私立ジャスティス学園SS
昔、会報みたいなもので連載していたもの。暇つぶしにどうぞ(^_^;)
主人公「亜崎亜美」(女)のコメディストーリー(ちょっと恭介より)です。

六月十二日 グラウンド
太P戦――…それは、太陽学園・パシフィックHS対抗戦の略で、八日もの間両校の生徒たちが己の技を競い合うという大イベント。そして今日はその最終日。去年に引き続き今年もかなりの激戦で、今日の競技の結果が勝者を決めるという状況だわ。両校の生徒たちの興奮が、頂点に達してるのは見た目にも明らかよね。
隼人「いいか! お前ら! 泣いても笑っても今日が最終日だ! 勝負は今日の競技で決まる! 尾崎、俺の言いたい事がわかるか!?」
私「え、えーと…わかりません!」
 ドゴンッ
隼人「ばかものぉぉ! いいか! 今日が最後だって事は、つまり「明日はねぇ」って事だ! わかるか? お前の骨を俺が拾ってやる! さぁ安心して戦ってこい!!」
私「はい! ありがとうございます!」

バツ「尾崎、パシフィックの連中にほえ面かかせてやろうぜ!」
ひなた「そうだよ! やるからには勝たなくちゃ!!」
恭介「大丈夫、僕らが力を合わせれば勝てるさ」
私「勿論、負けるつもりはないよ!」
バツ「勝負は尾崎の出る種目にかかってるんだからな。頼むぜ!」
ひなた「あれ? そういえば亜美ちゃんって何に出場するんだっけ?」
私「バレーサービス合戦に出るわ」
ひなた「そっか、頑張ってね! 亜美ちゃんならきっと大丈夫だよ。私、信じてるから?」
恭介「亜美さん、ピンチの時こそ冷静にな。ともかく頑張ってくれ」
私「ありがと。じゃあ、いってくるね」

私「(もう少しで始まるわね…。…? 目の前にいる人…誰かに似ている気が…誰なんだろう、この人)」
男「尾崎、貴様の実力見せてもらうぞ」
私「な、なんなの? 私の実力!?」

[ 体育館 ]
 バレーサービス合戦は、バレーボールをサーブして、コートに接地された点数に当ててその合計点を競う競技で、筋肉番付でやっているアレに近い。私がこの競技を選んだのは、得意というのではなく、他の野球・サッカーは全くの素人だから、消去法よりバレーとなったのだ。即ち自信はなし。そこで見たくない人影を見つけてしまった。
「ロイ!? 貴方これに出るの!?」
「オザキ! 君も出るのか?」
 ロイはパシフィックの生徒で、フットボール部に所属するアメリカンだ。
「なんでロイが出てくるわけ?!」
「ハハ、まぁ、ね。ティファニーが出るはずだったんだけど、どうしても僕の勇姿を見たいっていうから…」
「へぇ…相変わらずねぇ」
 ティファニーというのは、ロイの友人のボーマン曰く「友人以上恋人未満て仲ですよ」の彼女らしい。彼女の方はロイを追って日本に来たとか…
「か、勘違いしないでくれよオザキ!」
「ナニがカンチガイですか―?」
「わっティファニー!!」
ロイの後に突如チアリーディングの服を来たティファニーが現れた。
「オゥ! オザキ! ユーはミーのオトモダチですが、今日はベツで〜す!」
「ティ、ティファニー、チアリーダーの君が抜け出してきてどうする!?」
「ロイったら! オチャメサマですネェ! ミーはロイのために―――」
と、まぁ見事競技が始まるまで、私はあてられてしまった。

 ロイはティファニーの応援に戸惑っていた様だけど、結局ロイが最高得点をあげ、私は力一杯頑張ったものの太P戦は十年ぶりに引き分けに終わった。

[ グラウンド ]
男「尾崎。貴様の実力見せてもらった」
私「あ、あなたはさっきの――」
男「私は忌野雹。この学園の生徒会長をしている。恭介の報告通りだ。だが、私の右腕になるにはまだまだ力不足の様だな。またいずれ会う事になるだろう。では、さらばだ…」

