嶋本昭三
(具体美術協会)


*嶋本昭三氏は、平成25年1月25日午後5時17分に逝去されました。
3月13日のお別れ会では、ご本人のご意向により、献花の代わりに絵の具投げが行われました。

具体美術協会(1954ー1972)とは、戦前から抽象絵画のパイオニアとして活躍した画家、兼、吉原製油社長であった吉原治良(1905ー1972)が阪神間の個性的な若いアーティストを集めて1954年に結成した前衛美術グループである。具体美術協会(以下、具体)のメンバーは「人のまねをするな」「誰もやってないことをやれ」という吉原の厳しい指導のもとで、野外での展覧会や舞台を用いた展覧会など型破りな表現を繰り広げ、世界の現代美術に大きな影響を与えた。
海外での評価は一貫して高く、1986年にフランスのポンピドゥー・センターでの展覧会「前衛美術の日本1910ー1970」で大きく取り上げられたほか、ドイツ、イタリア、アメリカなどでも次々と展覧会が開催され、1993年には第45回ベネチア・ビエンナーレに招待され「具体」のコーナーが設けられた。
嶋本昭三(1928ー)は具体結成時からのメンバーであり、「具体」という名の名づけ親でもある。氏の代表作である『穴』(1950年)は世界で初めてキャンバスに穴をあけた作品として評価され、イギリスのテートモダンギャラリーに収蔵されている。
既成の概念にとらわれない具体の精神は具体解散後も後続のアーティストに大きな影響を与えている。
嶋本昭三氏の弟子である紙コップアーティストLOCOは美大浪人中嶋本氏の著書『芸術とは、人を驚かせることである』を読み、アトリエに話を聞きにいったところ、逆に氏から「僕の弟子になって下さい。」と土下座され弟子となる。その後LOCOは嶋本氏から「世界であなたにしかできないことをしなさい。」と言われ、
誰もが想像つかない紙コップアートを生み出した。

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ギャラリーメゾンダールでは、2003.10/1(Wed)-10/13(Mon)
"嶋本昭三 × LOCO  Shozo Shimamoto×Loco
初コラボレーションー"師匠と弟子の○○○○カ・ン・ケ・イ!"を開催。
会期中の4Fでのイベント「 師弟バトルトーク」での話は、青心社より出版が決まり、翌年「LOCOMOTION」出版記念展も開催しました。
■CUBE&ROUND● 2004.3/31(wed)-4/4(sun) 『LOCOMOTION』出版記念展 @ギャラリーメゾンダール。心斎橋クリスタ長堀では、3/28(日)『CUBE』-5人の紙コップ人間パレードを心斎橋筋周辺にて約2時間に渡り開催いたしました。  ←嶋本氏も特別参加されました。ありがとうございました。
(企画:ギャラリーメゾンダール 提供:クリスタ長堀)

ヴェネチア・ビエンナーレについて… ヴェネチア・ビエンナーレはイタリアのヴェネチア市が1895年に創設した100年以上の歴史を持つ世界で最も古い国際美術展。世界約50カ国の参加があり、美術の最前線の動向を示す展覧会として広く知られている。 
-ギャラリーメゾンダールでは、 嶋本昭三の1993年 第45回ヴェネチア・ビエンナーレ出品作品を切り売り額装販売しておりましたが完売いたしました。現在嶋本氏の作品は、すべて、あるイタリアのギャラリーの販売管理となっております。


メールアートとは?
 *ギャラリー メゾンダールでも協同募集いたしました。Click

 

メールアートとは(直訳すると郵便芸術)、展覧会場で自作を発表するのではなく、郵便という手段を通 してアートを見て欲しい相手に直接送りつける行為のことである。
実際に「メールアート」という名をつけたのはフルクサス創設会員のレイ・ジョンソンで1962年の「メールアート宣言」をもって発表された。しかし美術出版社の『現代芸術事典』によると、1955年に嶋本昭三が具体の機関誌『GUTAI』を手刷りで印刷して世界に送付し、世界のアート界と交流するきっかけになった行為がメールアートのはじまりとされている。 メールアートそのものの本来の意味は、コンセプチュアルな試みではなく、ヒエラルキーに対抗するものとして生まれた。芸術におけるヒエラルキー(階層)とは関係なくアートをうみだし、それを発表したいと願うアーティスト達の中から自然発生的に、郵便という方法を用いて世界の美術関係者に送りつけるという行為が生まれた、これが恒常化するうちにネットワークが生まれ、そこにネットワークを通 じてのメールアートという行為が生まれた。
芸術は本来楽しむためのものであり、「人間の頭にはルールというものを勝手に作り上げてしまうことがある。 絵の世界でもそうだ。日本人は日本人の価値観・倫理観にそって、自然にルールをつくってしまっている。世界とメールアートの交信をしてみると、日本人がいかにルールの中でいきているのかが実感できる。」と嶋本氏はいう。「人生の充実やアートの使命について考える中で、自然発生的にうまれてきたのがメールアートのネットワーク」であり、「アートのネットワークの中で、アートを表現し、アートについての意見を交換し、人と人が出会うのである。」嶋本氏は行き詰まる現代美術の中でネットワーキングの持つ多くの可能性を唱えている。
(文責 伊藤まゆみ)

嶋本昭三←嶋本氏の頭  



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