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小夜左文字
刀剣乱舞

文・撮影 古川卓也

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刀剣男子幻想

「もし。お待ちを」と小夜左文字は通りすがりの年増の女に声をかけた。
「不空の観音様が、ここらあたりにあると聞いたが、ご存知か?」と小夜が尋ねると、
「ここを右に曲がれば、二月堂。その先が三月堂。三月堂の観音様のことどすやろ」と女。
「二月、三月とは、いきな呼び名じゃなあ。四月堂、五月堂もあるのかい?」と小夜。
「ほほほ、それはない。おかしなお坊さんじゃな」と女。
「二月堂といえば、お水取りで有名なお寺じゃが、不空の観音様は、三月堂であったか」と小夜。
「観音様を拝みたいのかえ? いずこの国から来やした?」と女。
「筑前国から、はるばると訪ねて参った」と僧侶らしからぬ言葉で小夜は言った。
「ほお。お前様はお防さんの袈裟をまとっておられるが、お坊さんかえ?」と女が訊くと、
「・・・」
小夜は黙ったまま、女の顔を見つめた。
「まッ、そんなことはどうでもええが、たいそう立派な観音様じゃ。拝んでいきなはれ」
と年増の女は、土塀伝いの緩やかな下り坂をとぼとぼと再び歩いていった。
「かたじけない」と小夜は言いながら、女の後ろ姿に向かって、ぺこりと首を垂れた。





東大寺法華堂こと三月堂には不空羂索観音立像があり、上の画像は二月堂へと続く裏参道を以前撮影したものである。季節は5月上旬頃となる。小夜左文字は、一昨年2018年10月のときわハロウィンで『千銃士』の「ケンタッキー」のコスプレをしていた同じレイヤーさんである。撮影時短い会話だったが、電気回路はやめて今はコネクターの設計・開発部門に配属されているとのことだった。文字通り刀剣男子のようだったから話は面白かった。「今年は短刀ですか。去年はライフル銃でしたが、こっちに持って来るとき、銃刀法違反にでもなりそうですよね」と笑いながら私が言うと、「この刃、アルミ製なんですよ。模型なんで、これで人は斬れないんですよねえ」と彼女が言ったので、私がそれを手に取ると、なるほど確かに短刀の刃はアルミ製のようで、軽い気がした。クスクス笑いながら、「でも、これ、高かったんじゃない?」と私が訊くと、「2500円くらい」と彼女。小夜左文字のコスプレ衣装と合わせると、1万円を超えたかもしれないようだった。前回のケンタッキーライフル銃だけでも15000円くらいだったから、気に入ったコスプレには金に糸目をつけない性格のようである。大したレイヤーさんだ。

一年ぶりに再会し最初彼女の姿を見つけたとき、右頬下に短めの白い絆創膏が貼ってあり、左脚の太腿には包袋がグルグルに捲かれ、膝にも白い絆創膏が貼ってあったので、「ケガでもしたの?」と訊いたら、「これがキャラクターなんですよ」と言われて、よくよく顔を見ると、左頬の上にも黒いバッテンの×が書いてあったので、やりすぎじゃないのかとも思ったが、彼女のコスプレパワーに圧倒されて、カメラをパチパチ。あえて目立つように白色の絆創膏を貼っていたようである。満身創痍のキャラクターなのであろう。だが、その左脚の脛あてには赤と金であしらった威嚇するような脚絆が目立ち、決死の闘争心のようなものがむき出しになっていた。固い意思の表われなのであろう。そもそも撮影場所に私が誘導して移動したら、そこで彼女はいきなり私に短刀を差し向け、ポーズをしてくれたのだが、真剣な眼差しだったので、私はおどろいてすぐに何枚も撮影した。今回はステージでの撮影も合わせて、いろいろ私が過去に撮った風景画像を使いレタッチしてみたのだが、気に入ってくれるだろうか。彼女にも最高のパフォーマンス画像に仕上げたいと思っているわけなのだが。

ところで、そもそもゲーム『刀剣乱舞』とは、日本刀の名刀を男性に擬人化して、刀剣男士を収集・強化し、日本の歴史上の合戦場に出没する敵を討伐していく刀剣育成シミュレーションゲーム、というものらしい。私の理解を超えた世界ファンタジーではある。小夜左文字のキャラクターデザインは、鈴木次郎という名の女性日本漫画家・イラストレーターが担当している。小夜の髪型が超カッコイイ。小夜が着ている青色の袈裟は物語上では拾ったものらしくて、不幸三人兄弟の末っ子が小夜とのこと。実際に今も残る名刀・小夜左文字の短刀は、南北朝時代の筑前国の刀工・左文字の作で国の重要文化財として現在、中鉢美術館(宮城県)に所蔵展示されているらしい。


小夜左文字 (画像クリックで拡大)

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原寸サイズ (Click images to full size)
東大寺二月堂へ続く裏参道にて (1810×960)
仇討の誓い (1880×1110)
勝負 (2160×1110)
幸せ地蔵尊 (1900×1260)
往生極楽院にて (1800×1010)
お小夜さん (1650×1590)



背景画像
東大寺二月堂へ続く裏参道(奈良)
宇佐神宮の祓所(大分)
宇佐神宮の菱形池散策道周辺
哲学の道沿いにある幸せ地蔵尊・弥勒院(京都)
三千院の往生極楽院庭園(京都)



江戸時代では親の仇討なるものは、そもそも寺社仏閣内では御法度である。ゲーム「刀剣乱舞」に出て来る小夜左文字がいかなるキャラクターで登場して来るのかは勉強不足で深くは知らないが、コスプレイヤーの容姿から一体どのように表現したらいいのか、実際ずいぶん迷ったわけだが、撮影したものをそのままブログやツイッターなどのSNSに公開しておけばそれでよいのかもしれないが、これまで写真展に全紙のサイズでしか発表したことがない私には、スマホサイズやタブレットサイズなどでは物足らず、どうしてもPCサイズ(23インチ)が最小となってしまう。PCのホームページでなるだけ大きく表現してゆかないと、情熱も湧かないし、制作意欲も湧かないので致し方がない。その一瞬の表情を逃さず捉えるためにたくさん撮影し、選んだ一枚の画像に、こまやかな画角を確認しながら、理想とする背景をいろいろに思い描くことは実に楽しい。自由な発想と表現形式にはこだわらない手法の作品製作には、自然と熱も籠もる。

ゲーム小夜左文字のイメージキャラは、瞳が極端に小さく三白眼という睨み返す左右と下が白眼となる上目遣いで、復讐こそが生き甲斐とするキャラとなっており、ただ、あくまでマンガの顔であって人間の眼で表情するのは困難な目つきではある。また青い大きくひらいた髪型にも特徴があり、このキャラを人がコスプレしようというのだから大変。しかも若い美人が演じるのだから、かなりの度胸もいる。両眼にはブルーのカラコンをして、袈裟も青系。そんな難関なキャラクターに私はあえてコスプレ優先で背景には寺社境内を使ってみた。小夜左文字を包む心象風景にはそれらがよく似合う気がしたのだ。勝手に連想しながら、二月堂への裏参道で短い脚本も付けてみた。星の数ほどあるWebサイトの世界で、当Webのささやかなフォト・ギャラリーをご覧いただき誠に感謝を申し上げます。また、小夜左文字のレイヤーさんに深く感謝を致します。




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ときわハッピーハロウィン2019
2020/01/21)





制作・著作 フルカワエレクトロン

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