バツ「おーい、尾崎。こっちだこっち」
ひなた「お疲れ様。引き分けになっちゃったけど、みんな頑張ったよね!」
私「うん、みんなもおつかれさま」
恭介「今年は怪我人もいなかった様だ.バツの乱闘もなかった様だし、風紀委員としては嬉しい限りだよ」
バツ「ちぇっ! それじゃオレがいつも乱闘してるみたいじゃねぇか」
恭介「違うのか?」
ひなた「あはははははは! うん、してるしてる。バツって気が付くと乱闘してるもんね」
――こうして、太P戦は無事終了した。
八月十四日 自宅
今日は夏のお楽しみ、臨海合宿。さて、準備もできたことだし、そろそろ出発しようかナ。

[ ホテル前 ]
う――ん。電車に揺られて二、三時間…。やっと着いたよ…。空は青いし、空気もキレイ! ホテルもなかなかいい感じ。さぁて、のんびり羽根を伸ばそおっと!
隼人「コラァッお前たちっすぐに遠泳を始めるそ! 荷物を置いたらビーチに集合だぁっ!」
私「(うげげっ…そうだ! 午前中は遠泳するんだっけ。(でも何で先生もう水着になってるのかな…?))」

――遠泳――

ハァハァ…さ、さすがに沖ノ島まで泳いで往復するのはしんどいよぉ〜。これが楽しみで隼人先生あんなに張り切ってたのか―…な、納得。でも確か午後からは自由行動のはず…。私は誰と遊ぼうかなぁ…。
恭介「あっいたいた亜美さん! バツが大きなスイカを見つけたんだ。一緒にスイカ割りしないか?」
私「(あら…?鍛えられた肉体に白い肌、そして美しい顔。耽美だわ…)」
男「ダメダメ! 尾崎さんは俺とビーチバレーをするんだぜ!そうだろ?」
私「(まぁ?五輪高校のロベルト君じゃない。太陽に輝く素肌…。光る汗。やっぱり夏はラテン系よっ!)」
ロイ「オイオイ! 外野は引っ込んでてくれよ! 亜美は僕と一緒にビーチで肌を焼くんだからな!」
私「(まいったちゃうなぁ…?さ、さすがフットボールの花形選手。スケールが違うわっスケールが!)」
…なんか凄くモテてるみたい、うーん、バツ君とひなたとも遊びたいし…
私「ごめん、スイカ割りがしたいな」
恭介「決まりだな、じゃぁ行こう」
バツ「くっそぉっ! 外れちまったぜっ!恭介ってめぇ騙しやがったな!」
恭介「僕はちゃんと教えてやったのに、バツが勝手に空振りしただけだよ」
ひなた「くすくす…じゃぁ次は亜美ね! 用意はいい? 目隠しするよ」
私「(グルグル回されてもうどっちにスイカがあるか分からないよ〜)」
「そうそうそのまま真っ直ぐだよ!」
――これはひなたの声ね。そうか、このまま真っ直ぐかぁ…
「亜美! もっと右だっ右っ!」
これはバツ君の声ね。もっと右ねぇ・・
「違う! 左だ! 僕を信じて!」
これは恭介君ね。左に行くの?…、…み、みんな言ってる事がてんでバラバラ…。一体誰の言葉を信じればいいのよ…、どうしよう。う――…んよし! 恭介君を信じて左!! えい!!
――ズゴンッ
恭介「ほら、僕の言った通りだろ、見事命中だ。さて、あんな友達甲斐のない奴らは放っといて眺めのいい所で食べようか」

