證河学園の某新聞部部長に言わせると、ふたりはそんなかんじだ。
小さなセキをしたと思えば、今度は続けてやってきた。
「コホッ、コホコホッ」
思わず右手を口に当てる鈴木は、現在帰宅途中。
卒業後、證河学園の助手となったなので、帰路は学生の頃とそう変わらない。
特Aクラスの人間に与えられる個室は、学園従事者用宿舎の横の建物だからだ。
ただあの頃と違うのは、少し帰る時間が遅いのと…
「…大丈夫、か…?」
左手に繋がれた恋人の存在だ。
「は、はい…コホッ」
「…」
「コホッコホッ…あ、あれ? 風邪でもひいちゃったんでしょうかぁ…コホッ」
「…そうか」
苦しそうにセキを繰り返すの手を放すと、その右手での背をなぜた。
「あっ…ありがとうございます…」
恥ずかしそうに俯くを、先程からしげしげと見つめる安藤。
おかげでの体温上昇に手を貸していること受け合いだ。
「せ、先生…もぅ大丈夫、ですから」
「…そうか」
がそう言うと、背をなでるのを止める安藤。
行き場を失った手で、今度はの頬を軽く撫でた。
「…熱い…な」
「そ…そうですか…?」
さらにさらに赤くなる、相変わらずしげしげと見つめる安藤。
「…今日は泊まっていけ」
「コホッコホッ!!」
再びの手を引く安藤、連れられる。
「で、でも…」
「…それではろくに飯も作れまい」
「そんなことは…コホッ、…ってそんな先生に用意して頂くなんて…!」
「…と言う割には、顔が緩んでるぞ」
「コホ!!」
失笑する安藤、慌てて顔に手をあてる。
「…病人は大人しくしていろ」
「………」
(別にちょっと喉が痛いだけなんだけどな…)
そんな気まずさはあっただが、ポンポンと頭を撫でられるのもくすぐったくて
にっこり笑って頷いてしまった。そんな冬の帰り道。
…
その後どうなったかって言うのは、
実は安藤先生は料理が凄く上手だったとか、下手だったとか、
は風邪を余計こじらせてしまって次の日を休んでしまったとか、
園内どこでも、これだけ堂々と純愛ぶりを見せつけるのは
この二人の右に出るものはいないって
噂話の最後がいつもそうなのはホントの話。
寒気に目を覚ましたの目に、グレーの眼鏡をかけたスーツの男がこちらを覗き込んでいる姿が映った。
「…きゃ!!」
「…とれぇな…」
「あー、俺、弟。お前兄貴の女だろ?」
「…誰…お前」
ワンテンポ遅れてが驚くと、男はポリポリと頭を掻いて呟いた。
その言葉に赤くなる。
「ふーん…また随分…」
物珍しいものを見るようにを見ていた男の目が、と合う。
は不思議そうに男を観察していた。
は”弟”宣言より”兄貴の女”宣告(?)に驚き、壁に頭を思いっきりブツけた。
…てなかんじで(-_-;)。何だか主旨が変わってきそうだったので止めました(~_~;)。
何故兄宅に弟が来たのかというと、弟の奥さんの命日だったとか、なんだかそんなこと考えてたんですが。