公演感想のページ

月組全国ツアー公演
「うたかたの恋」
「ブラボー!タカラヅカ」

うたかたの恋  クロード・アネ原作
柴田 侑宏 脚本・演出
ブラボー!タカラヅカ  三木 章雄 脚本・演出
会場 イズミティ21
(仙台市泉区)
観劇日   99年11月30日
観劇時刻  午後6時の部 
観劇場所  9列上手(S席)


−生で見れば面白い−


 芝居の方は少しおいておくことにして、まずショーの話をしたい。
 「ブラボー!タカラヅカ」に関しては、中国公演版をテレビで見て、かなり脱力感を覚えたものだった。特に「GOLD FINGER 99」を歌うところ。何で宝塚で「あちち あち〜」と歌わねばならぬのかと呆れる思いにさせられたものだ。それでなくても「三木作品のごった煮」であまり面白味が感じられない。
 そんなわけでわざわざ仙台まで出向きながらも、「うたかたの恋」だけで帰ろうかと思ったものだった。
 ところが、生で見ると意外にも面白かった。中国公演のテレビ中継の時、ネット内のあちこちでファンに叩かれたショーであることが信じられないくらいだ。件の「あちち」も案外楽しめた(多少の恥ずかしさは感じたけれども(^^;)。
 場の雰囲気もあったかもしれない。生徒が客席に出てきたり、トップスターが歌いながら客席を回るという演出のおかげで、場内は非常に盛り上がっていて、それがまたショーを楽しいものにしていた。しかし、それだけでなくショーそのものがまた観客を引き込む要素を持っていたはずである。それでなければ、宝塚の舞台で歌われる「GOLD FINGER 99」が楽しめるはずがない。
 ほんの少し、三木氏を見直したショーだった。
 ただし、パレードの「宝塚賛歌メドレー」は何とかしてほしかった。エトワールから緞帳が降りるまでの宝塚賛歌の連続は、聞いている方でさえも恥ずかしさを感じずにいられなくなってくる。


−「うたかたの恋」と檀れい−


 「うたかたの恋」は1日つぶしてバスで仙台まで遠征した甲斐があったと思わせる作品。これが初めての観劇だが、本当に見に行ってよかったと思わされた。
 ルドルフとマリーの恋意外の描写は、必要最低限に抑えられているので話がわかりやすいし、主人公たちの感情も痛いくらいに伝わってくる。最後は心中してしまうけれども、絶世の美男と絶世の美女が愛し合い、それを貫き通すという、あまりに宝塚的すぎる展開も非常に気持ちがいい。

 檀れいが非常に印象的だった。技術面では確かにトップ娘役としては心細すぎるのだが、ビジュアル面では格別のものがある。たとえ台詞がない場面でも、そこにいるだけで目を引きつけてしまう。そんな檀れいに、マリーははまり役だった。トップ就任からもうすぐ1年。これから技術的なものが身についていけば、どんなトップ娘役になっていくだろうか。注目したくなってくる。
 また、檀れいの技術面での不足が、周りのメンバーの好演でうまく補われているのがまた印象的だった。何気に、月組生は檀れいをうまくフォローしながら舞台を作っている。それをはっきりと意識しているかどうかはわからないけれども、それでも檀れいをフォローしている空気が、確かに感じられた。これがまた舞台を引き立て、「うたかたの恋」を非常にいい芝居に仕立て上げているように感じられた。

 本当に仙台まで来てよかった。そう思わずにはいられなかった。


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