「スイカなんて久しぶりだな…。子供の頃兄さんとよく食べたけど、一人暮らしだとなかなか、ね…」
恭介君は空を仰いだ。
「一人暮し、なの? どうして?」
「まぁ、いろいろあってね…」
「いろいろって?」
「だから、いろいろさ…。そうだ、今度家に遊びに来ないか? 僕一人だからいつでもいいぜ」
 さ、誘われちゃった! しかも一人暮しのお家に…よぅし、それじゃぁ…「じ、じゃ私、ご飯作りに行ってあげるよ!ビーフストロガノフとかさ!」 「――へぇ、料理得意だったんだ。期待してしまうな」
う、調子にのりすぎちゃったよ。
「や、やっぱカレーにしようかな…」
「あはは、なるほどそれなら納得だ!あははははっ…」
「も、もうそんなに笑わないでよ」
「ごめんごめん、…ククククッ」
「コラー恭介君っ笑いすぎだよっ!」
――こうして恭介君とビーチでお話をして夏の陽射しの下、過ぎて行った。

九月二六日 校門
今日は学園祭。色々と準備を手伝わされたりもしたけど、正直楽しみね。
隼人「おう尾崎!どうだ、やってるか?」
私「…やってません」
隼人「ふ、そうか…まぁ若いうちには色々あるもんだ。せいぜい頑張りな」
私(…い、今のは一体なんだっただろ…ま、まぁ、隼人先生だし。気を取りなおして、さっそく中に入ろっと)

[ 校庭 ]
ロイ「亜美じゃないか。一人で一体何しているんだ?」
私「ロイ、久しぶり。ティファニー、ボーマンも来てたのね」
ティファニー「アミ、一人ならミーたちといっしょにまわりまショ! その方がきっとニギヤカで楽しいネ!」
ボーマン「そうするといいでしょう。尾崎君。さぁ行きましょう」
私「うん、いっしょにまわりましょ」

[ 渡り廊下 ]
ティ「Oh! そういえば、さっきクラスメイトから「肝試し」っていうゲームが面白いって聞いたヨ! ねぇねぇ、ところで肝試しって何?」
私「知らないで聞いてたの?」
ボーマン「何でもその「肝試し」というのは、迷路になっているゴーストハウスを歩き回って、隠されたオフダを探すゲームになっているようです」 ティ「ゴ、ゴースト!? ミーはゴースト苦手デース…」
ロイ「フン、日本の学園祭にしては、随分こってるじゃないか」
私「確かに面白そう、行ってみようよ」

[ 2F廊下 ]
ボーマン「どうやらここのようですね」
私「えーと…「入場する際は必ず二人組のペアでお願いします」だってさ」
ティ「ロ〜イ、ミーはちょっと…」
ロイ「何言ってるんだティファニー」
ボーマン「そうですね、ここは尾崎君とロイで行ってきたらどうでしょう」
ロイ・ティファニー『!?』
私「ちょ、ちょっとボーマン」
ボーマン「(まぁまぁ、たまにはあの二人も距離を置くのが必要でしょう)」
私「(あ、そゆことネ、OK)」
ロイ「おい、二人で何コソコソしているんだ? なんなら二人で行っー―」
私「ロイ〜、私いっしょに行きたいな」
ロイ「あ、亜美? ま、まぁ君がそう言うなら行かなくもないが…」
私「やったー、じゃ行ってくるね〜」
ティファニー「ロ〜イ…」
私「(うーん、罪悪感…ごめんねティファニー…)」

