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HiSTORY OF ROCK


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ロックのルーツ

このロックの歴史を解説するような「ロックの系図」はいったい誰が書いたのか、非常によく出来ているので、こちらの新・美術散歩で紹介してみた。まるで音楽の地図にも見えるが、ロックのルーツが描かれている。偏った見方にも見えるが、とてもロック好きなミュージシャンか頗る研究熱心な音楽家が書いたようにも見える。しかもどのアーチストの楽曲にも精通していて、それぞれの世界観を理解し深く堪能して来た「良き理解者」ともいえる。ジャズに始まり、それはブルースともなり、R&B(リズム・アンド・ブルース)を加味してコーラスグループを取り入れたドゥーワップなどの合唱スタイルに変容し、元来のカントリーもフォークやロカビリーに変容している。エルヴィス・プレスリーはそのロカビリージャンルの代表格だろう。R&Bはロカビリーを生み、ハードロックにも影響した。そして、ドゥーワップを経てプリンスなどを輩出したファンクを形成し、私の大好きなドナ・サマーことディスコの女王を生んで、ディスコはラップやヒップホップを誕生させた。

フォークはピーター・ポール&マリーが象徴するように60年代~70年代を優しく席巻していたブームであったし、曲「パフ」「風に吹かれて」「悲惨な戦争」など誰もが生涯忘れられない世界を代表する名曲となっている。そして、フォークは映画『卒業』(1967)でお馴染みのサイモン・アンド・ガーファンクルのようなフォーク・ロックに至り、ブロンディのようなニューウェイブの時代に突入した。ブロンディの名曲「ハート・オブ・グラス」も心に残る。ハード・ロックといえばレッド・ツェッペリン、アアアアッ~! ア~!の雄叫びに始まる「移民の歌」だが、「ロックン・ロール」といい「天国への階段」といい、懐かしき名曲ばかりだ。私はイギリス系も好きだが、北米系のヘビメタを最もこよなく愛している。カナダ出身のロックバンド、ラッシュの「トム・ソーヤー」は私にとって最高峰のギター音色であって、オーディオで聴くと、ただただ曲の世界観に圧倒されてしまう。車で走りながらカー・オーディオで聴くと30歳は若返ってしまうから、病的なほどのロック教信者かもしれない。「ライムライト」はもちろん言うまでもなく名曲中の名曲だ。そして、アメリカのヘビメタ代表格でもあるY&Tの「レスキュー・ミー」は、体の芯からエレキの唸りに吸い寄せられてしまう魔音だ。ロックというよりかは叙事詩的なサウンドでもある。ヴォーカルの太くてオクターブの幅広い声量は群を抜いている。演奏がこれまた抜群に広大なスケール感を持っていて、この当時でなければ生まれて来ないサウンド要素に痺れる。70年代~80年代にFMをエアチェックしたカセットテープは今も大切に保管して200本ばかりあるが、お気に入りはUSBメモリに変換してCD化しては聴いている。当時の若くてエネルギッシュな声とサウンドが、車内で新鮮に聴けるのは奇跡とも言えよう。

上の音楽の地図を再び眺めてみると、心ほぐれる名曲の数々と才能豊かなリズムセッションのスティービーワンダーや大好きなダイアナ・ロスのいるソウルを経て、ロックに近づくジャニス・ジョプリンの「ムーブ・オーバー」や「ザ・ローズ」はあまりに有名な代表曲ではある。27歳の若さで夭折してしまったジャニスの謎の死にはいろいろ推測沙汰があるようだが、当時唯一の女性ロック・シンガーとしての存在は、名曲と共に歴史に刻まれていることだけは確かだ。さらに、サイケデリック・ロックという麻薬っぽい幻覚ムードを基調とした、やや諦め気味で頽廃的なザ・ドアーズの「ライダーズ・オン・ザ・ストーム」も名盤名曲の代表ではあるだろう。このサイケデリックから、かのエレキギター名奏者ジミ・ヘンドリックスが生まれ、ラッシュが生まれている。プログレッシブ・ロックいわゆるプログレにも至るわけだが、この革新的なロックにイエスやピンク・フロイドが頭角を現わしている。集約されてゆくハードロックはパンクを生み、ヘビメタをも吸収した。すべてはジャズやブルースやカントリーから派生してみえるが、ロックのルーツには偉大な先陣の音楽魂が根付いていたところに回帰してみえる。音楽には国境がないのだ。ロックも同じである。ただ、ロックとは激しい音響の爆発や発散とばかりには一概に言えず、頗るインテリジェンスに言いたいことを素直に言える勇気だとも思える。直接的であれ間接的であれ、素直に自分の気持ちを表現する場所である。雄叫びもするし自由に主張も謳歌するが、けっして自分を押し殺さないということだ。まして、そこに利害関係も優先されないということである。

