だった。すでに新公学年を卒業した中堅男役まで動員しての60人ロケットは非常にいいものだった。
 昨年の5組化に伴い、各組の人数が激減したためにロケットを少人数ですることが多くなっていたが、これには時折物足りなさを感じざるを得ないことがあった。人数が減ると、どうも迫力が感じられないのだ。宝塚では人海戦術がものを言う場面が多いが、ロケットはその際たるもので、大人数で圧倒させる方が面白い。
 その点、今回の60人ロケットは見るものを圧倒させる迫力があり、これこそロケットと思わせてくれた。一連の動きだけでなく、60でのかけ声も非常に迫力があってよかった。やはりロケットは大人数に限る。今回の60人は配役の都合で毎回は出来ぬだろうが、これからのショーでも出来るだけ規模の大きいロケットを見せてもらえると嬉しい。

 60人ロケットともによかったのが「夢人」。この場面は今回の演出を担当した岡田氏でなく、草野旦氏の脚本によるもので、しかも20年以上前の初演時に作られたものであるが、さすがは草野氏と思わせるものがある。ショーへのストーリーの乗せ方が上手く、台詞なしでも物語の展開がわかりやすい。そしてそのストーリーに合わせてのダンスが非常に見応えある。この場面には20分近い時間が割かれているはずなのだが、この時間がいつもあっという間に感じられるほどである。


−ダンスの花組、歌の宙組−


 もう一つよかった場面として挙げたいのが、花組版の「アトランティック・オーシャン」。宙組版の同場面も決して悪くはなかったけれども、花組版に関しては強調したいものがある。この場面の雰囲気が非常にいいのだ。今の花組は、結構まとまりのいい状態にあると聞いているが、このまとまりのよさが表によくでていたのが、この場面だった。群舞も非常にまとまっているし、目に見えない部分でも花組生がまとまっているのが見えるようで嬉しかった。
 この場面に限らず、花組版では非常にいい群舞が何度となく見られた。この所、「ダンスの花組」という言葉に疑問符が投げかけられることもあるようだが、このショーを見て、まだ花組のダンスは健在なのではと思わされた。
 花組版に評価が偏ったが、宙組版の方は歌が非常によかった。あいにく、1000daysの31列という音響最悪の場所だったので、完全に楽しめたわけではないけれども、トップの姿月あさとを始め、非常にいい歌を聴かせてくれた。「エリザベート」の時にも感じていたが、歌のうまい生徒の多い宙組の舞台は、耳に心地いい。


−将来が楽しみな彩乃かなみ−


 生徒個人では、花組の彩乃かなみが非常によかった。
 フィナーレで初めてエトワールをつとめ、研3としては上出来の歌声を聞かせてくれた。花組配属当初から、注目されることの多い生徒だったが、今回改めて素質の高さを感じさせてくれた。「タンゴ・アルゼンチーノ」の方でも好演を見せてくれたし、これからがなかなか楽しみな存在である。


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