[ 肝試し会場 ]
「どれだけチープな出し物なのか、この目で確かめてやるとするか」
と、ロイはぐんぐん暗黒の中へと進んだ行く。会場は校舎を使っているわりには、おどろしい音楽も手伝って本当のお化け屋敷みたいだった。
「フン、日本の学生のレベルにしては本格的につくってあるじゃないか。…だが照明はイマイチだな」
ロイは天井を仰ぐ。確かに普通の蛍光灯に薄い布をかけてあるだけだけど…
「分かれ道になってるみたい」
「とりあえず真っ直ぐ進むか?」
「そうだね、真っ直ぐ行こうか」
しばらく進んでいくと何やら小さな御堂のようなものがあったが…
「何もないみたいね」
たぶん、お札はこーゆーとこにありそうなんだけど…、…。あれ?
「ローイ、どこにいるのー?」
私がロイの気配がないことに気付き、ふいに顔をあげると――
「きゃ―――――!!」
目の前に白く大きなものが、覆い被る様に浮いていた!
「亜美! OK!ツイスター!」
「協力するわ!」
ボコッバコッドカッバキィッ――
―――ッズドンッ
「COOL!」
ロイの声にハッと我を取り戻す。
「ロイ! どうしようっついツープラトン発動させちゃったよ!」
ツープラトンとは協力技でロイとはWライジングトルネードという連発技だ。
「君が無事なら問題ない。それより、大体ゴーストにこんな手応えが…」
と、ロイがその白いものを掴むと
「ひっ英雄先生!」
島津英雄―列記とした国語教師である。
「…どうやら昏倒しているようだが」
ロイと私は顔を見合し、頷いた。
「さぁ行こうかハニー」
「そうね、ダーリン☆」
私達は英雄先生を通行の邪魔にならない所に避けると、直ちに立ち去った…

[ 2F廊下 ]
ティ「Comehere!遅いヨ、二人とも!」
ボーマン「お札は何枚とれましたか?」
ロイ「はは、十枚しか取ってないせ?」
ボーマン「十枚! 最高得点ですよ!」
私「ええっと、取りすぎたかなぁ」
ロイ「ま、まぁ僕達がコンビを組めば、この程度は朝飯抜きさ、な、なぁ亜美」
ボーマン「朝飯前ですよ、ロイ?」
私「はは!ど、どう?ロイ。日本の学園祭も捨てたもんじゃないでしょ?」
ロイ「ま、まぁな…相変わらず校舎が狭くて技の炸裂…いやイベントのスケールが小さいのが問題だが…そのくらいは大目に見てやるか」
私「ふふっ素直じゃないよねロイって」
ロイ「な、何を言っているんだっ全く。このくらいで僕の日本嫌いは変わらないぞ…さぁ帰るぞ、亜美!」
私「そうね、今日の事は二人の秘密ね」
ティ「ヒミツー?ヒミツって何ですか」
ボーマン「つまりsecrecyですね」
ティ「Oh,secrecy! …Secrecy!!??」
――そう、けして言えない。ついでに英雄先生のポケットからお札を拝借してきたなんて――けっして言えない…

十月二四日 パーティ会場
ロイから招待状をもらってやってきたクリスマスパーティ。テーブルには豪華な料理が並んでBGMにはバンド演奏のクリスマスソング。何て言うか凄く場違いな感じすらしちゃうわ。ところで私の他には誰か招待されて――

ロイ「メリークリスマス!」
私「メリークリスマス、ロイ!今日はこんな凄いパーティに招待してくれてありがとう」
ロイ「いやいや礼には及ばないよ。亜美には世話になってるからな。僕からのせめてもの感謝の気持ちさ。それじゃ楽しい聖夜を過してくれ」
ひなた「メリークリスマス、亜美!相変わらず凄い食べっぷりね?」
私「あはは…こんなに豪華な料理なんて滅多に食べられないから…つい」
ひなた「言われてみればそうかもね。折角だし私も色々食べまわってみよっと。じゃぁまた後でね」

あきら「あっ貴方も招待されてたの?全然気がつかなかったわ」
彼女は外道高校に男として通っている女のコ。お兄さんは名の通った外道高校の番長なんだからビックリ。
私「これだけ人がいれば無理ないわ」
あきら「でも、これだけの人の中で会えるなんて、私達何かと縁があるのね」
私「そういえば醍醐先輩は来てないの」
あきら「兄さんは人ごみが苦手なの。きっと今頃中庭にいると思うわ」