映画『スクール・オブ・ロック』

映画『スクール・オブ・ロック』(2003年米)は、こうして20世紀に生まれたロックの伝統を21世紀にも繋いだ感動作の優秀映画といえるだろう。主演ジャック・ブラックの個性が最大限に活かされた名作ともなった。売れないロック・ミュージシャンのデューイ(ジャック・ブラック)は自分のバンドメンバー達からクビを言い渡され、じり貧の彼には共同生活の負担分家賃も払えずにいたところ、ある日、友人でもある同居人のネッド(マイク・ホワイト)に私立学校の臨時教師の仕事が舞い込み、仕事が欲しかったデューイはネッドになりすまして名門ホレス・グリーン学院の臨時教師をうまく請け負う。生徒たちはみんな厳格な学校の規律に支配されており、虚ろで無気力な日々の時間を過ごしているかのようにみえていた。担任代理の授業時間には生徒たちを全員休ませていたが、別教師のクラシック音楽科目の授業に気がついて、生徒の何人かが楽器を扱っているのを教室の窓越しからこっそりと目撃する。自分に都合のいいロックバンドチームが出来そうな野心が急に芽生えて来て、ロックへの企みがエスカレートし、次第にクラス全員にそれぞれの役割を持たせてしまうお話しなのだ。校長には内緒でこっそりと、ひそかに生徒らによるロックバンドがついに結成されてしまう。年齢10歳のロックバンドはクラス全員一人ひとりそれぞれの豊かな個性で以って分担があり、楽器をやる者、ボーカルを担当する者、コーラスをする者、学内でロックの練習が見つからないように警備する者たち、照明デザイナーにマネージャー、衣装コーディネーターにヘアーデザイナーなど、クラス一丸となってロック戦士の名誉を掲げたのだった。「ロックしよう!」と雄叫びする偽担任教師デューイは、彼ら全員のハチャメチャ中心ボーカルには変わらなかった。そして、チームのバンド名は生徒たちが名付けた「スクール・オブ・ロック」に決まった。

生徒たちはデューイの指導のもと日々ロック魂を植え付けられ、猛練習に励んで演奏してゆくと、次第に子供たちの才能は開花し始める。ロックの真髄とは何か、ハードロックのルーツとは何か、黒板に歴史あるミュージシャンたちの系譜を辿りながら説明してゆくのだった。その黒板一杯にチョークで書かれた「ロックのヒストリー」が、今回紹介した上の画像である。まるで見事な「音楽の地図」のようでもある。さて、建て前では生徒たちに「州の全校が参加してトップ賞を目指す」としながら、ついにバンド・バトルの予選会にこぎつけたものの、バトル大会の責任者から子供たちの参加は認められないことになる。が、しかし、マネージャーからの名案で、生徒たちは全員とも末期の小児癌のような重症患者で、このロック演奏が唯一の希望だった、とデューイにウソをつかさせ、ついに本選の大会に出場してしまうというコメデチックなようで実に真剣勝負で挑んだ物語なのである。ロック熱血教師デューイは友人ネッドにウソをついて裏切ってしまったとはいえ、生徒たちをロックで自由奔放な人間に成長させた功績は胸を打つものであろう。映画では上の画像は実際には使用されていないが、方向や矢印などをチョークの手書きにすると、デューイが生徒たちに黒板にロックの歴史を説明してる場面と同じ「ロックのルーツ」画像と重なる。その手書き「HiSTORY OF ROCK」をパソコンで示したものが、上の画像である。実によく出来たロックの地図といえるのではなかろうか。私も非常に勉強になったし、知らないロックバンド名の曲をYoutubeで検索してみるのも楽しいものだ。『スクール・オブ・ロック』は心打つ星五つの名作である。

最後に付け加えておきたいものがある。バンド・バトル本選で披露した、生徒ザック作詞・作曲による生徒たちのロックバンドがフィナーレを飾り、劇場ステージは感動の嵐に包まれてゆくのだが、そのロックの歌詞がこれまた実にすばらしい。それが下の通りである。この映画の脚本がマイク・ホワイト(デューイの親友)というのが、また妙に面白い。この作詞は意外と彼かもしれないが、不明である。

スクール・オブ・ロック      

いつだってオールA
だけど頭は ぼんやり
すらすら暗記ばかり
まるで催眠状態
すると魔法使いが来て
頭のネジを巻いてくれた
彼は言う

❝ 時間割をぶっ飛ばせ ❞
すると元気回復
今 本当に生きてる
教師のペットでいたけりゃ ――
何もかも あきらめな
ロックは意味なし リズムなし
遅刻せずに学校へ
決められた道を 転がるばかり
評価は満点 心は空転

(1)     

手を挙げ 本音を伝えたい
封印された心の歌 ・・・
魔法使いが君らを誘う
ノリ(・・)が大事だ 言葉より
どんな?
クラスのみんな よく聞いて
今日のテーマは ――
爆発だ
教師のペットでいたけりゃ ――
何もかも あきらめな
ロックは意味なし リズムなし
遅刻せずに学校へ

これが最終テスト
俺の正体はバレた
ロクな奴じゃなかったが ――
俺が消えてもロックしろ

(2)     












文・古川卓也
(2020/11/12) 


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制作・著作 フルカワエレクトロン

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