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NEWS & TOPICS 2008.02.28

サハラ砂漠を無線で結べ 
  〜モーリタニアの無線網構築に情熱をかけるベテランハムたち〜

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金曜と祝日を除き、毎時10時から「おはようございます。こちらはヌアクショット中央局。各局、緊急連絡はありますか?」という無線を介した呼びかけが、サハラ砂漠に位置する国、モーリタニアの1,000キロ四方に流れます。そこでは(特活)国際アマチュア無線ボランティアズ(IARV)2003年から日本NGO連携無償資金協力を受けて約80の村落に設置した固定無線局と25の車両無線局が稼動しています。

IARV
は通信インフラ構築を専門としている世界でも珍しいNGOです。代表の林さんは20年以上前に仕事でタイに滞在中、たまたま訪れたカンボジア難民キャンプで、難民の悲惨な状況とそこで献身的に活動するボランティア医師や看護師の姿を目の当たりにしました。

自らもボランティア活動を志した林さんは、趣味アマチュア無線を活用することを思いつき、仲間と共にIARVを結成しました。償却期間をを過ぎたタクシー無線機を譲り受けて整備し直し、カンボジアやラオス、パレスチナ自治区などの医療機関で、救急車用の無線機としてリサイクル活用するのです。その地道でユニークな活動が評判を呼び、国際医療学会などを通じて口コミで紹介されていきました。現在は主にモーリタニアを中心とするサハラ砂漠で活動しています。

「最近ではアフリカ諸国でも携帯電話の普及が伸びていますが、サハラ砂漠地帯には採算上、どの会社も進出の気配がありません。また、一対一のやりとなる電話機能と違って、情報を数十局に一斉通報でき、必要に応じて割り込みもできる無線機能は、広大な砂漠の集落で暮らす人々の緊急連絡網として非常に有効なんです」と林さんはサハラ砂漠での無線網の重要性を訴えます。

「村の子どもが吐き気と高熱で苦しんでいる、と連絡を受けたヌアクショットの医師が無線で問診を行い、すぐにマラリアと判断、早速治療のための薬が届けられことで一命を取りとめた例もあります。無線がなければ、苦しむ子どもを相当なお金と時間をかけて町まで運ばねばならなかったでしょう」

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車両無線局のアンテンナ調整をモーリタニアのエンジニアに指導するIARV会員 (写真提供:IARV)

医療相談以外にも、迷子のラクダの探索に利用したり、砂嵐やバッタの大量発生時には、その移動予報を流して防災に役立てたり、商業活動にも活用し、村を離れることなく商品注文や情報交換ができることで、村の過疎化防止と地域産業の活性化にもつながるなど、無線網はさまざまな分野でその力を発揮しています。

林さんたちは、こうした無線連絡網の効果的な使用方法や、適切な保守管理のノウハウについて、現地でセミナーも開催していますが、多種多様な現地語が使用されているアフリカでも分かりやすいようにイラストを活用しています。また、以前に比べて資金援助も得られるようになった現在では中古のタクシー無線機は使用されていませんが、モーリタニアで構築した無線局の90%に太陽電池方式を採用するなど、環境保全への配慮も忘れていません。

IARV
会員の平均年齢は65歳。「『アフリカの水を飲んだ者は再びアフリカへ帰る』という諺どおり、またアフリカで活動したいという会員が多くて、うれしい悲鳴をあげているんですよ」と今年78歳になる林さんは言います。国際協力にかける情熱に年齢は関係なく、開発途上国の現場で、趣味の技術をいかしながら日本のNGOが活躍しています。

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政府開発援助(ODA)白書 2007年版 日本の国際協力 p83 より転載
*IARV
理事長・林さんのコールサインはJA1UTです。

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国際協力に関する情報は外務省ホームページからご覧になれます。

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