ロベルト「よう、亜美さん。メリークリスマス!」
私「あら、ロベルト達も来てたのね」
ロベルト「ああ、ロイから招待状が来たのさ。それにしても凄いパーティだな〜何だか場違いな気がするぜ」
私「確かに私もそう思う。でも、招待されたのは間違いないんだから、堂々と楽しんだ方が得よね」
ロベルト「それもそうだな。俺も割りきって楽しむ事にするか。それじゃ、お互いに良いクリスマスになるといいな」

響子「メリークリスマス、尾崎さん」
私「あっ先生方もいらしてたんですか」
チャイナドレスに身を包むこの色っぽい女性は、保健の先生である響子先生。
響子「それにしても凄いパーティねぇ、こんな本格的なパーティは久しぶりよ…何だか若い頃を思い出しちゃうわ」
私「(響子先生って若い頃からこんなに色っぽかったのかな…色んな意味で興味が絶えない女性よね…)」

ラン「ほら、亜美っこっち向いて」
――カシャッ!
私「ランは例えクリスマスでもカメラ手放さないのね」
彼女は熱血カメラウーマンとでも言うべきかしら?新聞部のランちゃん。
ラン「スクープっていうのはどんな状況で起こるか何て予測できないもの」
私「まぁ他の人に迷惑をかけない程度に頑張ってよね」
ラン「ありがとっそれじゃまた後でね」

私「あっ流先輩じゃないですか!クリスマスパーティ楽しんでます?」
この背の高い男性は水泳部長の流先輩。いつも水中メガネをしているの。
流「………………………」
私「え?食べ物がつまってて話せない?何もそんなにつめこまなくても」
流「………………………」
私「折角のパーティだからウマイものをたらふく食べたい? あはは。あせって喉つまらせない様して下さいね」

雹「尾崎、どうした? やけにそわそわしているようだが…」
私「あはは、やっぱりそう見える?  だってこういうパーティって慣れないんだもん」
雹「ハハハ、お前らしくもないな。いつも通り元気にやれば良かろう」
私「そう言われてみればそうね。それじゃ気取らずにいつも通りやることにするわ」
雹「うむ、その方が良い。メリークリスマス、尾崎」

 ふぅ…ちょっと人が多くて疲れちゃった。中庭に大きなツリーがあるらしいし、ちょっといって見ようかな…
 中庭に出ると幻想的なクリスマスツリーが凍える夜空を照らしていた。私はしばし時を忘れて魅入ってしまった…と、妙な音が聞こえてきた。
――バシャッバシャ…
…。…どう聞いてもカップルやらの囁き声じゃないわね…。庭内を見まわすと水飛沫が飛んでいる所を発見した。私はやや確信づいて、そこに向う。
「…やっぱり流先輩でしたか」
かろうじて凍っていない屋外プールで颯爽と泳ぐ先輩を見つけてしまった。
「………………腹ごなしに……」
「もし先輩の事知らなかったら悲鳴をあげてるところですよ」
「……………そうか」
「先輩、何で水泳やってるんですか?」
「…? 腹ごなしに………」
「そうじゃなくて、部活とか…英才教育でもうけたんですか?」

「………うちの親は水泳選手にしたかったわけじゃない…………幼い頃色々やったが、水泳がしっくりきた…………何でだろうな………気がついたら………泳いでいた…」
そういうと、流先輩はまた泳いでいってしまった―――今年のクリスマス、流先輩がどれだけ水泳が好きかって事だけは、わかった気がする。

二月一四日 自宅
今日はバレンタインデー…ついにこの日が来たわ。あらゆる意味で、勝負の日よね。もちろん私も本命のあの人にチョコレートを渡すわ! もちろん手作りで!…て、私一体誰が本命なのかしら…? 作者とページ数の関係でゲームレポートもとびとびだし、作者の好みだと恭介なんだろうけど…
そだ、ひなにあげてみよっその方が面白いわよね。

