隠れ宝塚のひとりごと

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花組東京宝塚劇場公演「ザッツ・レビュー」

植田 神爾 脚本・演出
石田 昌也 演出


観劇日   12月23日
観劇時間  午前11時の部、及び午後3時30分の部の2回
観劇場所  午前11時の部
午後3時30分の部
1階ノ列7番(B席)
1階ネ列7番(B席)


−「レビュー、明日への希望」について思うこと−


 植田大先生(笑)お得意の自画自賛が炸裂した今回の公演であるが、作詞を担当した公文健、すなわち小林会長の方も負けてはいない。今回の公演は、植田神爾対公文健の自画自賛バトル(笑)と言っても過言ではない。
 オープニングでいきなり「花のレビュー 夢のレビュー 人は汝を讃え 花のレビュー 夢のレビュー 明日への希望が 燃えさかる」のコーラスには観劇の度に歯の浮く思いをさせられる。しかもこの曲のタイトルが「レビュー、明日への希望」というあまりにもストレートすぎる名前だ。結局5回も見てしまった「ザッツ・レビュー」だが、10回くらい見ていたら、今頃歯がなくなってしまっていたかもしれない (^^;
 しかし、そんな曲であるにもかかわらず、この曲ほどよく覚えている曲はない。
 考えてみれば、この曲は、宝塚の基本に非常に忠実である。覚えやすいメロディーであることといい、芝居の中に何度も使われることといい。
 この基本に忠実なことは喜ばしいのだが、ただ基本に忠実ならいいというものではない。ただでさえ自画自賛に満ちた植田芝居に、「花のレビュー」などと繰り返すことは、洗脳以外の何物でもない。
 だいたい、今回の公演には、作る側の自己満足ばかり感じさせられる。
 まず、観客側の立場に立ち、観客自身に「宝塚ってすばらしい」という思いを抱かせるような作品づくりを求めたいものである。「花のレビュー」の繰り返しでこの思いを持たせるのは大きな誤りである。


−真矢・千コンビに泣かされた−


 さんざん文句をつけてしまったが、それでも今回は2回とも泣いてしまった。「植田芝居」で泣いてしまうのは悔しかったが、それでも涙が流れて仕方がなかった。
 泣かされたのは芝居部分の最後のシーンである。立ち去ろうとする泰平に、「レビュー、明日への希望」を歌う仙。「こんな俺でもついてきてくれるのか」と言う泰平に、黙って頷く仙。この場面での2人は、真矢みきと千ほさちには見えない。「春風泰平」と「仙」が舞台の上にいると錯覚してしまう。2人の表情や仕草から、泰平と仙が抱いていたであろう思いが伝わってくる。真矢と千、いや、泰平と仙が抱き合うところで、抑えられなくなってくる。この場面での2人は、不思議な美しさを見せている。この美しさと、演技からにじみ出てくる泰平と仙の思いが泣かせる。そういえば、9月にムラで見たときも、2度目のこの場面で泣いていた。
 そして、ここに続く、仙が泰平の手を取って、2人で歌いながら銀橋を行く場面は、芝居の部分では最も好きな場面だ。この場面の2人の美しさは最高である。歌が「レビュー、明日への希望」でなければもっといいのだが。
 と、ここまで書いたが、誤解なきように言っておきたい。以下、「お仙ちゃん」の口調で (^^;
「植田さんの脚本がよくて泣いたんじゃないからね! 真矢さんとほさちさんがとてもよかったから泣いたんだからね!」
 真矢みきと千ほさち、このトップコンビの芝居でのすばらしさは、4組中(宙組は正式発足前なので除外した)最高である。花組のファンになってよかったと思っている。


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