[ 住宅街 ]
ひなた「亜美、私に用ってなに?」
私「これ、受け取ってくれないかな?」
ひなた「ええっ?こ、これってチョコレート!?」
 ひなたは動揺してる、ここでもうひと押しね。
私「うん、どうしてもひなたにもらってほしくて」
ひなた「あはは…。あ、ありがと」
 そういうとひなたは私の前からそそくさと姿を消してしまった…、ちょっとやりすぎたかな? 大体呼び出すつもりじゃなかったんだけど…。ま、いっか、今度あったら冗談だって言えば。

[ 翌日 通学路 ]
キーンコーンカーンコーン…  坂の上から予鈴が聞こえる…やばいわ、これじゃまた遅刻しちゃう。 私は演劇部に所属しているためスタミナがかなり低い…けど! 演劇部の根性は天下一品! 猛ダッシュよ!

[ 教室 ]
「おはようっ!」
 そんなこんなで私が教室に滑り込むと、教卓にはまだ先生がいなかった、なんとか間に合ったみたいね…。…、けど何かしら…どうも視線が痛いんだけど…。みんな遅刻常習犯の私にあきれてるのかしら…?

[ 休み時間 ]  
私は妙な視線を感じながらも売店に向った…一体なんなのかしら。さっき背中を調べたけど何も貼られてないかたし。と、私の目に、掲示板に張り出されてる新聞が飛びこんできた。 『熱愛発覚!? 住宅街で女同士…』
 あ、私の写真…はは、よほどネタがなかったのね、新聞部…て! もうっ勘違いもいいとこよ! 
 私は思いっきり新聞を破り取った。それを見ていたんだろう、ティファニーが飛びついてきた。
「AMI! そんなハじることないネ!」
「ちっが―――う!!」
「oh,Meニホンゴ間違えた?」
「そうじゃなくて!!」
「ま、亜美がそっちの趣味なら、僕がもらえなくて当然だったんだな」
「ロイ! だ〜か〜ら〜っ違うって」
振り向くとティファニーの後にロイがいた。そしてその背後には廊下を通りすぎる恭介を見つけた。
「恭介! 恭介ならわかってくれるよね!」
 私はいつも通りのクールな顔を覗きこむ。
「…外で何しようと、風紀委員には関係ないな」
 その顔を少しも崩さず、恭介はそう言った。
「ちょっと、ちょっと待ってよ、あれ冗談!」
 私は声を大にして、願わくばあの新聞をみた学生全員に聞こえるように言った。すると…
「…ひ、ひどい…遊びだったのね!!」
ひながそう叫んで走って行った! ちょっと待って、どうなってんのよコレ!!!

――ハッ、と起きあがると私の部屋だった…。あ、はは…夢、ね…。隣にひなが眠っててビックリした。…そういえば、徹夜でいっしょにチョコレート作ったんだっけ。そうそうあの人のために…。

三月二四日 体育館
長かった一年もおわり、今日は終業式。この学園に入学してから、もう一年になる。時間が過ぎるのって、本当にあっという間なんだな。思い出せばこの一年、本当に色んな事があったっけ…。
壇上の学園長『…明日から春休みになるわけだが、けして休みボケすることのないように、各自、自己管理を心がけて…』
私「(…終業式さえ終わってしまえば春休み。そう考えると、いつもの学園長の長いスピーチもちっともつらくないな)」

[ 正門前 ]
私「さーて、終業式も終わったし、そろそろ帰ろうかな」
隼人「亜美、ちょっと待ちな」
私「隼人先生!?(落ちつくのよ、亜美。考えて…今日は一年最後の日、これでゲームレポートも終わるわけなんだけど…。こ、この展開は…も、もしかして…っ) せ、先生、私,、はやく帰りたいんですけど…」
隼人「それはできんな。お前にはこれから一週間みっちりと補習を受けてもらう」
私「…へ!?」
英雄「亜美君、観念してくれたまえ。我々としても手荒なまねはしたくないからね」
響子「出席日数がギリギリな上に、遅刻の常習犯、おまけに成績不良…これでは言い逃れは出来ないわね」
学園長「これを機会に勉学の遅れを取り戻すといいだろう。そうそう、ご両親の許しはすでに得ているから、心配する必要はない。では、一週間頑張ってくれたまえ」
私「そ、そんなぁ…わ、私の春休みがー!」

[ 三日後 教室 ] ―――ぁあああ…  
窓から差し込む穏やかな春の陽射しさえも、私をさらに億劫にさせる材料でしかなかった。居眠りをしている時に限って隼人先生がやってきて竹刀で百叩きにされるし、だからって補習プリントは進まないし…。あ〜っ私がこんな事している間に世界はっ地球がどんどん回ちゃってるのにー!  
そう、私が泣き叫んでいた時だった。
「なんだ。元気そうじゃないか、亜美さん」  
教室のドアをガラリと開けて入ってきたのは、恭介だった。
「どうしたの!? 恭介、まさか貴方も――」
「そんな事あるわけないだろ? 僕は…風紀委員として見回りをしていただけだよ」
と、恭介が視線をそらした瞬間、
「なにが見まわりだよ、呼び出しておいて」
「やっほー亜美、死んでるわね〜」
「バツっ、ひな! わかった、二人は補習ね!」  
ドアから顔を出してきた二人に私は言った。
「ちげーよ。お前と違って俺はトロくないからな」
「そーよ亜美♪ おなか空いてるでしょ?」
「え、ええ…まぁ…。も、もしかしてひなたさん。貴方の右腕にあるその包みは…」
「はい、お弁当♪ みんなで作ったんだよ♪」
そう言って、ひなは私に包みを半ば押しつけた。
「みんな…? て、事は恭介も混ざってるのね?」
そう言って恭介の方を見ると、彼は頷いた。
「だったら安全ね♪ 喜んで頂くわ♪」
私は勢い良く包みを広げフタをあける。
「なによ〜亜美ったら。前はちょっと失敗しただけだって!」
「その『ちょっと』で死にかけたからね〜」
そう言いながら、私は箸を口に運んだ。
「??△?☆◎ΝξΩL?♂?〜!!!!!!
…っな、なによコレ! 前よりパワーアップしてるじゃない!? 恭介!?」
「…僕は材料提供で手伝っただけだよ」
「料理はあたしとバツでやったのよ、亜美♪」 「うう…どうりで激しさが増すはずだわ…」  私は口を抑える…せっかく作ってくれたんだもの…全部…食べたら今度こそ死ぬかしら…(汗)
「亜美さん、無理は禁物だ。君にはまだ明日からの補習があるんだからね」
 恭介はニッコリ笑う…うう…鬼だわ…
「だけど不思議よねー? どうして亜美が補習でバツは無事なんだろう?」
「ひなた! お前だって人のこと言える立場か!」
 バツとひなたが睨みあう…まさかここで戦う気?
と、そこにガラリとでかい図体で学園長が身体を縮めて教室に入ってきた。バツの顔が引きつる。
「ゲッ親父」
「ぉお、探したぞ。例の条件を果たしてもらうか」
学園長がバツに背中を向けて座る――条件…って?
「今ここでか!?」
「バツ、亜美君といっしょに補習したいのか?」
「ぐ…、…わかったよ」
バツが仕方なくそう答えると、おもむろに学園長の肩をたたき出したのだった。
「お、親孝行ね…バツ」
「しょっしょうがねーだろ! 補習取消しの条…」
「ええええ!! ずるいわ! バツ!」
「むぅ、亜美君も肩叩きするかね?」
「そ、そうじゃないくて学園長っ!」
 こうして、私の一年目の学園生活は幕を閉じていった―ここまで読んでくれてありがと! またね!

いかがでしたか?
これはジャス学を知らない人向けに書いたので、ご存知の方にはウザかったかもしれませんね(-_-;)
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